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Nutubeでオーディオアンプを作ろう~⑧完成編

1 前回までのあらすじ


 基板状態での音出しに成功し、シャーシの加工も無事終わり、いざ組み上げてみたら電源基板(のレギュレータ)とパワーアンプモジュールを破壊してしまうという悲喜劇に見舞われている本プロジェクト。

 今回は、完成に向けてラストスパートと行きたいところであるが、まだまだ紆余曲折は続くようである…

2 シャーシ内の整理整頓…

【出力信号線を整理しただけなのに】(2026.6.6)

 破壊してしまったパワーアンプモジュールをポチり、その到着を待つ間に各部の配線を整理してしまおう。
 まずはパワーアンプ基板からスピーカー端子への配線を整理し、スピーカー端子をしっかりシャーシに取り付ける。念のため、再度音出し確認をしてみると…


 あれっ??どうした?? 

 昨夜まではちゃんと音が出ていたのに、なぜかアンプが沈黙している…ボリュームを回してもスピーカーは完全に無言である。

昨日まではちゃんと動作していたのに…

 取り急ぎテスタで確認してみるも、パワーアンプ基板の電源端子には5Vがちゃんと来ている。ということは、パワーアンプ基板そのもののトラブルか?
 どうしたものか、と各部の電圧を測定したり、導通を確認したりしているうちに、いつの間にかNutubeのアノードの緑色の光まで消えてしまった…

(補足説明)
 パワーアンプ基板は単体で動作確認済みであり、入出力系統には何ら問題はない。したがって、この時点で疑うべきは電源系統、基板に入力された5Vがパワーアンプモジュールに入力されているかどうかなのである。
 しかし、当の私はと言えば、急に音が出なくなったという事実に慌ててしまい、そんなことなどすっかり忘却の彼方…
 トラブルシューティングでは慌てず論理的に考え、落ち着いて対応しなくてはならない、と電子工作の書籍や先達は教えてくれているのだが、肝心の時にそんな教えはどこへやら。混乱しまくった私は、トラブルシューティングという名の泥沼へ突入していくのである。

【破滅のピタゴラスイッチぃ~】(2026.6.6)

 パワーアンプ基板からスピーカーへの出力をいじった結果おかしくなったのだから、そのあたりのハンダ付けに問題があったのだろうか?それとも入力の方だろうか?
 やみくもに基板のハンダ付けをやり直していたら、ハンダの盛りすぎで隣のランドと短絡が…余計なハンダを吸い取り線で取ろうとしたら、余熱が足りずに吸い取り線がランドに張り付き…慌てて引っ張ったら基板の銅箔まで一緒に剥がれ…お洒落なパワーアンプ基板は、もはや見た目だけのガラクタと化してしまった。
 さらに、パワーアンプモジュール基板にハンダごての先端を引っ掛けてしまい、PAM8012を破壊する始末(せっかくICソケット対応にしているんだから、横着せずに作業前に取り外しておけばよかったのに…)。

 相次ぐミスの連鎖に、脳裏に浮かぶはピタゴラスイッチのテーマソング…

 もはやパワーアンプ基板を補修するのは難しい状況となってしまったので、とりあえず動作することを最優先に、入力コンデンサや出力部のフィルタなどを省略した簡略なパワーアンプ回路をユニバーサル基板で作ることにした。

 これ以上つまらないミスを繰り返すわけにはいかない、と部品をハンダ付けをする毎にテスタで導通チェックを行っているときに、ふと気づいてしまった。
「そういえば、パワーアンプ基板の入り口まで5Vが来ていることは確認したけど、ちゃんとパワーアンプモジュールの端子まで来ていたか確認したっけ?」

 急いでガラクタと化した元のパワーアンプ基板をテスタでチェックしてみると。電源基板からパワーアンプ基板に5Vを入力させるピンと、パワーアンプモジュールの5V入力端子との間に導通がない!基板の銅箔面をよく見ると、5V入力ピン部分のハンダが浮いている…
 そう、5V入力ピン部分がちゃんとハンダ付けできておらず、スピーカー出力配線を整理する際に基板をいじっている際に不良個所が完全にダメになった結果、モジュールまで5Vがたどり着けなくなっていたのである。そりゃあパワーアンプが機能するわけない。
 要するに、「トラブルシューティング」と称して見当違いの場所を弄り回して、基板(とあれほど苦労して加工したパワーアンプモジュール)を破壊しただけである。

