Nutubeでプリアンプを作ろう~①構想編
Nutubeを活用したオーディオアンプ(プリメインアンプ)の自作プロジェクトは、様々な苦境に陥りながらもどうにか完成にこぎつけることができた。
このオリジナルアンプのプロジェクトの進行中、実は新たなプロジェクトの萌芽が…
組み込むことを断念したBluetoothレシーバモジュールを外付けする?
パワーアンプ基板のやり直し?
いやいや、そんなお気楽なレベルではないのである。
1 うっかり八兵衛…
話は、「Nutubeでオーディオアンプを作ろう」プロジェクトを鋭意制作中であった1か月ほど前に遡る…
【素敵な作例が!】
それは、KORGの使用ガイドを頼りにNutubeオーディオアンプの回路をでっち上げ、せっせと製作作業を進めている5月半ばのことであった。さしたる目的もなくインターネットの海を彷徨っていたら、diy Audioなる海外のオーディオ系のフォーラムに漂着した。
https://www.diyaudio.com/community/
海外の趣味系のフォーラムはそのマニアック度合いが凄まじい。
アマチュアから斯界のプロフェッショナルまでが参加し、活発な議論や実践報告がなされている様子は、眺めているだけでも実に楽しく、知的好奇心が刺激される(いまどきのブラウザの翻訳機能はかなり高精度なので、英検4級保持者でも十分楽しめるのも素晴らしいことである)。そこで、つい興味本位で「Nutube」でフォーラム内検索をかけてみたところ…
https://www.diyaudio.com/community/threads/b1-with-korg-triode.313612/
ちょっとヤバいスレッドにたどり着いてしまった…
皆さんは、Nelson Passさんという方をご存じだろうか(にわかオーディオファンに過ぎない私は、これまで寡聞にして存じ上げなかったが…)。
同氏はハイエンドオーディオメーカーであるPass Laboratoriesの創設者であり、FirstWattというハンドメイドブランドを運営している。FirstWattでは、限られた数量のアンプを必要なだけハンドメイド製作・販売し、その後は回路図などを公開し、フォーラムではDIYアマチュアへの助言まで行ってくれているのである。
そのNelson Pass氏の設計したNutube内蔵のプリアンプがあるというではないか。そして、FiratwattのHPには、Nutubeを搭載したプリアンプの回路やその説明が公開されているのである(後に調べたところ、「ラジオ技術」誌の2019年8月号に訳文が掲載されているようである)。
https://www.firstwatt.com/wp-content/uploads/2023/12/art_diy_nutube_preamp.pdf

回路図を見ると、片チャンネル当たりNutubeの1回路分を使い、Nutubeの前後にそれぞれJFET2個を使用したバッファを設置し、24VのACアダプタで駆動するというシンプルなものである。
Nutubeの周辺回路は、前プロジェクトで私が作った回路と大きく異なるところはなく、負荷抵抗値(332kΩ)を推奨値の上限に設定し、グリッドバイアス抵抗を33kΩにしている点は一緒である。
うむむ…オーディオアンプの製作開始前にこの回路の存在を知っていたら、プリアンプ部分はこれにしていたのに…こいつはとんだうっかり八兵衛だ…
さてどうしたものだろうか…
作業中のオーディオアンプを設計変更し、電源基板も24V対応に変更してしまう、というのも一つの手である。各基板を独立させているので、やってやれないことはない。
しかし、既にパワーアンプ基板と電源基板まで製作してしまっているし、プリアンプ基板も製作中である(そして、このときにはまだ、トラブルシューティングという名の地獄の蓋は開いていない…)。
それに、新品のNutubeは手元にまだ4つある…
Nutubeサウンドの探究を進めるべく、オリジナルアンプを完成させたのちに、このNelsonさんのプリアンプを作ることにしようではないか。
そうこうしているうちに、オリジナルアンプは無事どうにか完成し、引き続きスタートした「ヴィンテージレザーでバッグを作ろう」プロジェクトに至っては、信じられないほどあっさりと終了してしまった。
というわけで、新プロジェクト、「Nutubeでプリアンプを作ろう」企画の発動である!
