【デザイナーの世界旅行5】ドイツの国家ブランディングと日本との近似点
12カ国を周った世界一周旅行中、毎日その日思ったことや学んだことを音声メモとして残していたのですが、それをもとに自分の旅行を振り返るnoteを作成しています。
今回も3月末に降り立った1カ国目にして初のヨーロッパ、ドイツ滞在時の記録です。
前回↓
今回は少し俯瞰した視点で、ドイツ滞在中に考えた「街づくり」と「国のブランディング」について考えたことをまとめてみます。
効率を極めたアジアの街、歴史の地層を残すヨーロッパの街
初めてヨーロッパの都市に降り立ったとき、日本との街の雰囲気との違いに気づきました。
日本の街、特に地方の主要都市や駅前を思い浮かべてみます。
どこへ行っても、駅前には似たようなビルが立ち並び、オフィスやコンビニがあって、なんとなく似たような街の作りをしています。
これは日本だけでなく、フィリピンのマニラやマレーシア、中国の市街地、さらには南米コロンビアのボゴタなど、経済発展を優先した都市はどこも似たような顔つきになっていく傾向があります。
経済的な合理性を求めると、街の姿は自然と最適化されて似通ってきます。
一方でドイツをはじめとするヨーロッパの街は、少し様子が違いました。
◯ 経済活動と保存地区の棲み分け


高層ビルや飲食店が立ち並ぶ近代的なエリアと、古い街並みを保存した地区が、はっきりと区切られて存在している都市が多くありました。
中には、近代的なビルがまったくなく、昔ながらの伝統的な街並みだけが広がる都市もあります 。
◯ 時間をかけて育てる「観光資源」
経済効率だけを考えれば、古い建物を壊して大きな商業ビルを建てたほうが、短期的には大きなお金が動くはずです。
しかしドイツなどの欧州各国は、不便かもしれない歴史的な街並みをそのまま残すことに積極的にコストをかけています。

一見すると非効率に見えるこの選択が、歴史の地層を重ねることで街に深みを与え、数十年、数百年という年月を経たときに、世界中から人を惹きつける観光資源という唯一無二の価値を生み出しているように感じます。
ドイツと日本の共通点
ドイツといえば、みなさんはどんなイメージを持ちますか?
バウハウスのデザイン、ベンツやBMW、ポルシェといった自動車メーカー、あるいはシュアやブラウンなどの音響・家電ブランドなど、工業的なメーカーのイメージが強いのではないでしょうか 。

日本と非常に似た性質を持っているように感じます。
しかし、フランスのパリ(ルーブル美術館)やイタリア(コロッセオ)、スペイン(サグラダ・ファミリア)のように、「ここを見てみたい」「この雰囲気の中に身を置きたい」と強烈に旅情を掻き立てる華やかな観光イメージが、ドイツには少し少ない気がしませんか。
日本も同じように、世界に誇れるコンテンツがあるはずなのに、インバウンド観光のブランディングにおいては、ヨーロッパの観光大国に比べて少し出遅れているようなもどかしさがあります 。
移動中の電車の中でAIツールを相手に壁打ちをしながら、この共通点の理由を探ってみました。
戦争に負けて工業的な発展に振り切ったからかとも考えたのですが、同じく敗戦国のイタリアがあれだけ観光大国として成功しているのを見ると、どうやら歴史的背景だけが理由ではなさそうです。
そこで行き着いたひとつの(浅い)仮説が、「国民性」でした。
ドイツ人も日本人も、根底につつましやかさがあり、自分たちの素晴らしいものを対外的にアピールするのが少し苦手なのではないか、という考察です。
良いものを作れば自然と伝わるはずだという職人気質が、対外的なPRを積極的に行う姿勢を阻害しているのかもしれません 。
個人の才能を国レベルの魅力へ

しかし、世界中を人々が気軽に移動し、スマートフォン一つで情報が手に入る今の時代に、対外的なアピールの必要性は高まっています。
日本国内を見渡せば、素晴らしいデザインを生み出すクリエイター、ブランディングへの深い洞察を持った才能ある人材はたくさんいます。
それなのに、その才能が国や街全体を世界に発信するレベルにまでうまく登用され、還元されていないような気がしてなりません 。
効率化を極めた機能的な街の便利さも大切ですが、ヨーロッパのように「歴史の地層」という余白を愛し、それをどう世界に向けて魅力的に翻訳していくか。
これからの日本が観光で世界と渡り合っていくためのヒントが、あのドイツの静かな街並みと、私たちの国民性への気づきに隠されているような気がしました。
つづく→
世界一周の記録を残しています。
デザインをやってます。
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