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【2026年最新】中小企業のための株式譲渡完全ガイド|手続きの流れ・税金の計算・節税対策まで徹底解説

監修:M&A専門アドバイザー Aldea M&A Advisory株式会社
最終更新:2026年4月

2026年重要情報: 株式譲渡益への課税強化(ミニマムタックス改正)が2026年度に施行予定。譲渡益が約3.5億円を超えるケースでは手取り額に影響が生じる可能性があります。M&Aの実行タイミングをこれまで以上に慎重に検討することが重要です。

税金に関する出典: 本記事の税率・計算方法はすべて国税庁の公式情報に基づいています。
No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)
No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
退職所得の源泉徴収税額の速算表

この記事でわかること
株式譲渡とは何か(事業譲渡・合併との違い)
・中小企業の株式譲渡の具体的な手続きの流れ(7ステップ)
・税金の種類・税率・計算方法(国税庁公式データに基づく具体例)
・手取り額を増やすための節税対策5選
・2026年の税制改正が株式譲渡に与える影響
・よくある質問と失敗しないためのチェックリスト


株式譲渡とは?3行でわかる基本定義

株式譲渡とは、会社のオーナー(株主)が保有する株式を第三者に売却し、経営権を移転する手法です。

会社という「器(法人格)」はそのまま存続し、その器の「所有者」だけが変わります。取引先との契約・従業員の雇用関係・銀行口座・許認可などはそのまま引き継がれるため、事業への影響が最小限に抑えられます。中小企業のM&A(会社売却)において最も多く使われる手法です。

株式譲渡・事業譲渡・合併の違いを比較表で理解する


「会社を売る」といっても、手法によって法的な意味・税金・手続きが大きく変わります。

株式譲渡
売るもの 株式(会社全体の所有権)
法人格  存続する
取引先契約の引継ぎ 自動的に引き継がれる
従業員の引継ぎ 自動的に引き継がれる
認可の引継ぎ 原則そのまま引き継がれる
売り手の税金(個人) 譲渡所得税 20.315%(一律)
手続きの複雑さ 低い(最もシンプル)
中小企業での活用頻度 ◎(最多)

事業譲渡
売るもの 特定の事業・資産
法人格  存続する
取引先契約の引継ぎ 個別に契約し直す
従業員の引継ぎ 個別に雇用契約を締結
認可の引継ぎ 原則引き継げない(再取得)
売り手の税金(個人) ※会社が受け取るため直接課税なし
手続きの複雑さ 中程度
中小企業での活用頻度 ○

合併(吸収合併)
売るもの 会社そのもの(消滅)
法人格  消滅する
取引先契約の引継ぎ 自動引継ぎ
従業員の引継ぎ 自動引継ぎ
認可の引継ぎ 引き継がれる
売り手の税金(個人) 場合による
手続きの複雑さ 高い
中小企業での活用頻度 △

ポイント: 中小企業の事業承継でほぼ標準となっているのが株式譲渡です。手続きがシンプルで、個人株主(オーナー社長)の税率が事業譲渡より低い(20.315% vs 法人実効税率約30〜34%)ため、オーナーの手取り額が有利になるケースが多いです

株式譲渡契約書と印鑑

株式譲渡の手続きの流れ(7ステップ)

株式譲渡には、法律上の手続きと実務上の手続きがあります。M&Aとして第三者へ株式を譲渡する場合の標準的な流れを解説します。

Step 1|譲渡の意思確認と準備(1〜2ヶ月)

まず、自社の株式を誰が保有しているかを確認します。中小企業ではオーナー社長が100%保有していることが多いですが、家族・役員・元従業員が株式を持っているケースもあります。
この段階で確認すること:
株主名簿の確認(誰が何株保有しているか)
・定款の確認(株式に譲渡制限がかかっているか)
・簡易的な企業価値の把握(売却価格の目安)
重要:譲渡制限付き株式について
中小企業の株式の大半は「譲渡制限付き株式」です。これは定款によって「株式を売却するときは会社(取締役会または株主総会)の承認が必要」と定められた株式のこと。第三者に売却する前に、必ず会社の承認を取得する必要があります。

Step 2|M&A仲介会社との相談・契約(1〜2ヶ月)

