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センス|ビジネスセンスは才能ではなく、違和感を拾う力である

センス


ビジネスセンスがある人は、未来が見えているわけではない。

ただ、普通の人が流してしまう違和感を、少し早く拾っている。

売上は伸びている。
会議では問題ないと言われている。
現場も表向きは前向きに動いている。

それでも、どこかがおかしい。

受注の質が落ちている。
顧客の反応が薄くなっている。
チャットの返信が遅くなっている。
会議で本音が出なくなっている。
数字は達成しているのに、現場の顔が死んでいる。

この小さなズレを拾える人を、周囲は「あの人はセンスがある」と呼ぶ。

でも、それは才能ではない。
見ているものが違うだけだ。


センスがある人は、勘で決めているわけではない


ビジネスの現場では、よく「あの人はセンスがある」と言われる。

新規事業の方向性を決めるのが早い。
市場の変化に気づくのが早い。
顧客の反応を読むのがうまい。
伸びる施策と伸びない施策の見極めが早い。危ない組織の空気を察知するのが早い。

そういう人を見ると、最初から特別な感覚を持っているように見える。

でも実際には、センスがある人ほど、勘だけでは決めていない。

見ている。
比べている。
疑っている。
分解している。
過去の失敗と照らしている。

そして、

普通の人が「まあ大丈夫だろう」と流すものを、立ち止まって見ている

ビジネスセンスとは、
派手なアイデアを出す力ではない。
気の利いた言葉を言う力でもない。
なんとなく正解を当てる力でもない。

会社、市場、顧客、数字、組織の中に出ているズレを、早く拾う力である。

経営者やマネージャーに必要なセンスとは、問題が起きた後に処理する力だけではない。
問題になる前の小さなズレを拾う力だ。

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異常が出てから気づいても遅い


多くの会社は、問題が大きくなってから気づく。

売上が落ちてから、営業のやり方を見直す。
退職者が出てから、組織の問題に気づく。
解約が増えてから、顧客満足度を確認する。
資金繰りが苦しくなってから、利益率を見る。
会議が増え続けてから、決まっていないことに気づく。

でも、その前に必ず小さな違和感は出ている。

売上は伸びているのに、粗利が残らない。
新規顧客は増えているのに、紹介が増えない。
採用はできているのに、組織が強くならない。
会議は増えているのに、意思決定が速くならない。
資料は整っているのに、誰も次の行動を決めていない。

問題は、突然起きるように見える。
でも実際には、だいたい前兆がある。

その前兆を拾えるかどうか。
そこにビジネスセンスの差が出る。


違和感は、かなり地味に出る

違和感は、わかりやすい事件として出てくるとは限らない。

むしろ最初は、かなり地味に出る。

たとえば、会議で誰も反対しなくなる。
一見すると、合意形成ができているように見える。
でも実際には、誰も本音を言わなくなっているだけかもしれない。

たとえば、営業が「順調です」と言う。
一見すると、問題がないように見える。
でも実際には、受注単価が下がり、無理な条件で案件を取っているだけかもしれない。

たとえば、現場から不満が出なくなる。
一見すると、落ち着いているように見える。
でも実際には、言っても変わらないと諦めているだけかもしれない。

たとえば、報告書が分厚くなる。
一見すると、管理が進んでいるように見える。
でも実際には、重要な論点がぼやけ、意思決定に使えない資料が増えているだけかもしれない。

会社が悪くなるとき、最初から大きな音はしない。
地味な変化を拾えるかどうか。

そこに、センスは出る。

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違和感を拾うには、3つのズレを見る


違和感を拾うときは、まず3つを見る。

1つ目は、言葉と実態のズレ

「順調です」と言っているのに、受注単価が下がっている。
「問題ありません」と言っているのに、チャットの返信が遅くなっている。
「合意できています」と言っているのに、誰も次の行動を取っていない。

言葉だけを見ると、問題はなさそうに見える。
でも、実際の動きと並べるとズレている。


2つ目は、数字と現場の空気のズレ

売上は伸びているのに、現場が疲れている。KPIは達成しているのに、顧客の反応が薄い。
採用人数は増えているのに、組織が強くなっていない。
問い合わせは増えているのに、受注の質が落ちている。

数字だけを見ると、前に進んでいるように見える。
でも、現場の空気と並べると、何かがおかしい。


3つ目は、決定と実行のズレ

会議では決まった。
でも、誰も動いていない。

期限も曖昧。
責任者も曖昧。
次に何を確認するかも決まっていない。

この状態で「決まりました」と言っても、会社は前に進まない。
決まったように見えるだけで、実行に落ちていない。

言葉と実態のズレ。
数字と現場の空気のズレ。
決定と実行のズレ。

この3つを見るだけで、会社の違和感はかなり拾いやすくなる。

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違和感を感想で終わらせない


ただ違和感を持つだけでは、センスにはならない。

「なんか変だと思う」
「たぶん危ない気がする」
「雰囲気が悪い気がする」

ここで止まると、ただの感想になる。
大事なのは、その違和感を構造に変えることだ。

これは数字の問題なのか。
顧客の問題なのか。
組織の問題なのか。
商品設計の問題なのか。
営業の問題なのか。
経営判断の遅れなのか。
そもそも前提が間違っているのか。


違和感を分解すると、初めて判断に使える

たとえば、売上が伸びているのに利益が残らないなら、単なる営業努力の問題ではないかもしれない。

価格設計が間違っているのかもしれない。
原価が重いのかもしれない。
工数が見えていないのかもしれない。
契約条件が悪いのかもしれない。
受注している顧客層が違うのかもしれない。

