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44歳の退職奮闘記「また無職になるよ」

43歳で無職になり、無職のまま44歳になり、無職のまま一年を過ごし、新しい仕事に就きました。そして今また、仕事を辞めて無職に戻ろうとしています。新しい職場が、想像の1.3倍黒かったからです。

私は大手印刷会社を出て、地方の広告代理店の制作部、ベンチャーのWEB会社の制作部、フリーランスECコンサル、輸入商社のEC部門などを経ているため、まあその字面の雰囲気の通りの叩き上げで、仕事がハードなことなんて慣れているわけです。やったことない業務でもやれる感じでいくし、to C のお客様のわがままや無理難題なんて今さら痛くもかゆくもない。かわいいもんです。

わたしはふたりいないんだよ

小規模の出版社が激務なことくらい、誰だって想像できますよね。ハロウィンが終わればクリスマス。それくらい自然なことです。出版社は激務。だから理由はそこじゃないんです。たいていのハードな現場は無傷の私でも、人生において最短期間でひとつの職場を去る因子がいくつかあります。そのもっとも大きなものは、リスペクトがないこと。経営者(=編集長)の自身の領域外の仕事に、一切の敬意を感じられなかったからです。「AIですぐできないの?(自分はできないけど)」「これくらいすぐだから。前の人は簡単にやってたよ(その人は逃げるように辞めたけど)」みたいなことを22時に言われる。じゃあできるんじゃない?知らんけど。そして23時。

次に、圧倒的な業務量と負担の偏り。経営者がやらないことは全部わたし。口頭伝承でマニュアルなし。しといてくれよ橋渡し(韻を踏みましたよ)。そんな構図で5ヶ月。ここはリスペクトがあれば頑張れましたのに。手詰まりだからAさん(超有能)に頼りたい、とお願いすると「Aさんの態度が許せないからもう使わない。頼るならまだBさんにして」と己のプライドを優先する始末。あれおかしいぞ。私の業務負担がでかすぎるから健全化しようっていう話し合いでしたでしょう?今思えばここで、私の献身性はゼロになったのです。もう本当に、このケツ穴スモール小物ムーブ、何度喰らうんでしょう仕事って。

地獄の果てまで追い詰める

最後に、イリーガルなこと。8月から社会保険加入だったはずが、退職を伝えた矢先、「実は手続きしてなくて」と。ええ、知ってました。保険証もらえてなかったですもの。ハードな現場はせめて法律守ってて!44歳からのお願い!社保逃れでフルタイムスタッフを使いまくるスキーム、悪気はなくとも悪質すぎるので、退職は決まっていますが遡及加入を依頼しました。

切り替えとかもね、正直めんどくさいよ。差額も実際、目をつぶれないわけじゃない。年金も一旦、厚生になってまた国民に戻る?手続きを考えただけで吐き気がするけど、なんせ12月から暇ですから。時間はたっぷりあるんじゃ、地獄の果てまで追い詰めるぞ、市役所も毎日行けるし、という気負いでおりまして。退職するのに遡及加入というエクストリーム税務処理が、どんなことになるのか経験値としても面白い。そしてなにより、少しでも「よい会社にいた」と思いたいじゃないですか。だから、筋はきっちり通してもらおうと思ってるんです。このまま社保逃れされたら、次の被害者を増やすだけですしね。人を雇い入れることの重みを、経営者には追納という名のお土産として置いておきます。

できることも増えたよ

とはいえ刺激的で学びが多く、楽しい職場でもありました。

一年前の悩みは宇宙の彼方へ

取材同行や設営仕事は抜群に向いてて、こういうライブ感の仕事は続けたいなーと今も考えています。メディアがメディアたらしめるものがなんなのか、実際的にはどうスタートして展開していくのか、その仕組みも知れました。非営利でなら、自分も小さく始められそうな手ごたえもつかんでいます。あと未経験だったインデザインはマスターレベルになりました。これは皮肉だけど、5ヶ月という短期間で業務のほぼすべを味わったからに他なりません。実はまだまだ吸収したいこともあったけど、ケツ穴スモール小物ムーブに心が停止しましたので、自分の身を守るために撤退を決めました。

番外編:マネジメントのパートナーと実務のわたし

実はわたしより、パートナーが今は仕事で悩んでいます。わたしと違って1社の在籍が長く、それゆえ会社環境も変わっていき、でも責任もあったり、進退を考えるところまできているみたい。「この先、仕事とかどうしようか」そういう話をよくするようになりました。2人とも同時に職を手離すのであれば、それはダイナミックな動きをするタイミングなのかもしれないし、もっと自由に生きてみていいのかもしれない。禁止されているわけじゃないんだから。私たちは「それぞれが経済的に自立していること」が、なんとなく不文律的にあるし、2人とも働くことが嫌いなわけじゃない。「しごとってなんだろうね」みたいな話をしているときに、興味深い発見もありました。

わたしは実務が大好きで、周りや後輩、部下が成長するよりも「自分ができることが増えるのが悦」なタイプ。パートナーは逆で、「チームメンバーが成長することがうれしい」マネジメントタイプ。実務は苦手だそう。わたしは昔から「周囲ができることが増えるとうれしい」とは、全然思えないんです。できれば勝手に育っててほしい。これだけを見ると、個人事業主向きかもしれません。人にものを教えるのも全然好きじゃないし、「新しい子くるから教えておいて」も、「へ?わたしに関してはそれは別料金ですけど」って思ってました。人に教えることが無料?ありえません。お手当くれよ、と。「業務なんて教えられない、話せるとしたら心構えだけだ」というのも、組織に入り後輩ができそうになると、公言するようにしていました。

仕事の向き不向きって、善悪ではくくれなくて面白いなあと思う。

「業務なんて教えられない、話せるとしたら心構えだけだ」と公言していても、その「心構え」を聞きに来る子はどの職場にもいました。10倍教えます。電話の取り方を教えるときは「まず姿勢を正して。相手が目の前にいても失礼じゃない態度で」から始まるこのうざい輩の話を聞きに来る子なんて男女とも真剣に決まってる。10倍教えます。習えって言われたから来ました、より、心構えを盗みに来ました、のほうが10倍気持ちがいいです。こちらも10倍の10倍、真剣に伝えます。

そうすると職場内にストーカーみたいな子ができちゃうんですが、それはまた、別のお話ということで。

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