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【読書】水道を”意識できるインフラ”に~勝手に応援!『ビッグイシュー日本版』(VOL.530 2026.7.1)~

『ビッグイシュー日本版』を勝手に応援する記事、第133弾です。
そもそも「『ビッグイシュー日本版』とは何か」をご説明した第1弾は、以下をご覧ください。


今号の特集は、「市民による『水道』再生へ」です。



戦後の復興から高度経済成長期にかけての”第3世代”では、人口増加と都市化に対応して水道をナショナルミニマム(国が全国民に対して保障する最低限度の生活水準)と位置づけ、市民の誰もが同じサービスを受けられることを目指しました。そのおかげで、もともとは住民が何らかの行動を起こす必要のある”意識系インフラ”だった水道が、”蛇口をひねれば当たり前に水が使える究極の”無意識系インフラ”になったと言えます。

p.8

ナショナルミニマムになったのは良いですが、無意識系インフラになってしまったのは、あまり良くなかったわけですね。


日本の水道が”破綻”する可能性の背景には、コスト削減の難しい「固定費」の問題がある。水道インフラにかかる費用のうち、実に約95%を占めるのが施設の維持管理費などに使われる固定費で、たとえ人口が減っても費用が変動することはないので、市民一人の負担額が増えていく計算になる。
「(中略)この事実が理解されなければ、市民のみなさんが値上げなどを許容してくれるはずもないし、対策もできない。私たちは再び、水道を自分事として”意識できるインフラ”に変えていく必要があります」

p.8

固定費が95%! ”意識できるインフラ”に変えていくためには、どうすれば良いのでしょうね。江戸時代の長屋では井戸さらいを年に1度みんなでしていたわけですが、現代でも例えば側溝の掃除など、形を変えて水道に関わる機会を持てれば良いのかもしれません。


岩手県矢巾町の「水道サポーター」の取り組み、興味深いです。

「まさに”社会的ジレンマ”の構図でした。水道料金は安いほうがいいと思う市民が大多数なら、水道料金の値上げはできません。そして長期的な安全・安心はおびやかされ、水道管が壊れてからの修理となるため負担はより大きくなってしまう。今、短期的な家計という私的な利益を優先すれば、長期的な公共の利益を失うことになります」

p.9

「職員たちは、『水道管の内部なんか見せたら、水道離れが加速するんじゃないか』と心配しましたが、実際には、住民のみなさんは『見たことで意識が変わりました』と言ってくれました。私たち役所の職員の多くは”説得的コミュニケーション”に走りがちですが、良いところも悪いところも見せる”リスクコミュニケーション”が有効でした」
水道に詳しくなると、参加者の発言にも変化が現れた。
「『とにかく水道料金は安いほうがいい』という意見は出なくなり、安全・安心をどうつないでいくかが課題になりました」

p.9

ついには「水道サポーターの中から「子どもの世代のことを考えたら、矢巾町は水道料金を値上げしたほうがいい」(p.9)という声が出たそうです。”意識できるインフラ”になったことで、変わったんですね。


民間企業でも技術や知識を持つ人材は減っているという。
「それは、この業界の待遇が悪いから。官からも民からも水道のことを熟知する人がどんどんいなくなっているのが実態です」

p.12

非常に危険な状況ですよね。

「8年ほど前に北海道羅臼町で話を聞いた際、水道職員が一人しかいませんでした。(中略)漏水などが発生しても一人しか対応できないので、その人は町外へ8年間出たことがないと聞きました」

p.12

今は改善されていると良いのですが。


「18年の水道法改正で導入可能になったのが、施設の所有権を自治体に残したまま、運営権を民間企業に委ねる『コンセッション方式』で(中略)す」
しかし、コンセッション方式では、資金調達や計画策定をはじめ、多くの水道事業を民間企業に任せるため、「自治体のノウハウが失われてしまう」「契約やモニタリングが難しい」という懸念や批判の声も強い。

p.12

コンセッション方式を導入した海外の事例を考えれば、導入にはよほど慎重になる必要があります。


水道事業のあり方は「公営か民営か」で議論されがちだが、それを超える「第3のモデル」もあるとして、橋本さんはドイツの「シュタットベルケ」の事例を紹介する。これは自治体100%出資などによる地域インフラの運営会社のこと。公営企業としての責任をもちつつ、警衛や運営には民間のノウハウを取り入れる。最大の特徴は、エネルギー供給、上下水道、廃棄物処理、公共交通といった基礎的なサービスをワンストップで提供する点だ。電力など収益性の高い事業で得た利益を、採算のとりにくい下水道や交通などの部門に再投資して、事業全体を持続可能にしている」

