【2025年版】SES会社の売却相場
相場・高評価条件・税務の要点
2025年の今、SES会社(システムエンジニアリングサービス)の売却は「人材確保」と「DX需要」の二つの波に押され、引き合いが非常に強い状況です。買い手は上場SIerからグループのIT子会社、人材サービス、同業のSESまで多岐にわたり、案件規模も数千万円から数十億円まで幅広く動いています。では、実務の現場でどのように価格が決まり、どんな会社が高く評価されるのか。最新事例の肌感と税務の要点も交え、手取りベースで整理します。
加えてM&A Doでは、一定の条件を満たす企業様について、EBITDA7〜8倍での検討が可能な買い手企業へのご提案も対応可能です(※個社条件・デューデリ結果・投資方針により変動)。
結論(サマリー)
・2025年の売却相場は、規模と品質で大きく二極化。小規模(売上3〜10億円程度)ではEBITDAの3〜5倍、中規模では5〜7倍、指名案件が集まり直請け・稼働率が高い会社は7倍超も十分に視野。売上倍率は体感で0.4〜0.8倍に収れんしやすいが、成長分野や直請け比率次第で1.0倍近くまで切り上がることもあります。
・“高く売れる会社”の核心は、直請け比率、粗利率、稼働率、離職率、顧客集中度、契約・労務コンプラの6点セット。ここを定量で示せる会社は交渉で一段強い立場に立てます。
・スキーム選定は手取りに直結。株式譲渡は消費税が非課税で個人株主なら概ね20.315%の分離課税。一方、事業譲渡は資産ごとに消費税課税(のれん含む)となる反面、買い手はのれんを税務上5年で償却できるため、価格に税効果を織り込みやすい。紙の契約書は印紙税が必要ですが、電子契約なら印紙税は不要です。
・大手仲介の「両手」だと、買い手・売り手の手数料合計が5,000万円を超える局面も珍しくなく、実質的に売却価格(実態評価額)の切下げ要因になり得ます。売り手の手取り最大化を意識した報酬設計は、初期段階から検討が必要です。
・〈追加〉M&A Doでは、直請け比率が高く粗利・稼働が安定し、コンプライアンス面が整った企業様を中心に、 EBITDA7〜8倍での検討が可能な買い手企業へ 初期提案が可能です。(※保証値ではなく、案件条件・買い手方針・市況により上下)
2025年のマーケット背景
・DXの遅れ(いわゆる“2025年の崖”)とクラウド・セキュリティ・データ領域の投資継続で、エンジニア需要は堅調。ユーザー企業側の人材不足は構造的で、内製支援や常駐開発のニーズは底堅いままです。
・案件は同業の水平統合、地方拠点の補完、特定ドメイン(金融、医療、製造、官公庁)強化の三類型が中心。人材獲得目的のM&Aが多く、PM・上流工程の人材を抱える会社は評価が一段上がりやすい傾向です。
最近の動き(ピックアップ事例)
・Carecon→TWOSTONE&Sons(2024年10月、株式譲渡)。エンジニアマッチング・SES領域の連携強化を狙った子会社化。直近でも周辺人材/教育×SESの複合案件が続いています。
・フーバーブレイン→イチアール(2024年10月連結子会社化、2025年6月完全子会社化)。情報セキュリティ×SESの補完で、グループ内の人材アロケーションを強化。
・情報戦略テクノロジー→エー・ケー・プラス(2025年2月、子会社化)。DX内製支援×クラウド/運用保守の組合せで、提供領域を拡張。
(上記は公表情報ベース。価格は非開示のものもありますが、動向として「人材・領域の補完」「地域展開」「顧客アクセスの獲得」に集約されます)
2025年の売却相場(レンジの見方)
・EBITDA倍率:小規模3〜5倍、中規模5〜7倍、指名性・直請け比率が高い会社やAI/クラウド/セキュリティ特化は7倍超の提示が出ることもあります。標準的なディールではデューデリ結果(労務・契約・顧客集中)で0.5〜1.0倍程度上下します。
・売上倍率:0.4〜0.8倍が目安。営業利益率が10%を切る場合は倍率が伸びにくく、反対に粗利率が二桁後半で待機率が低い会社は1.0倍近くまで引き上がる事例もあります。
・買い手の税効果:事業譲渡で生じる営業権(のれん)は税務上5年償却可。法人実効税率30%前後とすると、のれん6,000万円なら年間約360万円、5年で約1,800万円の税効果イメージ。買い手がこれを価格に織り込むと、同じ事業でもスキーム次第で“提示価格”が変わります。
M&A Doの提案力(追加情報)
条件を満たす企業様については、EBITDA7〜8倍での検討が可能な買い手(上場企業・大手グループ・投資主体を含む)へ直接打診が可能です。
目安条件:①直請け/一次請け比率が高い、②粗利率20%以上かつ稼働率95%超、③離職率15%未満、④顧客集中リスクが低い、⑤契約・労務コンプラが整っている 等。
※最終条件はデューデリ結果・市況・買い手方針で変動します。
ケースで読む:規模別の感触