M&A仲介会社やFA(ファイナンシャルアドバイザー)に相談し、アドバイザリー契約を締結します。仲介会社は買い手の探索・交渉サポート・書類作成など、M&A全体を支援します。
仲介会社選びのポイント:
同業種・同規模の成約実績があるか
・手数料体系が明確か(着手金の有無・成功報酬の料率)
・担当者の経験・知識レベル
・サポート範囲(DD支援・契約書作成まで含むか)

Step 3|企業概要書(IM)の作成・買い手候補の探索(1〜3ヶ月)

仲介会社が「企業概要書(インフォメーションメモランダム)」を作成し、候補となる買い手に打診します。この段階では**会社名は伏せた匿名情報(ティーザー)**から始まり、興味を持った候補先とのみNDA(秘密保持契約)を締結して詳細を開示します。

Step 4|トップ面談・条件交渉(1〜2ヶ月)

候補先が絞られたら、売り手・買い手の経営者同士が直接会う「トップ面談」を実施します。条件の摺り合わせと「相手の会社に任せても大丈夫か」という人柄・経営理念の確認が目的です。

Step 5|基本合意書(LOI)の締結

概ね条件が合意に達したら「基本合意書(Letter of Intent)」を締結します。この書面で定める主な項目は以下のとおりです。
・株式譲渡の対象株式数・価格の目安
・M&Aの手法(株式譲渡であることの確認)
・デューデリジェンス(DD)の実施についての合意
独占交渉権の設定(一定期間、他の買い手との交渉を停止)
・クロージングの目標スケジュール

Step 6|デューデリジェンス(DD)(1〜2ヶ月)

買い手側が公認会計士・弁護士・社会保険労務士などの専門家を起用して、売り手企業の実態を詳しく調査します。
主なDDの種類と確認ポイント:
財務DD 決算書の正確性、簿外債務・含み損の有無、売掛金の回収可能性
法務DD 重要契約書の内容、訴訟・紛争リスク、許認可の有効性
税務DD 過去の申告内容の正確性、未払税金・税務リスクの有無
労務DD 未払残業代、労使関係、キーマン依存度、採用状況

売り手側の心得: DDで重大な問題が発覚すると、価格の大幅引き下げや破談につながります。事前に自社の「リスク棚卸し」をしておくことが、スムーズな売却の鍵です。

Step 7|最終契約・クロージング

DDの結果を踏まえて最終価格・条件を確定し、「株式譲渡契約書(SPA:Share Purchase Agreement)」を締結します。その後、代金の決済と株式の引き渡し(クロージング)を行い、M&Aが法的に完了します。


株式譲渡にかかる税金:種類・税率・計算方法を完全解説

株式譲渡の税金は、売り手が「個人」か「法人」かによって大きく異なります。

ケース①:個人株主が株式を売却する場合

中小企業のオーナー社長が自ら持つ株式を売却する最も一般的なケースです。
適用される税金:申告分離課税(一律20.315%)
国税庁の公式情報(No.1463)に基づき、個人が非上場株式(一般株式等)を譲渡した場合の税率は以下のとおりです。

出典:国税庁 No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)
「申告分離課税」とは、給与所得や事業所得など他の所得とは切り離して、株式譲渡益だけを独立して計算・申告する課税方式です。他の所得がいくら多くても、株式譲渡益に対する税率は一律20.315%が適用されます(後述の2026年改正に注意)。

譲渡所得の計算式(国税庁 No.1463 に準拠):
譲渡所得 = 売却価格(総収入金額) − (取得費 + 委託手数料等の必要経費)
売却価格:株式を売った金額(M&A成約価格)
取得費:株式を取得するために支払った金額(資本金・増資額など)
必要経費:M&A仲介会社への成功報酬・弁護士費用など、売却のために直接かかった費用

※1 手取り額=売却価格3億円-税額約5,790万円-仲介手数料1,000万円の概算。実際の手取り額は諸費用・条件により異なります。
※2 手取り額=売却価格1億円-税額約1,869万円-仲介手数料500万円の概算。実際の手取り額は諸費用・条件により異なります。

ケース②:法人株主が株式を売却する場合

持株会社や他の法人が株式を保有し、それを売却する場合、株式譲渡益は他の事業収益と合算され、法人税等が課されます。個人のような分離課税ではなく、法人の所得に対して総合課税が適用されます。

法人税等の実効税率は法人の規模・所得額により異なりますが、概ね30〜34%前後が目安です。中小法人は所得800万円以下の部分に軽減税率(15%)が適用されます。

2026年の税制改正が株式譲渡に与える影響

2026年度税制改正において、高所得者への課税強化(ミニマムタックス見直し) が実施されます。

改正の内容(2026年度)

