【市場】④プロダクトは「作りたいもの」ではない〜なぜ“何で取るか”を間違えると、勝てる市場でも負けるのか〜
前回書いた通り、市場を選ぶだけでは足りない。
SAM / SOMまで落として、どこからどう取るかを決めて、初めて戦略になる。
前回の記事はこちら
では、その次に何を決めるのか。
答えは一つ。
何で取るかを決める
ここで出てくるのが、プロダクトだ。
しかし多くの会社は、ここでも間違える。
プロダクトを「作りたいもの」として考える。
こういう機能を入れたい
こういう体験を作りたい
こういう世界観を実現したい
もちろん、それ自体が悪いわけではない。
ただ、それだけで勝てるわけではない。
なぜなら、プロダクトは作品ではないからだ。
プロダクトは市場を取り切るための武器だからだ。
どれだけ美しくても、
どれだけ思想があっても、
その市場で勝てなければ意味がない。
重要なのは、
良いプロダクトかどうかではない。
その市場、
その顧客、
その競争環境で勝てるプロダクトかどうかだ。
1. 勝てる市場でも、プロダクトで負ける
市場選定が正しい。
SOMも鋭い。
課題も深い。
それでも負ける会社がある。
理由は単純だ。
武器がズレている。
顧客が欲しいのは、全部入りではない。
早く効くことかもしれない。
安心して導入できることかもしれない。
現場がすぐ使えることかもしれない。
既存業務に自然に埋め込まれることかもしれない。
しかし多くの会社は、そこを見ない。
「何が作れるか」から入る。
するとどうなるか。
機能は多い。
説明も立派。
でも刺さらない。
顧客が買うのは機能ではなく、
導入後に得られる変化だからだ。
つまり、プロダクトで本当に問うべきはこれだ。
この市場を取るために、
顧客が最初に買う理由を作れているか?
ここが外れると、勝てる市場でも負ける。
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2. プロダクトとは何か
まず整理する。
プロダクトとは、
作りたい機能の集合ではない。
顧客の課題を、
競合よりも高い確率で、
より低い摩擦で、
より早く解決するための設計だ。
もっと言えば、
プロダクト = 価値提供の仕組み
UIでもない。
機能一覧でもない。
思想の表現だけでもない。
課題を解決し、導入され、継続され、広がる。
この一連の流れを成立させる仕組みが、プロダクトだ。
だから本来、プロダクトは単体で考えてはいけない。
- どの市場を取るのか
- どの顧客を取るのか
- どの順番で広げるのか
この戦略の上に乗って、初めて意味を持つ。
プロダクトは独立した存在ではない。
戦略の一部だ。
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3. 多くの会社がプロダクトで間違えること
よくある間違いは3つある。
① 機能で勝とうとする
競争が始まると、すぐこうなる。
あの機能も必要
この機能もないと負ける
比較表で弱く見える
その結果、機能は増える。
しかし、勝率は上がらない。
なぜか。
顧客は比較表を買わないからだ。
自分の課題を、最も低い摩擦で解決してくれるものを買うからだ。
機能の多さは、価値の強さではない。
② 全員に売れる形にしようとする
最初のSOMが決まっているのに、
途中から広げたくなる。
この業界にもいけそう
あの業務にも使えそう
大企業にも、中小企業にも刺さるかもしれない
すると、プロダクトは中途半端になる。
誰にでも使えるようにすると、
誰にも深く刺さらなくなる。
最初に必要なのは汎用性ではない。
特定顧客への鋭さだ。
③ 作ることが目的化する
プロダクト組織が強くなるほど、この罠に入る。
新機能を作る
改善を回す
ロードマップを進める
一見、前に進んでいる。
しかし、それが受注率や継続率につながっていなければ、ただ作っているだけだ。
プロダクトは、進んでいるかどうかではない。
勝ちに近づいているかどうかで見るべきだ。
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4. 本当に見るべきは「勝ち筋との一致」
プロダクトで本当に見るべきは、完成度ではない。
勝ち筋との一致だ。
では、勝ち筋との一致とは何か。
① 最初の購買理由が明確か
顧客が最初に買う理由があるか。
- すぐ効く
- 分かりやすい
- 比較しやすい
- 導入しやすい
- 稟議を通しやすい
