真空管ギターアンプを作ろう~①構想編
1 はじめに
【もっと電動サンダーを使いたい!】
テレキャスターをキース・リチャーズの愛機っぽくリフィニッシュした 「『なんちゃってMalcolm』を作ろう」をお読みいただいた方であればご存じの話であるが、私がこのようにnoteの記事を作成するようになったきっかけは、自動車評論家福野礼一郎氏のnoteメンバーシップ内の企画で電動サンダーが当選したことであった。
テレキャスターの下塗りの剥離やリペイントの下準備に大活躍してくれた電動サンダー君であるが、せっかくなのでもっと活用したい…
電動サンダーを使う工作と言えばスピーカーキャビネット作りじゃない?というあまりにも安直な発想に端を発した「真空管ギターアンプを作ろう」計画の発動である!!
【現在の我が家のギターアンプ事情】
まずは我が家のギターアンプ事情についてである。
現在使用しているアンプは、MarshallのHaze 15である。何それ?聞いたことないけど?と言われそうな不人気モデルである。あまりの不人気っぷりに、ネット上の情報も乏しいものである。だが、実際に使ってみると、フルチューブによるMarshallらしい出音に、使いやすい空間系エフェクトも組み込まれており、なかなかの優等生である。ただ、15Wとは思えない爆音っぷりで、自宅ではとてもボリュームを上げられず、エフェクターの歪みに頼らざるを得ないのが不満ではある。
もう一台、数年前に自作したハイブリッド真空管アンプ「Night Drive Special」がある。トップ画像がそれである。
電源は12Vで、プリアンプ部分は本物の真空管(12AU7)を低電圧で使い、パワーアンプ部分はLM386というICで駆動する「tube cricket」と呼ばれる回路が元ネタである。
スピーカーはJensenの5インチで、キャビネットはホームセンターで入手したパイン集成材、前面のデザインはFender Tweed Champ風にしてみた。アンプのシャーシはアルミケースをベースに雰囲気重視で薄い真鍮板を貼り、文字は打刻で仕上げた。

せっかく真空管を使っているので、ソケットにオレンジのLEDを仕込み、電源を入れるといい雰囲気になるはずだったのだが、真空管の配置まで良く考えずに作ってしまったため、よ~く覗き込まないと全然見えない…

真空管を使ってはいるものの、ゲインを上げたときの歪みは真空管とICの間にあるオペアンプに由来しているので、出音は真空管内蔵エフェクターをトランジスタアンプに繋いだような感じである。音量自体は、”Night Drive Special”という命名にふさわしく、夜に自宅で使用しても問題がない程度、”amp for bedroom”ではある。
自作ということもあり、お気に入りの一台ではあるのだが、やはり回路的にハイブリッドに過ぎないところや、見た目に「手作り」「日曜大工」感に溢れているところがちょっと心残りである。
やはりプライベーターたるもの、「どこで買ったの?」「どこのメーカー?」と聞かれて「欲しけりゃ自分で作りなよ」と返せるレベルのものを作りたい。実際には小心者なので、「いや…お恥ずかしながら自分で…」(小声)となるのだろうが…
【小出力で高品位なフルチューブアンプが欲しい!】
要するに、小さいフルチューブアンプが欲しいのである。
サイズに関していえば、持ち運びというよりも、ウサギ小屋のような我が家の空間確保の観点から、10インチスピーカーでコンボ(アンプとスピーカー一体型)くらいが望ましい。
そして、”night drive special”の反省を活かし、今度は大人の鑑賞に堪えられるレベルを目指したい。なんといっても、今度は電動サンダーもあるのだから!
2 目標設定
【アンプについて】
小さなフルチューブアンプと聞いて、まず思い浮かぶのはFender Champである。Tweed期の1957Champはエリック・クラプトンがLaylaのレコーディングに使用したことで有名なあれである。
作例も多いし、キットだって手に入るのだから、Champを作るのは悪くない。悪くはないんだが…
ただ、せっかく作るんだし、ちょっと捻りを利かせてみたい(この発想がいつも泥沼へと導いていく…)。
ローリングストーンズのキース・リチャーズやビートルズのブリティッシュサウンドを支えたアンプの一つにVOX AC30がある。
ギターがキース・リチャーズへの憧憬からの「なんちゃってMalcolm」ならば、アンプだってキースに寄せていくのが作法というものではないだろうか。
VOXがいいなら、同社の小出力モデル、AC4あたりを丸パクリ完コピすればよさそうなものだが、それでは面白くない。VOXは、勝手なイメージだが、FenderやMarshallとはまた少し違うというか、拘りのブランドという感がある。AC30をはじめとする同社のアンプの多くは、出力管にEL84という真空管を使っている。
調べてみると、幸いにも、Champの回路をベースにEL84を使用したような作例が国内外に散見される。そこで、プリアンプ部分はChampのように12AX7を用いながら、出力段にはEL84を組み合わせてみたい。
【キャビネットの構想について】
今回は、アンプ部分もさることながら、こちらの方が重要である。なんといっても、電動サンダーを使いたいがための企画なのだから…
趣味、遊びとしてのエレキギターの分野では、まず何よりもギター、次にアンプ本体、そしてその次にようやくスピーカー・キャビネット(なんならそれより前にエフェクターかも?)というような優先順位がある印象である。もちろん、私自身もそんな感覚であった。
しかし、同じ音楽分野でも、ホームオーディオやカーオーディオでは、スピーカーやキャビネット(エンクロージャ、バッフル等)はアンプと同じくらいに重要視されている。そこで、本企画においては、キャビネットの設計・制作にもアンプ本体作成と同じくらいの熱量で取り組んでいきたい。
3 まとめ
以上の脳内会議の結果、「出力管にEL84を使ったChampっぽいコンボアンプ」を作ることに決定した。
具体的に遂行すべき作業は次のとおりである。
【アンプ】
⑴ 具体的な回路の検討
⑵ 必要な部品の選定・調達
⑶ 制作
【キャビネット】
⑴ 具体的な構造の検討・設計
⑵ 必要な資材の選定・調達
⑶ 制作
したがって、今後は、まずアンプの回路のお勉強・検討とキャビネットの検討・設計を同時並行でやっていくことになる。
というわけで、次回
真空管ギターアンプを作ろう~②キャビネット設計編
をお楽しみに!