改正前は、基準所得金額が3.3億円を超える場合に、
(基準所得金額-3.3億円)×22.5%基準所得税額 を上回るとき、その差額が追加課税される仕組みでした。改正後は控除額が1.65億円に引き下げられ、税率も30%に引き上げられます。

そのため、株式譲渡益が所得の大半を占めるケースでは、譲渡益がおおむね3億円台半ば以上になると、追加課税により手取りが減る可能性があります。
ただし、実際の影響は、他の所得・控除・税額控除の有無によって変わります。

重要注意事項: 上記は公表資料・大綱に基づく一般的な見通しです。最終的な立法過程で変更される可能性があります。必ず税理士等の専門家にご相談ください。

手取り額を増やす!株式譲渡の節税対策5選

節税対策①:役員退職金を活用する(最も効果的)

M&Aによる会社売却の際、オーナー社長が退任する場合に「役員退職金」を支払うことができます。役員退職金には大きな税制上の優遇があります。
出典:国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)

勤続年数 20年以下 退職所得控除額 40万円 × 勤続年数(最低80万円)
勤続年数 20年超 退職所得控除額 800万円 + 70万円 × (勤続年数 − 20年)

※3 速算表(退職所得の源泉徴収税額の速算表)に基づく。課税退職所得1,750万円は「900万円超1,800万円以下」の区分(税率33%、控除額153.6万円)に該当。 ※4 住民税は課税退職所得の10%(都道府県税4%+市区町村税6%)。

株式譲渡益に対する税率(20.315%一律)と比較して、退職金部分の税負担を大幅に軽減できます。ただし、退職金の「適正額」には税法上の基準があり、過大な支払いは損金算入が認められないため、必ず税理士と相談して設定してください。

役員退職金の「適正額」の目安: 「最終報酬月額 × 勤続年数 × 功績倍率(一般的に2〜3倍)」が実務上の判断基準とされています。この水準を大幅に超えると「過大な役員給与」として一部または全部の損金算入が否認されるリスクがあります。

節税対策②:仲介手数料・専門家費用を必要経費に計上する

M&A仲介会社への成功報酬・弁護士費用・税理士費用・DDにかかる費用は「必要経費(委託手数料等)」として譲渡所得から控除できます(国税庁 No.1463 参照)。

必要経費として認められる主な費用:
M&A仲介会社への成功報酬(着手金も条件次第で計上可)
・弁護士・税理士への相談・契約書作成費用
・DDの外部専門家への費用(買い手負担の場合は除く)
見落としなく集計することで、課税される譲渡所得を圧縮できます。

節税対策③:株式の取得費を正確に把握する

譲渡所得の計算において、取得費を正確に把握することが重要です。
取得費として認められるもの:
会社設立時の出資金(資本金)
・増資時に追加で払い込んだ金額
・株式を他の株主から購入した場合の購入価格と付随費用

創業時の出資金額が小さい(例:100万円)のに対して売却価格が数億円になるケースでは、取得費が極めて少ないため課税対象となる譲渡所得が大きくなります。これは避けられませんが、必要経費を漏れなく計上することで課税額を減らせます。

節税対策④:M&A実行のタイミングを戦略的に選ぶ

前述の2026年度税制改正(ミニマムタックス)により、売却益の規模によってはM&Aの実行タイミングが手取り額に大きく影響します。また、会社の業績・市場環境・年齢・健康状態なども含め、「いつ売るか」の戦略的な判断が重要です。早めに専門家に相談し、最適なタイミングを検討しましょう。


株式譲渡の注意点:失敗しないための5つのチェックポイント

チェック①:全株主の同意は取れているか

株式が複数の株主に分散している場合、全員から同意を得る必要があります。少数株主(元役員・元従業員など)が反対すると手続きが複雑になります。M&A着手前に株主構成を整理しておくことが重要です。

チェック②:簿外債務・偶発債務はないか

帳簿に記載されていない借金(連帯保証・未払い残業代・損害賠償リスクなど)は、DDで発覚すると価格引き下げや破談の原因になります。事前の「自社版DD」として、財務・法務・労務のリスクを棚卸しておきましょう。

