なぜ|伸びる人は、起きた事実で終わらせない
なぜ?
前回は、現場の違和感について書いた。
前回の記事はこちら
会社が悪くなるとき、最初から大きな問題にはならない。
チャットの返信が遅くなる。
会議で本音が出なくなる。
「大丈夫です」が増える。
資料は増えているのに、判断が速くならない。
数字は達成しているのに、現場の表情が重くなる。
こういう小さな異変を拾えるかどうか。
そこに、ビジネスセンスの差が出る。
ただ、違和感を拾うだけでは足りない。
「なんかおかしい」
「現場が疲れている気がする」
「会議が増えている気がする」
「顧客の反応が薄くなっている気がする」
ここで止まると、ただの感想になる。
伸びる人は、起きた事実で終わらせない。
必ず、なぜそうなったのかを考える。
事実を並べても、会社は動かない
会社の中では、毎日のように事実が並ぶ。
売上が未達だった。
受注単価が下がった。
解約が増えた。
商談数が足りなかった。
採用が進まなかった。
会議が長引いた。
プロジェクトが遅れた。
現場から不満が出た。
もちろん、事実を見ることは大事だ。
事実を見なければ、現状はわからない。
数字を見なければ、ズレは見えない。
現場の声を聞かなければ、空気はつかめない。
でも、事実を並べただけでは、会社は動かない。
売上が未達でした。
解約が増えました。
採用が遅れています。
会議が増えています。
現場が疲れています。
ここで終わると、ただの報告になる。
報告は増える。
資料も増える。
会議も増える。
でも、打ち手は変わらない。
なぜなら、事実の奥にある構造を見ていないからだ。
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「なぜ」を飛ばすと、打ち手が浅くなる
問題が起きたとき、多くの会社はすぐに打ち手へ行く。
売上が足りない。
だから営業量を増やそう。
解約が増えた。
だからフォローを強化しよう。
採用が進まない。
だから求人媒体を増やそう。
会議が長い。
だからアジェンダを事前に出そう。
現場が疲弊している。
だから人を採ろう。
一見すると、前向きに動いているように見える。
でも、「なぜ」を飛ばした打ち手は浅くなりやすい。
売上が足りないのは、
営業量の問題なのか。
商談の質の問題なのか。
ターゲットがズレているのか。
価格が合っていないのか。
そもそも顧客課題が弱いのか。
解約が増えたのは、
フォロー不足なのか。
期待値のズレなのか。
導入時の説明不足なのか。
プロダクトの価値が伝わっていないのか。
顧客が本当に欲しかったものと違うのか。
採用が進まないのは、
媒体の問題なのか。
訴求が弱いのか。
会社の魅力が伝わっていないのか。
条件が合っていないのか。
そもそも採るべき人物像が曖昧なのか。
会議が長いのは、
アジェンダの問題なのか。
決める人がいないのか。
論点が整理されていないのか。
責任が曖昧なのか。
決めた後の実行が設計されていないのか。
原因を見ないまま打ち手を出すと、表面だけを触ることになる。
そして、また同じ問題が起きる。
「なぜ」は、責任追及ではない
「なぜ」を問うと、責められているように感じる人がいる。
なぜできなかったのか。
なぜ遅れたのか。
なぜ数字が足りないのか。
なぜ確認していなかったのか。
この聞き方をすると、現場は守りに入る。
言い訳を探す。
報告を整える。
責任を避ける。
本音を言わなくなる。
次から問題を早めに出さなくなる。
これでは、会社はよくならない。
ビジネスセンスを磨くための「なぜ」は、責任追及ではない。
構造を見るための問いだ。
なぜ、この数字になったのか。
なぜ、この判断が遅れたのか。
なぜ、この会議で決まらなかったのか。
なぜ、この顧客は離れたのか。
なぜ、この人は動けなかったのか。
責めるためではなく、再現性を見つけるために問う
うまくいかなかった理由を探すだけではない。
うまくいった理由も同じように見る。
なぜ、この施策は伸びたのか。
なぜ、この顧客は継続したのか。
なぜ、このチームは動けたのか。
なぜ、この会議では決まったのか。
なぜ、この数字は改善したのか。
「なぜ」は、失敗を責めるための言葉ではない。
出来事を、次の判断に使える形に変えるための言葉だ。
