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主婦たちが犯罪に手を染める理由――矢樹純『彼女たちの牙と舌』【読書記録36】

こんにちは!🍦マオ¦読書記録 です。
2025年冊目に読了したのは、矢樹純さんの『彼女たちの牙と舌』(幻冬舎)でした。

2025.06.02読了

母親4人が語り合うのは,中学受験対策と犯罪計画!?
年代も仕事も家庭環境も異なる母親4人が出会ったのは、進学塾の保護者説明会だった。それをきっかけに、定期的に集うようになるが、ある日、詐欺事件に巻き込まれ……。笑顔の裏に隠された嘘、嫉妬、後悔、嫌悪。敵は詐欺グループか、それとも笑顔のママ友か。
二転三転では、物足りない。章が変わるごとに、見ていた世界が反転する、驚きの長編ミステリー!

Amazonより

プルーフで読了しました☺️
矢樹純さんの作品はこれが初読み。

タイトルからして、ただものじゃない雰囲気が漂っていたけれど、実際読んでみて、想像以上にゾクゾクさせられた。思わず「この展開、どうなるの?!?」と声が出てしまう場面も多くて、ミステリーともサスペンスともいえる、人間関係の妙に引き込まれた。

物語の舞台は、受験生を抱える家庭の「母親たち」の集まり。
共通点は「中学受験」という一点のみ。
それぞれにバックグラウンドも仕事も経済環境も価値観も異なる女性たちが、少しずつ、でも確実に擦れ違い屈託ありありで、日々の情報共有やお茶会に参加している。

▫️ほんのすこし、日常から踏み外す

「特殊詐欺事件に巻き込まれる」という紹介を読むと、今まで読んできた数々の特殊詐欺絡みの小説の味わいを思い出す。ノンフィクションに近い、震撼するような後味のものあり、笑える語り口で痛快さがあるものあり。

そしてこの作品は、実際に読んでみると、痛快というよりも“ひたひたと、徐々に、確実に日常が狂っていく”という方が近い。

なぜ主婦たちは詐欺に手を染めるのか?
いや、「巻き込まれる」のではなく、自ら「首を突っ込んでいく」のか?
そこには、それぞれの女性たちが抱えている日常のストレス、夫との関係、子どもへの執着、経済的な不安、そして「無力感」もあるかもしれない。

レビューではこんな言葉もあった。

「女って怖い。けど、すごくリアルだった」

「どの人物にも、共感するところがあって困る」

「“普通の主婦”がこんな風に壊れていくの、ありえそうで怖い」

主婦たちの日常は一見、穏やかで平凡に見える。でも、その裏には見えない葛藤が渦巻いている。
それを見事にすくい上げているのが、この『彼女たちの牙と舌』なのだ。

▫️一章ごとの“引き”がうますぎる!

章ごとに終わり方が絶妙すぎて、「ちょっと休憩しよ」と思っていたのにページをめくってしまう。
「え?なんで??」の連続で、最終的には一気に読んでしまった。笑

矢樹さんは、元・漫画原作者としても活動されていた方で、その構成力は本作でも存分に発揮されている。
テンポ感、視点の切り替え、伏線の配置と回収……。
そして何より、「読者を翻弄する」ことに長けている。

だから、この作品を読むときは、あらすじやレビューをあまり読み込まずに挑んでほしい。
“何も知らずに読み始めてこそ”の驚きが、たくさん詰まっているから。

▫️書店の売り場では……

私は書店員として、中学受験層の親御さんがよく訪れる店舗に勤めていて、早見和真さんの『問題。』を発売した2025年3月からずっと大展開している。

この『彼女たちの牙と舌』を、その横に「こんなのもどうですか?」と添えてみたら、ちゃんと反応があって、売れました笑。

どちらも「受験」「家庭」「教育」にまつわる物語だけれど、切り口は全然違う。

『問題。』は中学受験にフォーカスした物語であり、当事者である小学六年生の子の心情ベースで進み、子を支える保護者の思いも強く練り込まれている。
一方『彼女たちの牙と舌』は、母親たちの目線で、「家庭と社会の狭間」を描いている。中学受験は、正直そこまで重要な要素ではない(と、思う)。

似たテーマの小説というわけではないのだけど、「こんな毛色のもありまっせ」と隣に並べてみるのは面白かった😌(売れたし)

▫️現代の“主婦ノワール”

SNS上でも、本作を「主婦ノワール」と評する声が多かった。
“日常の顔”と“裏の顔”を持つ女性たちが主役の物語。
家庭という小さな社会で、牙と舌を研ぎ澄ませながら、自分たちの道を切り拓いていく。

ラストまで読んで、「ええ〜そうなる!?」という驚きと同じくらい、「これはフィクションなのか?」と思わされる現実と地続きの物語だった。
実際、主婦たちによる犯罪計画なんて、あり得ないようで、調べてみると案外あるらしい。😨

▫️こんな人におすすめ

✔️家庭や教育をテーマにした小説が好きな人
✔️“主婦ミステリー”というジャンルに興味がある人
✔️人間関係の綻びや心理戦にゾクゾクしたい人
✔️「この人たち、ほんとにやるん?」という展開が好きな人

▫️おわりに

初めての矢樹純さん、とても面白かった!
「主婦が主人公」と聞くと、どうしても“共感”に寄りがちだけど、この作品はそれだけじゃない。
人間の暗部を描くことに手加減がなくて、でもだからこそ読後に何かが残る。

同世代の女性に、ぜひ読んでみてほしい一冊です。


ෆ‪┈┈┈┈┈┈┈┈‪┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ෆ‪
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