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誤解を解きたい 刈谷 詰乃の苦悩


お笑い芸人の秋山竜次を知っているだろうか。
言わずと知れた「ロバート」の一員であり、独特のキャラクター演技で注目を集める男である。

彼は「クリエイターズ・ファイル」で様々な架空の人物に扮し、その演技力と発想力で多くの笑いを生み出してきた。


※これはお気に入りの一つ。

彼の魅力は、一枚の写真でさえ人を笑わせる破壊力にある。
言葉のチョイスも絶妙で、その一挙手一投足にお笑いのセンスが凝縮されているのだ。

ふざけることに命を懸けているが、それをただの冗談で終わらせない。キャリアに昇華させている点が彼の凄さであり、同時に怖さでもある。


しかし、彼の魅力はそれだけではない。
いつもふざけ倒している彼も家庭を持ち、子育てをしている。
私は彼の教育方法を聞いて、さらに彼が好きになった。

彼は“危険”を自分の子供に教える際、リアルな演出を再現して見せることで危険性を子供達に伝えるという。
例えば、「箸を持って走ると危ない」という教訓を教える際、あえて自分が箸を持って走り、その後転んで(血糊で)血だらけになってみせる。
見た目のインパクトで危険を伝える──まさに秋山流の教育法だと感心した。


私は血糊なんて小道具は持っていないし、演技力も彼には遠く及ばない。
だが、代わりに持っているのが「失敗話」の山だ。

血糊の代わりに、私は子供に教える時、自分の過去の失敗をぶちまけることにした。


🔪🔪🔪


時は娘が年長の頃に遡る。

保育園で工作が盛んになり、娘は家でもハサミを握りしめて紙や段ボールを切り刻んでいた。
そんなある日、私が郵便物をカッターで開けている様子を目にした娘が言った。

「お母さん、それ貸して」

年長児にカッターなど危なっかしくて仕方がない。
「カッターは危険だから、小学生になってからだよ」と私は言い聞かせた。
だが、娘の視線はカッターに釘付けである。
明らかに納得していない。


そこで私は奥の手を出すことにした。
「お母さんも昔、カッターでやらかしたことがあるんだ」
そう言いながら腕を差し出す。そこには今も消えない傷跡がある。


「小学生の時、ぬいぐるみの犬小屋を作ろうと段ボールを切っていたんだけど、その時、勢い余ってカッターを腕にグサッと突き刺してしまったの。
突き刺した場所からは血が吹き出して、床も壁も血まみれ。ホラー映画さながらの光景だったんだよ。それぐらい怖いものだからもう少し大きくなってから使う方がいいと思うよ」


母の話を聞き、娘はその傷跡をじっと見つめていた。
「カッター、怖いんだね」とポツリと言う。
これでカッターへの興味は封印されたはずだ。
私はそう確信していた。
この時までは。


それからしばらく経ち、
会社帰りに娘を迎えに保育園へ行ったある日のこと。

玄関先で娘のクラスメートである太郎(仮名)が目を輝かせてとびきりの笑顔で私に駆け寄ってきた。

すると、彼は私にこう問いかけてきた。

「まる(娘)ちゃんママ、昔、包丁で自分を刺して血まみれになったんだって?」

豪速球のボールすぎて、最初理解できなかった。

包丁? 血まみれ? 自分で刺した?
何だその物騒な話は。


「いやいや、包丁なんか刺してないけど?」と冷や汗をかきながら答える。
しかし太郎は期待の眼差しで続ける。
「でも、まるちゃんから聞いたよ。私のお母さんが昔“グサッ”ってやったって」

その時、私は悟った。

そうだ、カッター事件の話だ。
私は娘に「カッターは危ない」と教えるために、自分が小学生の頃にやらかした失敗を少し大袈裟に語った。
「勢い余って腕にカッターがグサッと刺さって血まみれになった」というあの話である。

だんだんと整理ができていく中で、脳内では「ピーーー」という警告音が鳴り響く。


周囲を見渡すと、他の保護者たちがこちらをちらちらと見ている。


・・・・ような気がした。


冷たい汗が背中を伝う。


私の失敗談は教育のつもりだったが、まさか保育園の噂話でホラーのネタになるとは思わなかった。

【カッターが危ない】という話をしたはずなのに、いつの間にか 【私が危ない 】という話になってしまったのだ😱😱



🔪🔪🔪


それ以来、保育園の送迎時間が私にとってホラーな時間に変わった。

周囲のママ友たちが私を見るたびに、ヒソヒソと話している声が聞こえてくる。

「ねえ、あの人って包丁で・・・」
「いやいや、カッターだって」
「どっちでも怖いけど」

冷たい視線が突き刺さる。

・・・・ような気がした。

もちろん、そんな会話が実際に交わされているわけではない。
しかし、一度疑いだすと妄想は止まらず、世界は途端に疑心暗鬼のホラーワールドになる。

実際は、ママ友たちからそんなこと言われることはなく、無事に卒園を迎えるのだが、あの時はしばらく送迎のたびに他人の目を気にしていた。

教育とは難しい。
そして 誤解を解くのはもっと難しい。

秋山さん、
次回のクリエイターズ・ファイルは
【カッターで指切ったという話が、包丁で指詰めたという話に勘違いされて、ママ友から距離をとられてるママ・刈谷 詰乃(かりやつめの)】でいかがでしょうか。


#なんのはなしですか



※ちなみに【刈谷 詰乃(かりやつめの)】の名前はもう少し捻りたかったという思いもある。もし、もっといい名前があればコメント欄で教えてほしい。



あと、イラストもロバート秋山に寄せたかったのに、マツコによってしまった。無念。

#なんのはなしですか
#どうでもいいか


最後まで読んでいただきありがとうございます☺️


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