p.13

これ、良いですね。


100世帯、約230人が暮らす富山県朝日町笹川地区では、簡易水道の老朽化が進んでいたが、更新費用(約3億円)が確保できず地区の存続が危ぶまれていた。そこで、この地区発祥の土木建築会社の主導で、待ち、住民、銀行の協力を得て23年に地区内に小水力発電所を建設。売電収入で水道事業費と発電設備建設費を捻出している。

p.13

素晴らしいです。


「高性能で小型の浄水機器やポンプが開発されている今、井戸や湧き水などを活用して”自立した小規模分散型の水道インフラを作る”という選択肢もあり得るのです」

p.13

素人考えですが、災害時にも”自立した小規模分散型の水道インフラ”は有効なのではないでしょうか。


特集以外ではまず「スペシャルインタビュー」のヤングブラッドの言葉が印象的でした。

つらい時に下を見て歩いていたら、声をかけてくれる人を見逃してしまう

p.6

「問題の大きさに圧倒されてつい忘れてしまうんだけど、変化を起こしたいなら、毎日一歩ずつ先に進むしかない。そうすればいつか『こんなに前進したぞ』と思える日が来る。身近なところから取り組もうよ」

p.6


映画『原爆資料館 語り継ぐものたち』の監督たちへのインタビュー記事も心に残りました。

2023年のG7広島サミットでは、核保有国を含むG7とEUの首脳9人が資料館を訪れた。しかし、見学したのは東館に集められた一部の遺品のみで、遺影とともに遺品などの実物資料が多数並ぶ本館には訪れなかったという。

p.21

それでは「資料館を訪れた」とは言えませんよね。


「僕は高橋さんの証言を聞いてしまったものとしての義務感で、この作品を作りました。戦争に関しては、そうした義務感を持つ人たちが無数にいて、そういった思いの連鎖で語り継がれてきているのではないでしょうか。そして、その”語り継ぐものたち”にはもしかしたら今作を観た方も含まれるのではないかなと思います」

p.21

映画『原爆資料館 語り継ぐものたち』の監督の一人である立川直樹さんの言葉です。「高橋さん」というのは被爆者でもある7代館長の高橋昭博さんのことです。

私も被爆者の方のお話を聴いたものとして、そして横浜米軍機墜落事件の話を知るものとして、語り継いでいきたいと思います。


今回の松久保肇の「原発ウォッチ」は以下のリンクから全文お読みいただけます。


非常に恐ろしいのは、自民党政務調査会が発表した提言です。

国土地理院が発表した原発周辺の推定活断層について、発表の仕方を「慎重に検討すべき」とし、原子力規制委員会に対しても「業務に手戻りを生じさせることを避けるよう」求めた。
この断層は、石川県・志賀原発(北陸電力)の敷地内を縦断している可能性が指摘されている。国土地理院は地形の特徴から科学的に活断層の存在を推定した。それを「業務の手戻り」と表現し、学術的な知見の発信を政治が抑制しようとする――これは科学の独立性の根幹を揺るがす姿勢だ。

p.24

自民党政務調査会の方々は、国土地理院の専門家より活断層にお詳しいのでしょうか。


編集後記のN・Tさんの言葉に同感です。

海外では国を挙げて石油節約に舵を取る一方で、正常性バイアスから「足りている」報道を不思議に思わない世の空気。危機感の欠如が恐ろしいです。

p.29

足りていないから、いろいろなものの値段が上がったり、ポテトチップのパッケージが白黒になったりしているというのに。


今号も、いろいろ勉強になりました。


『ビッグイシュー日本版』のバックナンバーは、街角の販売者さんが号によってはお持ちですし、サイトからは3冊以上であれば送付販売していただけます。


コロナ禍のあおりで、路上での「ビッグイシュー」の販売量が減少しているそうです。3ヵ月間の通信販売で、販売員さんたちを支援することもできます。


もちろん年間での定期購読も可能です。我が家はこの方法で応援させていただいています。


見出し画像は、今号の封筒に貼られていたシールです。「小商い」で発送作業をしてくださった飯田さん、いつもありがとうございます。



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