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さよなら、大好きだったズボン

まずは思い切って、ここに綴らせてもらおう。
私は、ズボンの試着が大嫌いだった。
理由は、ほとんどの既製品が入らなかったり、
履けたとしても、自分の体の腰から下を
素敵に見せるズボンに出会うことは、至難の業だったからだ。
また、ズボンが好きになれなかった。
理由は、なんとか履けているズボンでも窮屈で、快適さが無く、
上手く着回しするアイテムでなかったからだ。

私のキグルミは、縦も横も、日本人女性の平均的なサイズだと思われる。
しかしながら、腰回りから膝上までが、どのズボンを履いても
パツパツで不格好になるか、履けない。
じゃあ、一つ上のサイズにしたらと思われると思う。
そうすると、今度はバランスが悪くて、見た目がよくなかったり、
まだ、どことなくパツパツだったり。
結局、スゴスゴと返却ラックに試着したズボン達を戻して
うつむき加減に店を退散するばかりを経験してきた。

在住国は、色々な体格の方がいる。
相対的に、母国よりかなり大柄サイズが揃っている。
じゃ、ここだと見つかるかといえば、逆に難しい。
丈が長すぎたり、自分の体形には合わなかったりで見つからない。
そのため、ここに暮らしてそれなりになるが、
いまだに、簡単なものはジュニアサイズで見つけるようにして、
フォーマルに着るものは、母国や東アジア諸国でみつけることにしている。

私は、自分のキグルミを大切にしている方だと思う。
心が躍るもの、新鮮で自分の体質に合う食材を体に摂り入れ、
毎日運動し、睡眠にも気をつけている。
もちろん、腰回りから膝上を引き締める努力もしてる。
やれることを、全部やってる。
しかし、ズボンと相性は良くなるキグルミにはならない。

数年前、敬愛するnoterのお一人、verdeさんに初めてリアルでお会いした。
verdeさんはアパレル関係の仕事をされていらっしゃる、服飾関係のプロ。こんな、とても素敵な方だ。

また、ご自分のキャリアとセンスを生かし、
verdeさんはファッションコーディネートを引き受けてくださる。
ご興味のある方は、ぜひ。

初めてお会いすることになった、その数年前。
一時帰国に合わせて、verdeさんにお願いをした。
トータルファッションコーディネートを、ぜひお願いしたいこと。
そして化粧品選びにもアドバイスをもらいたいことを。
実は、何よりお願いしたかったのは、ズボン選びだった。
でも、それを言い出しづらかった。
自分で解決できないことを晒すことに躊躇し
なにより、初対面となるverdeさんを困らせてしまうかもしれないことに
恐れを感じたからだ。

何度かのDMのやりとりで、verdeさんに問われた。
「ファッションのことで、気になっていることはありますか?」
当時、verdeさんに実際お会いする前だったが、
そのお優しい人柄と、服選びのプロフェッショナリズムを感じていた私は、
最後にはこう返信したことを、覚えている。
「verdeさん、私でも、私のキグルミだからこそ着こなせるズボンに
 出会いたいです。それも楽しく試着して。」
すると、長年自分一人で抱え込んでいたものを、
なんとか手放し始める一歩を踏み出せたような。そんな気持ちになった。

verdeさんに初めてファッションコーディネートしていただいた経験を
綴ったnoteを紹介する。
verdeさんのプロの仕事に触れた高揚のまま綴っているので、
読み返してみるとかなり冗長なところがあるが、ご容赦いただきたい。
実際には、語りきれないほど濃密な経験だった。

人生初のファッションコーディネートの経験は楽しく、幸せを感じた。
この時に選んでいただいたラベンダー色のゆったりとしたセーターと
銀色のスカートは、長く長く活躍した。
また、折々、素敵なセレクトだと声をかけてもらった。
服装を褒められることも、人生初だった。

そして、グレーのズボン。
このアイテムの出会いに、感謝している。
verdeさんが「ズボンはこれを」と選んでくださったものだ。
試着室に入って、そのズボンを見ながら、緊張したことを覚えている。
上記のセーターとスカートを試着したら、イケてる自分に舞い上がったけど
そのままの勢いで、ズボンまで試着するのがちょっと怖かった。

でも今度こそは、ズボン履いてイケてる自分に出会えるかもしれない。
そう思い、思い切って足を通した。
すると、どうしたことだろう。
するりと履けてしまった。
そして、どこもひっかかるところがない。
ふうわりと体を包むようなライン。ゆったりとした気心地。
鏡を見ると、このズボンを履いている自分はイケてると、自分で思った。
嬉しくなってきて、むしろ私のキグルミ体形の方がこのズボンを着こなせるかもしれないなどとまで思えてきた。

このズボンを大切にしたくて、最初の一年はとびきりの時にだけ着ていた。
そのうち、「家着」をやめてから、頻繁に着るようになった。
ちょっと増減することもある自分のキグルミに、いつも合うだけでなく、
ありとあらゆるアイテムとも合う。
フォーマルに、カジュアルにと、どこでもいつでも着れる。

先日、洗濯の後に気づいた。
数年の齢を経て、このズボンに大きな擦れができてしまった。
残念ながら、ついにさよならをする時が来てしまった。
あともうちょっと、着てしまおうかなと思いたいけど
擦れの場所は目立つところなので、これ以上は着れない。

自分の気持ちに向き合うと、このズボンに愛着があることに加え
こんなに気持ちよく着れるズボンにもう出会えないかもしれないと
思っている自分の気持ちに気づいた。
今もズボン選びに苦労があるだけに、執着してしまうのだろう。

でも、なんとなく。
この記事を綴りながら、このズボンを”解放”しようかな、そう思えてきた。
大好きだったズボンとの出会いと別れは、
きっと新たなズボンの出会いに繋がっている。
うん、そうだ。きっと。
「大好きだったズボン、ありがとう。さよなら。」

verdeさん、またお力をいただけませんか。
新しいズボンに出会い、自分のクローゼットに迎えたいのです。
次回、お会いするときに、ぜひ。

(かつてのズボンは、”パンツ”と呼ばれているそうで。
 そうと知ってはいるけど、「パンツ」というと、
 かわいいレーシーな下着の方を、私は想像してしまう。
 そのため、このnoteでは親しみをこめて「ズボン」と呼ぶことにした。)

地中海性気候さんの企画に参加します。
らんさん、ありがとう。
久しぶりに一気にnoteを綴れました。


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