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伸びる人は、現象と構造を分けて見る
ビジネスで差が出るのは、現象を見た後だ。
同じ事実を見ても、そこで終わる人と、構造まで掘る人がいる。
たとえば、売上が伸びた
そこで終わる人は、「うまくいった」と見る。
でも、伸びる人は、その伸び方を見る。
新規顧客が増えたのか。
既存顧客の単価が上がったのか。
値引きして取ったのか。
特定の営業に依存しているのか。
市場全体が伸びただけなのか。
一時的なキャンペーンの効果なのか。
現場の工数を無理に使っていないか。
同じ売上増でも、意味はまったく違う。
たとえば、会議が増えた
そこで終わる人は、「連携が増えた」と見る。
でも、伸びる人は、その会議の中身を見る。
何を決める会議なのか。
誰が決めるのか。
何が持ち帰られているのか。
毎回同じ論点を話していないか。
会議後に現場の行動は変わっているか。
会議を増やさないと進まない構造になっていないか。
同じ会議増でも、意味はまったく違う。
たとえば、退職者が出た
そこで終わる人は、「本人の事情」と見る。
でも、伸びる人は、その前兆を見る。
その人はいつから発言が減っていたのか。
期待値は合っていたのか。
責任だけ増えて、権限が渡されていなかったのか。
評価基準が曖昧だったのか。
上司は何を見落としていたのか。
同じ兆候が他のメンバーにも出ていないか。
同じ退職でも、意味はまったく違う。
現象で止めるか。
構造まで見るか。
ここに、ビジネスセンスの差が出る。
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「なぜ」を繰り返すと、打ち手の位置が変わる
「なぜ」を繰り返すと、最初に思いついた打ち手がズレていることに気づく。
たとえば、営業の受注率が下がっている
表面だけを見ると、営業力の問題に見える。
だから、
営業研修をする。
ロープレを増やす。
商談数を増やす。
マネージャーが同行する。
もちろん、それが必要な場合もある。
でも、「なぜ」を掘ると違う景色が見えることがある。
なぜ受注率が下がったのか
商談相手が変わっている。
なぜ商談相手が変わったのか。
マーケティングの訴求を変えたから。
なぜ訴求を変えたのか。
リード数を増やすため。
なぜリード数を優先したのか。
KPIがリード数に寄りすぎていたから。
ここまで見ると、問題は営業力だけではない。
マーケティングのKPI設計。
ターゲットのズレ。
営業とマーケの接続。
質より量を追う管理。
経営が見ている数字。
そこまで広がる。
すると、打ち手も変わる。
営業研修だけではなく、ターゲットを見直す。
リードの質を見る。
KPIを変える。
商談化後の顧客属性を見る。
営業とマーケの会議体を変える。
「なぜ」を掘ると、打ち手の位置が変わる。
これが重要だ。
問題の場所を間違えると、どれだけ頑張っても会社は動かない。
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数字は、なぜを問わないと使えない
数字は大事だ。
ただし、数字は見ただけでは意味を持たない。
売上が上がった。
粗利が下がった。
解約率が上がった。
商談数が増えた。
採用数が増えた。
残業時間が増えた。
数字は事実を示す。
でも、理由までは教えてくれない。
売上が上がった理由は何か。
粗利が下がった理由は何か。
解約率が上がった理由は何か。
商談数が増えたのに受注が増えない理由は何か。
採用数が増えたのに組織が強くならない理由は何か。
残業時間が増えているのに成果が伸びない理由は何か。
ここを問わないと、数字はただの報告になる。
経営管理が弱い会社では、数字が並ぶ
でも、数字を見ているのに会社が動かない。
なぜか。
数字を意思決定に使っていないからだ。
差異が出た。
それは何を意味するのか。
どの前提が外れたのか。
どの打ち手を変えるのか。
誰がいつまでに動くのか。
次回どの数字を見て確認するのか。
ここまで決めて、初めて数字は経営に使える。
数字を見る力とは、数字を読む力だけではない。
数字に対して「なぜ」と問い、次の打ち手に変える力だ。
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成功も、なぜを問わないと危ない