 かつての私ならば、ここまで凡ミスを繰り返してしまえばテンションもダダ下がり、基板単体で音出しが出来たことだけを記憶に留め、製作中の基板やシャーシ一式はその辺の段ボール箱にでも詰め込んで蓋をそっと閉じてしまっているところである(いや、正直、今の私も心情的にはそんな感じである)。

 しかし、幸か不幸か、本noteは、製作の過程をほぼリアルタイムで公開中である。しかも、こんな低レベルな駄文にもかかわらず読んでいただいている方、さらにはスキをポチッとしてくださる方までいらっしゃる。
 ここまで引っ張っておいて、「俺たちの戦いはこれからだ!」と言いながら連載を打ち切るわけにはいかないだろう(これが漫画雑誌ならばいつ打ち切られても文句は言えない読者数ではあるが、数より質である!!読んでいただいている皆様、本当にありがとうございます、励みになっております!)。
 読者の皆様も、技術的な情報を得ることなどが目的ではなく(そんな情報ほとんどないし)、毎回のようにミスりまくっている姿を楽しんでいただいているはず。とんだピエロであるが、ここからの不死鳥のようなリカバリこそ期待されているんじゃないだろうか。嘘でもいいから期待していると言ってほしい…

【完成テスト用パワーアンプ基板の製作】(2026.6.6)

 自分のあまりのアホっぷりに呆れ果てながらも、気力を奮い起こして完成テスト用(なんじゃそれ)のパワーアンプ基板の製作を続けることにする。
 入出力や電源をカプラで接続できるようにして、あらためて最終版パワーアンプ基板を作成したら(そんな日が来ればよいのだが…)入れ替えられるようにしておいた。

カプラとICソケットだけなのでミスりようもない。

 唯一生き残っていたパワーアンプモジュールまで物理的に破壊してしまったため、完成テスト用パワーアンプ基板で今できることは各端子の導通チェックのみである。
 完成テスト用パワーアンプ基板の各端子間の導通はバッチリである。ICソケット上の入力と出力を短絡させて、基板の入力部分と出力部分の導通も確認した。ひとまず完成テスト用パワーアンプ基板は完成である。

【壊れていないものを直すなかれ…】(2026.6.7)

 そうそう、パワーアンプ基板を壊す前に、各部のチェックをしているうちにNutubeが点灯しなくなっていたのを思い出した。あれは気のせいだったんだろうか?
 電源基板からプリアンプ基板と完成テスト用パワーアンプ基板への結線を行い、電源を投入してみるが、やはりNutubeが点灯しない。気のせいなんかじゃなかった。

 う~ん、前回急いで作り直した電源基板の不具合だろうか?
 テスタで電源基板の入出力部分や各基板の電源入力部を確認すると、アナログテスタの針が行ったり来たりで非常に不安定である。
 電源ジャック部分には12Vが来ているのに、電源スイッチを入れた途端に数V程度まで低下してしまう。パワーアンプモジュールを接続していない5Vレギュレータさえ5Vまで到達していない。

 なんなんだよ、いったい……

 再び放り出したくなる気持ちを抑えながら、慎重に各部の確認を行っていると、プリアンプ基板に接続されている12Vの配線を外すと、それ以外の電圧が安定することに気付いた。

 もしかして自作電源基板の電力不足なのだろうか?(いや、シャーシ組み込み前の動作テストでは全く問題なかったし、今はパワーアンプモジュールも繋いでいないのだから電力不足はありえない、と今なら言える…)
 この時点で、自分の作業に対する自身など微塵もなくなっているので、ストックされていた市販品の電源モジュール基板に入れ替えてみる。
 電源モジュール基板単体では(市販品なので当然なのだけれど)それぞれちゃんと望みの電圧が出力されるが、プリアンプ基板に12Vを供給しようとすると、やはり先ほどと同じ状態である。

緑色2枚の基板が市販の電源モジュール

 ということは、プリアンプ基板の不具合??
 電源基板、パワーアンプ基板と来て、最後にプリアンプ基板となると、もう全滅じゃないか…OTL
 しかし、シャーシ組み込み前から現在に至るまで、プリアンプ基板とNutubeとの接続はいじっていないし、プリアンプ基板への入出力や電源のプラスマイナスなどをいくら確認してみても間違いなどは見つからない。

 プリアンプ基板上で交換できるところはオペアンプくらいなので、ダメもとでオペアンプを手持ちの新品に交換してみたところ…

 無事Nutubeが点灯した!!
 各部の電圧も正常値で安定している。
 ということは、電圧不安定の原因は電源基板などではなくオペアンプが原因だったということだ。

 え~っと、これはどういうことだ??
 前回の電源の逆接続でオペアンプがおかしくなりかけていたのか?いや、その後音出しはできていたし…となると、音が出なくて通電状態で色々いじり回したときに短絡させて壊したということだろうか…