2 方向性
【自作オーディオアンプとの比較】
前作のNutubeを使った自作オーディオアンプの音にはとても満足している。KORGさんの使用ガイドを頼りに素人が考えた回路でさえ、これほど気持ちの良いサウンドになるならば、プロが考えた回路はどれほどのもになるのだろうか?
自作の回路とプロフェッショナルが設計した回路とを比較し、前段バッファの有無による違いやFETバッファとオペアンプバッファの違いなどもぜひとも体験してみたい。
したがって、大筋ではNelson Pass氏が公開してくれている回路図に準拠して作成していきたい。
【電子回路の理解を深めたい!】
自作Nutubeアンプとこれから作るプリアンプの回路との大きな違いは、Nutube前後のバッファである。
資料を軽く読んでみると、JFETを2つ使ったバッファでは、JFET相互のマッチングが必要になるようだ。しかし、そもそも、マッチングってなんだろうか?どうやら、縦に並んだ二つのJFETのうち、上のJFETがバッファとして機能し、下のJFETは、上のJFETに対する定電流回路として機能しているようだ。
なるべくなら既存の回路の切り貼りでお茶を濁し、おいしいところだけをつまみ食いして済ませてしまいたいところであるが、ずーっとそんなことを続けている結果、電子回路について全く理解できていないままここまで来てしまっている…趣味なのだからこそ、ちゃんと勉強すべきじゃないだろうか?というわけで、今回は回路それ自体の理解も深めてみたい。
その結果、酷い誤りをコメント欄で指摘され、板書をミスって優等生に指摘された中学教師のように、「そういう指摘を待っていました、良く気付きましたね」みたいな負け惜しみを言ってしまい、さらに怒られてプチ炎上するのも乙なものであろう…
【Bluetoothレシーバモジュールを組み込みたい】
自作オーディオアンププロジェクトでは、想定の甘さによるシャーシの狭さとトラブルシューティングの名のもとに製作した基板を壊したりして心が折れかけてしまった。そのため、当初予定したBluetoothレシーバモジュールの組み込みを断念せざるを得なかった。
手元には未使用のBluetoothモジュールが出番を待っているので、今回こそこのモジュールを組み込みたい。
そういえば、前プロジェクトでBluetoothモジュールの組み込みを断念するにあたって、「音質重視」なのに安物モジュールはいかがなものか、と不合理な弁解をしていた記憶がないでもない。
「武士に二言はない」のではないか?と言われそうであるが、幸いにも私は武士ではないので、その点については全然問題はない。実装してみて、本当にイマイチならば使わなければいいだけである。
【外装ももっとカッコ良くしたい】
前作は、ひとまず完成させたいという気持ちが先行してしまい、最終的な外装のデザインについては素人工作丸出しに終わってしまった。
ギターアンプでもオーディオアンプでも、音質より見た目にはこだわりたいところである。
今回はアンプの外装の仕上げに十分意を払いたいところである。
3 次回予告
プリント基板の寸法が決まらなければシャーシも決まらない。が、シャーシ及びハードウェアのレイアウトが決まらなければ、基板レイアウトの最適化は難しい。前作では、この辺りの検討の流れが不十分であったため、シャーシが狭い問題が勃発した…
そこで、次回は、シャーシ及びハードウェアのレイアウトとプリント基板のレイアウトの検討を並行して行うことにする。
また、レイアウトの検討と合わせて、回路それ自体についても少しずつ勉強して理解を深めていきたいところである。いつになったら既存の回路図の切り貼り以上のことができるようになるのやら…たぶん、そもそもアプローチを間違えているのだと思うが…
そうそう、Nelson Pass氏の「The DIY Nutube Preamp」のドラフトの最後にこんな一文があった。
Your results may vary, but remember that we are here to have some fun - It's entertainment,not dialysis.
「結果はどうであれ、私たちは楽しむためにここに居るのだということを忘れないでほしい。私たちは自分が楽しむためのものを作っているんであって、医療機器を作ってるわけじゃないんだからね」(みたいな感じだろうか)
なんという素敵なメッセージだろう。モノ作りという遊びを続けるうえでもとても大切な視点だと思う。オーディオの世界は、ついつい先鋭化しがちな分野のようでもあるし。
このPass氏のコメントを忘れず、ゆる~い感じで遊び続けていきたいものである。
そんなこんなで、次回、
をお楽しみくださいませ~