最初に必要なのは、全部を解決することではない。
最初のYesを取ることだ。
② 導入摩擦が低いか
どれだけ価値があっても、入れづらければ売れない。
- 初期設定が重い
- 既存システム連携が複雑
- 教育コストが高い
- 現場運用が変わりすぎる
この摩擦は、想像以上に勝率を落とす。
プロダクトは価値だけでなく、
摩擦の設計でもある。
③ 継続理由があるか
導入されたあと、使い続けられるか。
- 日常業務に入るか
- 効果が見えるか
- やめると困るか
- 利用頻度が高いか
売れるプロダクトと、残るプロダクトは違う。
本当に強いのは、継続の構造を持つプロダクトだ。
④ 横展開の起点になるか
最初のSOMを取ったあと、広げられるか。
- 同じ顧客の他部署へ
- 同じ課題の近接業務へ
- 同じ実績が効く隣接業界へ
最初のプロダクトは、点で勝つために必要だ。
しかし同時に、
次の面を作る起点でもなければならない。
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5. プロダクト設計の実務フレーム
実務では、次の順で考えるといい。
① 課題から逆算する
まず
機能から入らない。
誰の、どの課題を、
どの瞬間に解決するのかを明確にする。
「業務効率化」では粗い。
「月末締めの集計作業が3日かかる」まで落とす。
ここが曖昧だと、プロダクトも曖昧になる。
② 最初の勝ち筋を一つに絞る
次に問う。
最初に何で勝つのか
安さか。
速さか。
精度か。
使いやすさか。
導入の軽さか。
安心感か。
全部で勝とうとすると、全部負ける。
最初は、勝ち筋を一つに絞るべきだ。
③ 勝ち筋に不要なものを捨てる
ここが重要だ。
プロダクトは、何を入れるか以上に、
何を入れないかで決まる。
最初の受注に効かない機能
継続に効かない機能
学習を遅らせる複雑さ
これらは、今は捨てる。
強いプロダクトは、足し算で作られない。
削ることで輪郭が出る。
④ 営業・導入・継続まで一体で設計する
プロダクトは、画面の中だけでは完結しない。
どう売るか
どう入れるか
どう定着させるか
ここまで含めて設計する必要がある。
プロダクト単体が優れていても、
営業で伝わらず、
導入で止まり、
定着しないなら勝てない。
⑤ 学習速度が上がる形にする
最初のプロダクトに求めるべきことは、完璧さではない。
学習速度だ。
どの顧客が刺さるか
何が刺さるか
どこで離脱するか
継続理由は何か
これが早く溜まる形になっているか。
ここが、次の成長を分ける。
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6. 武器が決まると、戦い方も決まる
市場が決まり、
取り方が決まり、
武器が決まる。
すると経営は一気に具体になる。
誰に売るかが決まる。
何を先に作るかが決まる。
何を捨てるかが決まる。
どこで勝ち、どこで広げるかが決まる。
逆に、プロダクトが曖昧だと全部が曖昧になる。
営業は何を訴求すべきか分からない。
開発は何を優先すべきか分からない。
顧客は何を買えばいいのか分からない。
つまり、プロダクトとは
単なる提供物ではない。
プロダクトは戦略を実行可能にする武器
重要なのは、立派な武器を作ることではない。
その市場で勝てる武器を持つことだ。
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結論
プロダクトは、作りたいものを作る話ではない。
市場を取り切るために、何で勝つかを決める話
機能が多いかどうかではない。
美しいかどうかでもない。
その市場、
その顧客、
その競争環境で、
最初のYesを取り、
継続され、
広がるか。
ここで初めて、プロダクトは意味を持つ。
だから問うべきはこれだ。
何を作るか?ではない。
何で取るか?
プロダクトは作品ではない。
市場を取り切るための武器だ。
次回予告
【市場シリーズ】
① TAM(幻想)
② 市場選定(どこを取るか)
③ SAM / SOM(どう取るか)
④ プロダクト(何で取るか) ← 今回
⑤ ゲームチェンジ(ルールを変える)
⑥ 総括(市場とは何か)
次回は、ゲームチェンジ。
市場を選び、取り方を決め、武器も持った。
それでも勝てないなら、最後に問うべきは一つだ。
ルールそのものを変えられないか
強者と同じルールで戦う限り、強者には勝ちにくい。
本当に強い会社は、市場を取るだけでなく、市場の取り方そのものを変える。