・売上5億/EBITDA6,000万円クラス:EBITDA×4〜6倍で2.4〜3.6億。株式譲渡で個人株主が全株売却し取得費ゼロと仮定すると、税額は概ね20.315%で約4,063万(利益2億に対し)〜約6,093万(利益3億)程度。事業譲渡なら消費税と法人課税の設計が別途必要。
・売上10億/EBITDA1.5億クラス:EBITDA×5〜7倍で7.5〜10.5億。上場系や大型グループが買い手になると、PMI前提のシナジー評価で上振れする一方、顧客集中・人材依存のディスカウントも受けやすいレンジ。
(注)上記は実務での“相場感”です。個社の成長率、案件パイプライン、離職率、コンプライアンス、偶発債務の有無で大きく変動します。
高く売れる会社の条件
直請け比率が高い(一次請け・エンド直の売上比率50%以上が目標)。多重下請けの比重が高いと粗利率が落ち、値決めの主導権も弱くなります。
粗利率と稼働率が安定(粗利率20%以上、待機率5%未満、稼働率95%超を目安)。案件収益の可視化と月次の改善サイクルが鍵。
退職率が低い(年間離職率15%未満)。育成・評価制度とキャリアパスの設計が、買い手評価に直結します。
顧客集中が低い(最大顧客の売上構成20%以下、上位5社で50%以下が理想)。一社依存は価格ディスカウントの最大要因の一つ。
成長ドメインに強み(クラウド、データ、セキュリティ、モダンアプリ、生成AI活用など)。資格保有や事例化で“再現性”を提示。
契約・労務コンプライアンスが整備(偽装請負リスク回避、派遣/準委任の線引き、36協定、未払い残業・社会保険の精査)。是正コストはそのまま価格調整につながります。
組織の再現性(標準原価・レート表、スキルマップ、アサイン基準、採用・オンボーディングのKPI)。属人化は大幅ディスカウントの火種。
ドキュメント整備(基本契約・再委託条項・知財と秘密保持、反社チェック、個人情報保護体制)。デューデリのスムーズさ=価格の守備力です。
ディスカウントの典型
・多重下請け比率が高い/外注依存が大きい(粗利率圧縮)
・待機が慢性化/アサインが属人的(稼働率のブレ)
・売上の一極集中(最大顧客への依存)
・偽装請負の兆候/契約類の不備/労務の是正リスク(買い手の将来負担)
・キーマン依存(退職時の事業毀損懸念)
スキームと税金(手取りに効くポイント)
・株式譲渡:消費税は非課税。個人株主は原則20.315%の分離課税。法人株主は法人税課税。偶発債務は価格で調整するのが通例。
・事業譲渡:資産ごとに消費税(のれん、在庫、機械などは課税、土地は非課税)。買い手は課税資産の消費税を仕入税額控除でき、のれんは税務上5年償却可。不動産を含む場合は登録免許税等も要確認。
・印紙税:紙の契約書は印紙税が課税。電子契約は印紙税の課税対象外。
手取り比較(1億円のシンプルな目安)
・個人株主が株式譲渡:売却益1億円×20.315%=2,031万5,000円の税額。手取りは概ね7,968万5,000円。
・法人が事業譲渡:受領額1億円(税抜)に対し法人実効税率30%前後で約3,000万円の法人税等。消費税は預り金として納付。会社に残る現金は約7,000万円前後。オーナー個人に資金を移す段階(配当・退職金)で個人課税が別途発生。
(注)取得費・譲渡費用、軽減税率、繰越欠損金、退職金設計などで実額は大きく変わります。
価格を一段引き上げる実務のコツ
・直請け比率を分解開示:一次請け・エンド直・二次以下の売上構成と粗利を月次で見える化。
・レート表の整備:スキル×工程×地域の標準レート/値上げ実績を提示。
・ベンチマークKPI:稼働率・待機率・粗利率・離職率の3〜6か月推移を“数値で”語る。
・契約・労務の棚卸し:基本契約、再委託、知財帰属、個人情報、36協定、未払の有無。赤点があれば先に是正。
・キーマンのリテンション設計:残留インセンティブや一部アーンアウトで、人の移行不安を解消。
デューデリジェンスで見られる主な観点
事業:顧客別粗利、アサイン、案件継続性、パイプライン、直請け・一次請け比率
人事:人員構成、スキルマップ、採用/育成、評価制度、離職率、就業規則
契約:基本契約、秘密保持、再委託、請負/準委任/派遣の線引き、個人情報
会計/税務:月次試算、部門別損益、未成工事支出金、外注・派遣費の扱い、税務申告
法務/リスク:反社チェック、労基法対応、偽装請負の兆候、紛争・クレーム履歴
費用構造と“手取り最大化”
大手の仲介会社では、買い手・売り手の双方で成功報酬や中間報酬が発生します。レーマン方式等の最低報酬設定があると、合計で5,000万円超になることも珍しくありません。これは結局、価格交渉の余地(=実態評価額)を圧縮し、売り手の手取りを目減りさせる要因です。初期の段階から、報酬体系が事業価値に与える影響を具体的な試算で把握しておくことを強くおすすめします。
まとめ
・2025年のSES売却相場は、EBITDAの3〜7倍が一つの“ものさし”。ただし倍率は結果であり、直請け・粗利・稼働・離職・集中・コンプラの6点セットが先。
