土地の記憶
あの「頑固さ」の正体は、土地の記憶かもしれない。
~「地」を育む5つの要素その2~
「ぷはーっ!」
いやもう、寒さが本格的になってきましたね。
こうなると、お湯割りもいいんですが、やっぱり熱燗の出番が増えます。徳利からお猪口へ、トクトクと注ぐ音だけで酔いがまわりそう…なんて言ったら、また「仕事中に飲んでる?」って聞かれそうですが(笑)。
呆~録酔語です!
前回は、「お返しのミカン」の話をしました 。
目の前のミカン(図)だけ見るんじゃなくて、その背景にある「古くからの習俗(地)」を見れば、おばあちゃんの「冷たいねぇ」という言葉の真意がわかるよ、という話でした。
今回は、予告通り「地」を育む5つの要素、その第2弾。「歴史」について語ります 。
これ、「歴史」って言っても、教科書に出てくる「何年に何が起きた」みたいな暗記モノじゃありませんよ?
もっとこう、その土地に刻まれた「傷跡」や「勲章」の話です。
👴 「わしは誰の世話にもならん!」の背景
現場でよく出会う、「頑固」と言われるおじいちゃん。
例えば、豪雪地帯の山間部で一人暮らしをしているBさん(88歳)がいるとしましょう。
足腰が弱ってきて、家の中の段差でつまずくことが増えた。「手すりをつけましょう」「ヘルパーさんを頼みましょう」と提案しても、Bさんは頑として首を縦に振りません。
「わしは大丈夫だ。誰の世話にもならん!」
これを「図(個人の性格)」だけで見ると、「頑固な人だなあ」「認知機能の低下で病識がないのかな?」という評価(ラベリング)になりがちです。
でも、ここで「歴史(地)」というメガネをかけて、その土地が歩んできた時間を見てみるんです。
「共同性」の要素②:歴史
「歴史」とは、その共同体が歩んできた時間の流れや出来事のこと 。
もしBさんの住む地域が、昔から厳しい自然災害や飢饉、あるいは産業の衰退といった「苦難」を何度も乗り越えてきた歴史を持っていたらどうでしょう?
助けが来ない孤立した環境の中で、生き延びるために必要だったのは、「歯を食いしばって耐えること(忍耐)」や「弱音を吐かずに自己完結すること」だったのかもしれません。
その地域では、「辛い」と言葉に出すことは「弱さ」であり、黙って耐え抜くことが「男の美学」として、何世代にもわたって称賛されてきた歴史があるとしたら?
そう、Bさんの「誰の世話にもならん!」は、単なる個人のワガママではありません。
過酷な歴史を生き抜いてきた、その土地特有の「生存戦略(プライド)」そのものなんですね。
歴史を知れば、かける言葉が変わる
この「歴史(地)」が見えていれば、僕たちの言葉選びは変わります。
「転んだら危ないですよ(リスク管理)」という正論だけでは、Bさんの歴史(プライド)には響きません。むしろ、「俺の生き方を否定された」と感じさせてしまうかも。
名探偵(専門職)なら、こう切り出すかもしれません。
「Bさん、この厳しい冬を、何十年もここでお一人で守り抜いてこられたんですね。その強さは、並大抵のことじゃないです」
まず、その「忍耐」の歴史に敬意を払う。
その上で、
「その強さを知っているからこそ、Bさんにはもっと長く、ここで『主(ぬし)』として君臨していてほしいんです。そのための『武器(手すり)』だと思って、つけてみませんか?」
…どうでしょう?
「介護される(弱者になる)」のではなく、「城を守るための武器を得る」。
文脈を「歴史」に合わせることで、Bさんのプライドを守りながら、必要な支援につなげることができるかもしれません。
📝 次回予告:要素その3「倫理的気風」
人が大切にしている価値観は、その人が生まれ育った土地の「歴史」によって形作られています。
「忍耐」が美徳なのか、「挑戦」が美徳なのか。それは個人の性格以上に、土地の記憶が関係しているんですねぇ 。
さて、次回は共同性の要素その3、「倫理的気風」について語りたいと思います 。
明文化されていなくても、その空気に漂っている「これをやったらアウト」「これは良いこと」という見えない道徳のルール。
これがまた、ややこしくも面白いんですよ…。
「呆けてるけど、ちゃんと歴史を紐解く。酔っ払ってるけど、敬意は忘れない。」
そんな専門職の深みを目指して、今夜ももう一杯だけ…。
おっと、徳利が空だ。おかわり!
というわけで、今回も最後までありがとうございました!
皆さんの地域には、どんな「歴史」が眠っていますか?ぜひコメントで教えてください!
それでは、今日も乾杯!🍻
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