チェック③:重要な許認可は株式譲渡後も有効か

業種によっては(建設業許可・宅地建物取引業・医療・介護など)、株式譲渡後に許認可の届出や変更手続きが必要なケースがあります。業種固有の規制を事前に確認しておきましょう。

チェック④:チェンジオブコントロール(COC)条項はないか

重要な取引先・賃貸借契約・金融機関との融資契約に「経営権が変わった場合は契約を解除できる」という条項が含まれていると、M&A後に取引関係が変化するリスクがあります。主要契約書を事前に確認しておくことが必要です。

チェック⑤:税理士・M&A専門家と連携しているか

株式譲渡の税金計算・節税対策・確定申告は複雑です。特に2026年の税制改正を踏まえると、専門家なしで進めることのリスクは以前より大きくなっています。M&A仲介会社・税理士・弁護士の三者が連携したチームで進めることを強くお勧めします。

株式譲渡に関するよくある質問(FAQ)

Q. 株式譲渡の確定申告はいつまでにすればよいですか?
A. 株式を売却した翌年の3月15日までに確定申告を行い、納税します(3月15日が土日祝日の場合は翌営業日)。非上場株式の譲渡は特定口座制度が使えないため、確定申告が必要です。

Q. 非上場株式と上場株式で税金の扱いは違いますか?
A. どちらも税率は20.315%ですが、損益通算のルールが異なります。国税庁 No.1463 によると、「一般株式等(非上場株式)に係る譲渡損失は、上場株式等の譲渡所得と相殺することができません」。それぞれ別枠の申告分離課税として扱われます。

Q. 退職金はどのくらい出せますか?
A. 実務上の目安は「最終報酬月額 × 勤続年数 × 功績倍率(一般的に2〜3倍)」です。この水準を大幅に超えると損金算入が否認されます。必ず税理士と相談の上で設定してください。

Q. M&Aの仲介手数料は税金の計算に使えますか?
A. 成功報酬として支払った仲介手数料は「委託手数料等の必要経費」として譲渡所得から差し引くことができます(国税庁 No.1463 参照)。領収書・契約書を必ず保管しておきましょう。

Q. 売却した後に税務調査が来ることはありますか?
A. 大きな売却益が発生した年の翌年以降、税務署から確認が入るケースがあります。申告漏れや計算ミスがあると追徴課税が発生します。売却前後の書類を整理し、税理士に申告を依頼することをお勧めします。

株式譲渡を成功させるためのロードマップ

【3〜5年前】
└─ 株主構成の整理(分散している株式の集約)
└─ 財務状況の改善(不要資産の整理・収益性の向上)
└─ 役員退職金の設計(最終月額報酬・勤続年数の確認)

【1〜2年前】
└─ M&A仲介会社・税理士への初回相談
└─ 簡易的な企業価値評価(売却価格の目安把握)
└─ 自社のリスク棚卸し(簿外債務・COC条項の確認)

【6〜12ヶ月前〜成約】
└─ 仲介会社との本格契約・買い手候補の探索
└─ トップ面談・交渉・基本合意書締結
└─ デューデリジェンス(DD)の対応
└─ 最終契約・クロージング 【売却後】
└─ 確定申告(翌年3月15日まで)
└─ PMI対応(引き継ぎ・役割移行)
└─ 個人保証・担保の解除手続き

まとめ:株式譲渡は「準備」と「専門家連携」が成否を分ける

株式譲渡は中小企業のM&Aで最もポピュラーな手法ですが、税金の計算・節税対策・法的な手続きは専門的な知識が必要です。特に2026年は税制改正の影響もあり、売却タイミングが手取り額に大きく影響する年です。

成功のカギは以下の3点です。

  1. 早めに動く(準備が整っている会社ほど高く売れる)

  2. 節税対策を事前に設計する(特に役員退職金は着手時点から設計が必要)

  3. 信頼できる専門家チームを持つ(M&A仲介・税理士・弁護士の三位一体)

まずは無料相談から始め、自社の現状と可能性を把握することが第一歩です。

税金に関する主な参照先(国税庁・公式情報)

株式等の譲渡所得(申告分離課税)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1463.htm

退職所得の計算方法https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1420.htm

退職所得の源泉徴収税額の速算表https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2732_besshi.htm

株式・配当・利子と税(概説)https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/04_5.htm

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本記事の税金に関する情報は2026年4月時点の国税庁公式情報に基づいています。税制・法律は改正される場合があります。個別の税務判断については、必ず税理士等の専門家にご相談ください。

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