失敗したときに「なぜ」を問う人は多い。
でも、本当に大事なのは、成功したときにも問うことだ。
成功したことで安心してしまうと、再現性が残らない。
なぜうまくいったのかを見ないと、次に同じことができない。
市場が伸びていただけなのか。
競合が弱かっただけなのか。
特定の担当者の力だったのか。
たまたまタイミングが良かったのか。
価格が安かっただけなのか。
既存顧客の信頼に支えられていたのか。
現場が無理をして吸収していただけなのか。
成功は、失敗よりも勘違いしやすい
うまくいった理由を、自分たちの実力だと思ってしまう。
市場の追い風を、戦略の勝利だと思ってしまう。
現場の無理を、組織の強さだと思ってしまう。
たまたまの受注を、営業力だと思ってしまう。
この勘違いは危ない。
成功を分解しない会社は、次に同じ判断を外す。
伸びる人は、失敗だけでなく成功にも「なぜ」を問う。
なぜ伸びたのか。
なぜ選ばれたのか。
なぜ続いたのか。
なぜ動いたのか。
なぜ決まったのか。
成功を構造化できる人は、次の判断に使える。
成功を感覚で終わらせる人は、次も同じようにできると思い込む。
この差は大きい。
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なぜを問う習慣が、判断基準を作る
ビジネスセンスは、単発のひらめきではない。
日々の出来事を、判断基準に変え続けた結果だ。
なぜ、の問いを繰り返すと、自分の中に判断基準が残る。
この伸び方は危ない。
この会議は決まらない。
この採用は入れた後に崩れる。
この売上は利益を残さない。
この顧客は追うべきではない。
このKPIは現場を歪ませる。
この組織は責任が曖昧になっている。
こうした判断基準は、いきなり身につくものではない。
起きた事実を流さず、毎回「なぜ」と問うことで少しずつ蓄積される。
だから、伸びる人は出来事で終わらせない。
必ず、構造に変える。
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明日使える基準
何かが起きたとき、すぐに打ち手へ行かない方がいい。
まず、なぜを問う。
見るべきは、次の5つ。
1つ目は、何が起きたのか
売上が落ちたのか。
粗利が下がったのか。
会議が増えたのか。
解約が増えたのか。
採用が進まないのか。
現場が疲れているのか。
まず、事実を曖昧にしない。
2つ目は、それはどこに出ているのか
数字に出ているのか。
顧客の反応に出ているのか。
会議に出ているのか。
現場の空気に出ているのか。
チャットや報告に出ているのか。
責任の曖昧さに出ているのか。
問題が出ている場所を見る。
3つ目は、なぜ起きたのか
人の問題なのか。
仕組みの問題なのか。
数字の見方の問題なのか。
顧客理解の問題なのか。
責任設計の問題なのか。
そもそも前提が間違っていたのか。
原因を一つに決めつけない。
4つ目は、どの前提が外れたのか
市場の前提か。
顧客の前提か。
組織の前提か。
価格の前提か。
工数の前提か。
採用の前提か。
実行力の前提か。
前提が外れた場所を見つける。
5つ目は、次に何を変えるのか
KPIを変えるのか。
ターゲットを変えるのか。
会議体を変えるのか。
責任者を明確にするのか。
価格を見直すのか。
受注基準を変えるのか。
やめることを決めるのか。
なぜを問う目的は、分析することではない。
次の判断を変えることだ。
起きた事実を、事実のまま終わらせない。
なぜ起きたのかを考える。
構造に変える。
次の打ち手に接続する。
そこまでやって初めて、経験は判断基準になる。
分析で終わらせず、KPIと予実管理で会社をどう動かすか。
その話は、過去にこちらの記事でも書きました。
「経営戦略|分析で終わらせず、KPIと予実管理で会社を動かす」
ビジネスセンスは、起きたことを眺めるだけでは磨かれません。
事実を分解し、なぜを問い、次の判断に使ったときに磨かれます。
次回は、「比較」について書きます。
センスがある人は、いつも別のケースと比べている。
このテーマに少しでも引っかかった方は、スキやフォローをしてもらえると嬉しいです。
次回以降も、ビジネスセンスを才能ではなく、実務で磨ける判断基準として分解していきます。