たとえば、会議が増えているのに前に進まないなら、参加者のやる気の問題ではないかもしれない。

誰が決めるのか。
何を決める会議なのか。
決めた後に誰が動くのか。
次回までに何が変わっていればいいのか。

そこが曖昧なだけかもしれない。

たとえば、優秀な人を採ったのに組織が良くならないなら、人材の問題ではないかもしれない。

役割が曖昧なのかもしれない。
責任が渡されていないのかもしれない。
権限がないのかもしれない。
期待値が揃っていないのかもしれない。
評価基準がぼやけているのかもしれない。

ビジネスセンスがある人は、違和感を感覚で終わらせない。

違和感を拾う。
分解する。
構造に変える。
次の判断に使う。

この繰り返しで、センスは磨かれていく。

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会社の問題は、単体では見えにくい


会社の問題は、単体では見えにくい。

売上だけを見れば、順調に見える。
会議だけを見れば、議論しているように見える。
採用だけを見れば、前に進んでいるように見える。
資料だけを見れば、管理されているように見える。

けれど、それらを並べて見ると、少しずつ向きがズレていることがある。

売上は伸びているのに、利益が残らない。
会議は増えているのに、決まらない。
人は増えているのに、責任が曖昧になる。
資料は増えているのに、判断が速くならない。

一つひとつは小さく見える。
でも、並べて見ると同じ方向に崩れ始めている。

ビジネスセンスとは、このズレを単なる感覚で終わらせず、
「この会社はいま何を間違え始めているのか」と問い直す力だと思っている。


センスがないのではなく、見ているものが少ないだけ

「自分にはセンスがない」と思う人がいる。

でも、多くの場合、それは才能の問題ではない。
見ているものが少ないだけだ。

知らないものには、違和感を持てない。
比較対象がなければ、異常に気づけない。
失敗のパターンを知らなければ、前兆を拾えない。
数字の崩れ方を知らなければ、表面上の成長に騙される。
顧客が離れる前の空気を知らなければ、解約が出るまで気づけない。
組織が壊れる前の兆候を知らなければ、退職者が出るまで気づけない。

センスがある人は、特別な感覚を持っているのではない。
頭の中に比較対象が多い。

似た会社を見ている。
似た失敗を見ている。
似た会議の空転を見ている。
似た組織崩壊を見ている。
似た数字の歪みを見ている。
似た顧客離れを見ている。

だから、目の前の出来事を見たときに、過去のパターンと照合できる。

つまり、センスとは才能ではなく、蓄積された比較対象から生まれる違和感検知能力である。

では、その比較対象はどう作るのか

それは、知識と経験の積み重ねでしかない。

本を読む。
他社を見る。
失敗事例を見る。
数字を見る。
顧客の反応を見る。
現場の崩れ方を見る。

そうやって、自分の中に
「これは危ない」
「これは伸びる」
「これは続かない」
という判断材料を増やしていく。

その材料が少ないまま、いくら考えてもセンスは働かない。

知らないものに、センスは働かない。

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ビジネスセンスは、未来を当てる力ではない


ビジネスセンスという言葉は、どこか曖昧だ。
だからこそ、才能や直感の話にされやすい。

でも、経営や事業の現場で必要なセンスは、もっと実務的なものだと思っている。

未来を当てる力ではない。
正解を一発で出す力でもない。
誰も思いつかないアイデアを出す力でもない。

手遅れになる前に、ズレを見つける力である。

売上が落ちる前に、受注の質の変化に気づく。
退職者が出る前に、現場の諦めに気づく。
解約が増える前に、顧客の反応の薄さに気づく。
資金が苦しくなる前に、利益率とキャッシュの歪みに気づく。
組織が壊れる前に、会議と責任の曖昧さに気づく。

これが、ビジネスセンスだと思う。

センスがある人は、未来を予言しているのではない。
今すでに出ている小さなズレを、他の人より早く見つけているだけだ。

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明日使える基準


見るべきは、派手な異常ではない。
小さなズレを見る。

順調なのに、なぜか現場が疲れている。
会議では決まっているのに、なぜか進んでいない。
売れているのに、なぜか利益が残らない。
顧客は増えているのに、なぜか紹介が増えない。
採用しているのに、なぜか組織が強くならない。
資料は増えているのに、なぜか判断が速くならない。
人は増えているのに、なぜか責任が曖昧になっている。

こういう違和感を流さない。
そして、違和感を持ったら、次の順番で見る。

まず、言葉と実態はズレていないか

次に、数字と現場の空気はズレていないか

そして、決まったことと動いていることはズレていないか


この3つを見た上で、そのズレがどこから来ているのかを考える。

数字なのか。
顧客なのか。
組織なのか。
商品なのか。
会議なのか。
責任なのか。

違和感を拾い、構造に変え、判断に使う。
そこから、ビジネスセンスは磨かれる。


優秀な人を採ったのに、なぜ組織が壊れるのか。
その症状については、過去にこちらの記事でも書きました。

「優秀な人を採ったのに、組織が壊れていく15の症状」

ビジネスセンスは、特別な人だけのものではありません。

見ているものを変えれば、少しずつ磨ける。

次回は、センスの材料になる「知識」について書きます。

知らないものに、センスは働かない。

このテーマに少しでも引っかかった方は、スキやフォローをしてもらえると嬉しいです。

次回以降も、ビジネスセンスを才能ではなく、実務で磨ける判断基準として分解していきます。

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