・税務・スキームの設計は“手取り”に直結。買い手の税効果(のれん5年償却)も踏まえ、価格・スキームを同時最適化する。
・デューデリで突かれるポイントは決まっている。数値化・是正・開示で、ディスカウントの余地を事前に潰す。
・〈追加〉条件適合企業については、M&A Doから EBITDA7〜8倍の検討余地がある買い手層へ提案 し、上振れレンジの実現可能性を探ることができます。(※保証ではありません)
M&A Doのご案内
M&A Doは、全業種・全国対応の仲介会社です。最大の特徴は「譲渡企業からの手数料が0円」であること。売り手の手取り最大化にこだわり、買い手側の税効果やPMIの実現可能性まで織り込んだ“総合最適の設計”をご一緒します。大手仲介と比べ、両手手数料の圧縮により実質的な売却価格(実態評価額)を守りやすいことも強みです。
さらに当社ネットワークにより、条件を満たす企業様については EBITDA7〜8倍での検討が可能な買い手企業 への初期提案〜交渉の立ち上げも対応可能です。秘密厳守・初回相談無料。足元の相場感と“手取り見込み”を、具体の数値でお返しします。
参考リンク(一次情報・専門解説・事例)
・経済産業省|DXレポート(ITシステム「2025年の崖」):https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/dx/DX_report_summary.pdf
・経済産業省|IT人材需給に関する調査(概要):https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/gaiyou.pdf
・国税庁|非課税となる取引(有価証券の譲渡ほか):https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6201.htm
・国税庁|営業の譲渡をした場合の対価の額(事業譲渡の課税関係):https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/14/01.htm
・国税庁|印紙税Q&A(電磁的記録は課税文書に該当せず):https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/02/10.htm
・税務大学校論叢|自己創設営業権の時価評価について(営業権の概念整理):https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kenkyu/ronsou/80/03/01.pdf
・Carecon→TWOSTONE&Sons(公式リリース):https://care-con.co.jp/news/%E8%A6%AA%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E5%A4%89%E6%9B%B4%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%8A%E7%9F%A5%E3%82%89%E3%81%9B/
・フーバーブレイン→イチアール(IR開示・子会社化):https://finance-frontend-pc-dist.west.edge.storage-yahoo.jp/disclosure/20240930/20240930590850.pdf
・フーバーブレイン→イチアール(IR開示・完全子会社化):https://finance-frontend-pc-dist.west.edge.storage-yahoo.jp/disclosure/20250630/20250630504544.pdf
・情報戦略テクノロジー→エー・ケー・プラス(ニュース・IR):https://www.is-tech.co.jp/news-posts/20250213info2/ / https://finance-frontend-pc-dist.west.edge.storage-yahoo.jp/disclosure/20250213/20250213572508.pdf
・M&A Online|フーバーブレイン、イチアールを子会社化(概要):https://maonline.jp/news/20240930i
・厚生労働省(東京労働局)|労働者派遣・請負を適正に行うためのガイド(偽装請負リスクの理解):https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/001082098.pdf
・Money Forward会計|のれん(営業権)の税務上の償却期間(5年):https://biz.moneyforward.com/accounting/basic/80093/