 If it ain't broke, don't fix it.(壊れてもいないものを直そうとするなよ!)
なる格言があるようだが、このトラブルシューティングは完全に真逆の行動である。
 つくづく、トラブルシューティングとは難しいものである(いや、冷静沈着に対応し、目の前の情報を論理的に検討することさえできていれば、こんなことにはなっていない…基本的に自分で壊れていないところを直すどころか壊しているだけだよ…)

 パワーアンプ基板のICソケットの入出力を錫メッキ線で短絡し、スピーカー端子に小型ギターアンプをパワーアンプ代わりに接続し、音声信号を入力してテストしてみたところ、両チャンネルともに問題なく動作することが確認できた。

 電源基板を自作品に戻しておきたいところだが、ひとまずパワーアンプモジュールが到着して完成テストを経てからにしよう(これ以上壊したくないので…)。

3 パワーアンプモジュールが届いた!

【パワーアンプモジュールをICソケット対応に】(2026.6.10)

 失敗に失敗を重ねているおかげで(よく考えたら、一度成功したものをひたすら壊しているだけのような気もする…)、主観的にはほとんど待ち時間もなしにパワーアンプモジュールが届いたので、組み込みの準備を行う。
 完成テスト用パワーアンプ基板は入力コンデンサを省略しているので、モジュールそのものに加工する必要はなく、ICソケットに対応させるだけでOKである。
 我が家のストックを漁ってみたら、表面実装ICをDIPに変換する基板セットが見つかった(いったい、いつ何のために買ったのだろうか…)。
 パワーアンプモジュールユニットをICソケットに対応させるには、このDIP型ヘッダーピンを使えば楽ちんである。

いいもの見つけた!!

 モジュールの表面実装コンデンサの短絡作業に比べれば、ヘッダピンのハンダ付けなどたいした作業ではない。あっというまにモジュールはICソケット対応仕様に変身である。

これが…
ICソケット対応モジュールに変身っ!

 さて、これで再びシャーシ組み込み状態での動作確認の準備ができた。

【動作確認再び!】(2026.6.11)

 ICソケット対応加工を終えたパワーアンプモジュールを、向きをしっかり確認してパワーアンプ基板に装着する。
 接続するスピーカーはONKYOのHTX-11STというサラウンドシステムに付属していた小さな2WAYのものである。
 RCAジャックに変換ケーブルを繋ぎ、音源となるタブレットに接続する。
 タブレットの音声信号は一時停止状態にしたら、電源を入れてみよう。

 Nutubeはちゃんと点灯している。第1段階はクリアである。
 バイアス調整の半固定抵抗を回すとNutubeの点灯部分の明るさも変化し、フィラメントが赤くなったりもしていない。
 スピーカーからは、かなりはっきりとサーッというノイズ(ホワイトノイズ)が聞こえてくる。ボリュームノブを動かしても、ほとんどノイズ量に変化がないので、これは電源由来だろう。
 シャーシ組み込み前の動作チェックではここまで大きなノイズではなかったような気がするが…

 いよいよ、タブレットの音源の一時停止を解除すると...

鳴ったよ!!

 チャララ♪ララララ♪ラララララ~♪♪

 Jacob Kollerさんの超絶技巧ゴッドファーザーが聞こえてきた!老化による高域の聴力低下(と自作品であるがゆえの評価の甘さ)から、音量を上げたらホワイトノイズもさほど気にならないな、などと思っていたのだが、横で見守ってくれていた子どもから「なんかサーサーしてるよ。この前はこんなんじゃなかった」と…さすがはモスキート音がバリバリ聞こえる小学2年生である。作った本人が喜んでいるんだから少々の瑕疵には目をつぶっておこうか、などという汚れきった大人の対応忖度などしてくれない…

 うーむ、これはやはり市販の電源モジュールのせいだろう。自作電源基板ならば、もう少しよくなるはず。
 さっさと市販モジュールを取り払って自作の基板を接続し、各部の配線も少し整理する。

プリアンプ基板の上が3.3V基板、パワーアンプ基板の上が5V基板

 いざスイッチオン!
 
