GPSかと思ったら実はGPSじゃなかった ~GPS追跡装置(番外編)~|宇宙一わかりやすく解説|GPSの基礎の基礎#13
長かったGPS追跡装置編もやっと最後となりました。
といっても今回は番外編。どうして番外編かと言うと、GPSじゃないからです。
スマートタグと呼ばれるものです。
スマートタグってどんなもの?
「あれ?鍵が見当たらない」
「カバンをどこかに置いてきたかも」
そんな“うっかり”を解決してくれるアイテムとして、最近話題となっているのがスマートタグと言われるものです。
スマートタグは、スマホのアプリを使って、紛失した物の場所を探せる小さなデバイス。
タグとは日本語で”ふだ”とか”荷札”とかって意味があるので、持ち主の名前が書かれた名札(なふだ)の電子版みたいなイメージの名称ですね。
どんな形状かというと、キーホルダータイプで鍵や、カバンに取り付けるようなものもあれば、カードタイプで通常のカードと一緒に財布に入れられるようなものもあります。
代表的なものと言えば、やっぱりアップルから出ている「AirTag」でしょう。
「位置がわかるってことは、当然GPSでわかるんだろう」
と思うかもしれませんが、実はこのスマートタグにはGPSは搭載してないんです。
実はGPSじゃなかった、スマートタグで位置がわかる仕組みとは?
スマートタグが使っているのは、bluetooth(ブルートゥース)通信です。
タグ自身にGPS機能はないので、自ら位置を計測することは出来ません。
ではどうやって位置がわかるのでしょうか?
簡単に言うと、bluetoothを使ってスマホとつながることで、スマホの力を借りているのです。
え?全然意味がわからないって?
もうちょっと詳しく説明しますね。
持ち主のスマホと常につながってる
わかりやすいように、鍵にスマートタグを取り付けた場合で説明します。
登場人物は、鍵の持ち主であるAさんと、偶然通りがかる他人のBさんです。
まず、Aさんは鍵に取り付けたスマートタグを自分のスマホに登録。そうすると、スマートタグとAさんのスマホはbluetoothでつながった状態になります。
その状態で、Aさんが出かけた先で持ち主が鍵を落としたとします。
そのまま、気づかずに歩いて行ってしまうと、bluetoothの接続が切れてしまうのでスマホアプリが紛失したと判断して、アラームを上げてAさんに知らせてくれるのです。
AirTagのように、スマートタグ側でbluetoothが切れたのに気付いてアラームを鳴らしてくれる場合もあります。
更に、Aさんがアラームに気づかずにその場を立ち去ってしまったとしても、スマホはbluetoothが途切れた時の位置情報を記録しています。
おかげでAさんは、後で鍵が無いことに気づいても、どこで落としたかがわかるのです。
他の人のスマホとも勝手につながって知らせてくれる
ここまでの機能で十分と思うかもしれませんが、鍵が落とした場所から移動してしまった場合はどうすればいいでしょうか?
そういう時のために、持ち主であるAさん以外の人が持っているスマホともつながるような機能を持っているスマートタグもあります。
Aさんとの接続が切れてしまったスマートタグは、それでも定期的にbluetoothの電波の発信を続けます。
まるで、
「ここにいるよ~、誰か気づいて~~!」
と叫んでるようですね。
そこに、まったくの他人のBさんが通りかかったとします。
Bさんの持っているスマホはスマートタグから発信されているbluetoothの「誰か気づいて~~!」の電波をキャッチ。
そうするとBさんのスマホは、Bさんへの断りもなく勝手に
「○○という位置にAさんのスマートタグがあったよ~」
というお知らせをクラウドに上げるのです。
一方、鍵を失くした場所に行ったにもかかわらず見つけられず、途方に暮れていたAさん。
そこに、Bさんのスマホからのお知らせが届いて、無事に鍵を見つけることができました。これで一件落着というわけです。
ちなみに、本当ならAさんはBさんにお礼の一つでもしたいところですが、誰のスマホがお知らせしてくれたかは、Aさんからは分からないようになっています。
それはそうですよね。Bさん自身は、自分のスマホがAさんの鍵を見つけていたなんて事実も知らないわけですからね。
それにしても、
「勝手に自分のスマホの通信を利用されるなんて、通信料はどうするんだ?」
と利用されるBさん側は、気づかなかったとは言えあまり気分の良いものではないかもしれませんね。
でも、スマホは利用者が意識していない時も常に通信をしているもので、このために使用するデータの量は極わずか。利用された人の通信料への影響は、まったくと言っていいほどないようなので安心してください。
小さいサイズで実現できるし、価格も手頃
そんなわけで、スマートタグ自身にGPSの機能が無くても、そこら中を歩いている人のGPS機能をもったスマホが、センサーとなって探してくれるのがスマートタグというわけです。
この仕組みを考えた人はなかなか頭いいですよね。
もちろん、自分で位置を計測することは出来ないので、周囲にスマホがないと位置を伝えることはできません。
そのため、人の往来のあるところで紛失することが前提にはなってしまいます。
ですが、bluetoothの通信のみであればボタン電池くらいの小さな電池でも、長時間利用できるし、小さくもできるわけです。
さらに、価格も手頃。
スマホがあればいいので通信費用も必要なく、手軽に利用できるのがいいですよね。
ペット用GPSも同じ仕組み?
最近は「ペットが迷子になったときのために、GPSをつけたい」という需要も増えてきて、ペット用GPSと言われる製品も出てきました。
ここで注意してほしいのが、「GPS」と書かれていても、実はスマートタグだった、という製品がけっこう多いということ。
製品の紹介で「ペットが迷子になってもGPSで位置がわかるので安心!」なんて書いてあっても、よ〜く読んで見るとなんかおかしい。
「GPS=位置がわかるもの」
という解釈がもはや一般化しているので、GPSと書くのが分かりやすいというのはあるでしょう。
でも、中にはわざと分かりにくく書いてるような、ちょっと悪質なものもあるので気をつけてください。
もちろん、ちゃんとGPSが内蔵されていてリアルタイムで追跡できるペット用GPSもありますが、そういったものはたいてい月額の通信費が必要で、サイズもそれなりに大きかったり、頻繁に充電が必要だったりします。
一方で、スマートタグ方式のものは、小型で軽く、ペットに負担にならないというメリットはあります。
でも、迷子になってしまうようなペットですから、鍵や財布と違って一箇所にじっとしていてはくれません。
買ってみたけど、「全然ペットの位置がわからない!」ということにならないとも限らないので、購入する時はよく確認することをオススメします。
当初は1回で終わらせる予定だったのが、だいぶオーバーして6回にわたって解説してきました「GPS追跡装置編」、いかがだったでしょうか?
まだまだ、他にもあるかもしれませんが「GPS+通信機能」という組み合わせで、いろんな用途で利用されているんだなぁ。ということが理解いただければ幸いです。
GPS追跡装置については終わりましたが、GPSの用途はまだまだあります。実は、先が見えないので一旦休憩して別の解説をしようか、とも考えているところではあります。
余談はさておき、もう少しGPSの用途の解説にお付き合いください。次回は皆さんがもっとも馴染みのある、スマホのGPSについてを少し掘り下げてみたいと考えています。