 ……
 
 これはまた壊してしまったのか?というくらいにほぼ完全に無音である(少なくとも、おっさんの耳では聞き取れない)。ボリュームを最大にしてなんとか聞こえるレベル!
 おそるおそる音楽を再生してみると、先ほどまでの市販電源モジュールとは音さえも違う。とてもクリアでワイドレンジでのびやかなサウンドである子どもからも「全然ちがうよ〜すごいすごい」と太鼓判をいただき、どうにか父の威厳を保つことに成功した(いじっては壊して焦りまくる姿を忘れてくれていればいいのだが…)。

リスニングテスト担当小学生もVサイン!

 自作の電源基板が高性能なのか、組み込みがてら行った配線の整理で外来ノイズなどが減ったのかはよくわからないが、とにかく非常に満足である。シャーシ内部の作業は終了とし、このまま仕上げに突入しよう。

4 シャーシ外装の仕上げ

【サイドパネル】

 まず、両側面には木製のサイドパネルを追加する。
 大人の鑑賞に堪える高品位なオーディオアンプを目指して、マホガニーやメイプルなどの高級材の天然杢を活かしたナチュラルオイル塗装仕上げで贅を凝らした逸品を作り上げれば最高なのだろうが、ひとまず手元にあったMDF材を100㎜×40㎜に切り出し、木目シートを貼り付けたもの(いずれも赤貧DIYer御用達のDAIS〇から調達している)で雰囲気を見ることにする。

本物の木材を使えばかなりよい感じになるだろう…

 ふむふむ、これはなかなか良い雰囲気になりそうだ。時間があるときにちゃんとした無垢材で作り直せばいいだろう。あるいは、切り出した木材を子どもたちに色塗りをしてもらい、ポップに仕上げても面白いかも!

【フロントパネル】

 Nutubeの小窓のエッジを綺麗に見せるため、お得意のプラ板積層でグリルのようなものを作成した。
 プラ板を積層して隙間を瞬着パテで埋め、耐水ペーパーで平滑処理を行ったうえで、サーフェイサーを塗って、艶消し黒の缶スプレーで塗装しただけのお手軽工作である。

シャーシの開口部にちょうど嵌め込めるように擦り合わせた
両サイドの木目シートの張り込みが甘い、甘すぎる…

5  完成っ!!

 以上にて、nutubeを使ったオーディオアンプはひとまず完成とする。
 横幅170㎜、高さ40㎜、奥行き100㎜で、3.5㎜ミニステレオ端子入力。Bluetooth対応は実現できなかったが、手頃なサイズのデスクトップアンプという目標は達成できたのではないだろうか。

こうなると、スピーカーも自作すべきじゃなかろうか…

 オーディオにとって肝心なのはそのサウンドである。
 もしかすると低域が少し控えめなのかもしれないが、下から上までバランスが取れて癖のない聞きやすいサウンドである。ジャズピアノの高域の伸びやクラシックにおける解像度の高さが印象的である。
 サウンド全体になんとなく暖かみがあるような気がするが、真空管であるnutubeを使っているのだから豊かな2次高調波が含まれているだろう、というバイアスが働いているのかもしれない。
 パワーアンプのPAM8012は最大出力2Wであるが、子供が寝てからボリュームを全開にするのは憚られるくらいの音量が得られるので、ホームユースでは何ら問題はない。また、ボリュームを上げてもNutubeプリアンプが歪んでしまうというようなことにはならない(というか、自分にとって「歪み」の基準はギターアンプなので、ピュアオーディオ界における「歪み」を聞き分けることができていないだけなのかも…)。
 よく考えたら、オーディオアンプを自作したのはこれが初めてだったのだが、こんなに素敵なものができるなんてとても嬉しいものである。
 
 Nutubeを使ったアンプは音も良いと思うし、製作もとても楽しいので(特にNutubeのアノードが緑色に光る瞬間が素晴らしい…)、興味を持たれた方にはぜひ制作をお勧めしたい。
 Nutubeを活用した差動回路などとなると途端に難しくなるのだろうが、今回のような回路なら全然難しくないし(え~っと、私にとってはとても簡単ではなかったのだが、文系脳の素人なうえに、人の皮を被った現場猫、あるいはおっちょこちょいを具現化したような存在なので…)、設計や製作で1か月以上も遊んで10,000円でお釣りが来てしまうのだから。
 まるでKORGさんの回し者みたいだが、残念ながら一切KORGさんからの便宜供与はありません。むしろ、していただけたら嬉しいな…
 
 今回は、とにかくトラブルシューティングに苦労してしまったが、これによって経験値も上がったはず(常にポジティブシンキーング!)。
 ここまで駄文にお付き合いいただき誠にありがとうございました!

 次は何を作ろうかな~ 次のプロジェクトもお楽しみにっ!!














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