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テスラのギガキャストには、致命的な弱点がある。その弱点を埋める日本の部品メーカーが、16期連続増配していた。

① 買った理由

自動車メーカーを支えるサプライヤーに注目していた時期がありました。

自動車メーカーそのものは競争が激しく、どのメーカーが勝ち残るか読みにくい。でも車体の骨格や部品を作るサプライヤーには、売れているメーカーから仕事が来る。そういう「川上にいる会社」を探していました。

条件はいくつか決めていました。業績が右肩上がりであること、連続増配していること。そしてその頃ちょうど「バリュー投資」という考え方を知って、PERとPBRがまだ低い銘柄も意識して探すようにしていました。

そこで見つけたのが、ジーテクト(5970)でした。

調べてみると、売上の約7〜8割がホンダ向けという集中度の高さが真っ先に目に入りました。正直、一瞬ためらいました。でも深く掘り下げると、この会社の「本当の姿」が見えてきました。

💡 ホンダ依存に見えて、実は世界中に航路を広げていた。しかも**16期連続増配、配当性向30.5%**でまだ余力がある。

「探していた条件が、ほぼ全部揃っていた。」購入を決めました。


② どんな会社か?何で稼いでいるのか?

ジーテクトは2011年、「菊池プレス工業」と「高尾金属工業」が合併して誕生した会社です。どちらもホンダの主要サプライヤーで、合併によって開発力と生産力を一気に統合しました。

主な事業は車のボディフレーム・ドア・ピラーなどを作る車体部品事業と、自動変速機向けの精密プレス部品を手がけるトランスミッション部品事業の2本柱です。

一度採用されると、その車種が生産される数年間ずっと受注が続く。まるでストック収益のような安定した受注構造があります。

ここからが、調べていて本当に面白いと思った3つのポイントです。


💡 ポイント①「ホンダ一本足」からの脱却戦略

売上の約7〜8割がホンダ向けという現実は、リスクとして正直に受け止めています。ただしジーテクトは**「Tier0.5(完成車メーカーと並ぶ開発パートナー)」**という独立したポジションを目指し、トヨタ・日産・フォルクスワーゲン・BMW・海外EVベンチャーへの受注を次々と獲得しています。

世界12カ国・28工場の拠点を活かし、「ホンダがダメでも、その地域で勢いのある別のメーカーの仕事を受け皿にする」という戦略を中期経営計画の最重要課題に掲げています。


💡 ポイント②「たたみ一畳分」のバッテリーケース市場

今ジーテクトが最も投資を集中させている成長領域が、EVの心臓部を守る**バッテリーハウジング(電池格納ケース)**です。

ピュアEVのバッテリーケースは**「たたみ一畳分」**もの巨大なサイズになります。これを作るには広大な敷地と大量の溶接ロボットが必要で、普通の部品メーカーは参入できません

さらにジーテクトは「車体の骨格」のプロでもあるため、**骨格とバッテリーケースを最初から一体化して設計する「セット提案」**ができる。この提案力が国内外のEVメーカーから評価され、受注が急増しています。


💡 ポイント③「ギガキャストの弱点」を補う唯一無二の技術

いま自動車業界では、テスラやトヨタが導入を進める**「ギガキャスト(アルミの巨大一体成形)」が注目されています。しかしアルミには衝突時に衝撃エネルギーを効率よく吸収できない**という弱点があります。

そこで自動車メーカーが採用しているのが、こういう設計思想です。

「衝撃を受けにくい部分はギガキャスト(アルミ)で軽く作り、乗員の命を守るキャビン部分はジーテクトの超高強度ホットスタンプ(鉄)でガチガチに固める。」

ジーテクトが持つ1.5GPa級のホットスタンプ技術は、鉄を真っ赤に加熱してプレスし、ダイヤモンド並みの硬さを実現します。

ギガキャストがどれだけ進化しても、人命を守る骨格にはこの技術が不可欠です。

売上3,334億円、海外売上比率82.2%。見た目は地味な部品メーカーでも、その中身は想像以上に面白い会社でした。


③ 決算で見えたこと

2026年3月期の決算結果です。

・売上高:3,334億円(予想比**+4.2%増**)
・経常利益:184億円(前期比**+5.4%・3期ぶり最高益**)
・当期純利益:134億円

予想を大きく上回る着地でした。北米市場での販売好調と価格転嫁の進展が利益を押し上げています。

翌2027年3月期の配当予想は98円(+6円増配)。
17期連続増配に向けてすでに動き出しています。

詳細な配当推移はこちら:🔗 https://irbank.net/E02228/results


④ 配当はどうか?

配当推移(1株あたり)です。

・2010年:11円
・2022年:56円
・2023年:58円
・2024年:67円
・2025年:87円
・2026年実績:96円
・2027年予想:98円

16期連続増配、15年で配当は8.9倍になりました。

特に注目しているのが配当性向30.5%という数字です。利益の3割しか配当に使っていない。残りの7割は設備投資や内部留保に回しながら、それでも増配を続けている。財務の余裕と株主還元の意志が両立している会社だと感じます。


⑤ リスク

正直に書きます。3点あります。

まずホンダへの売上依存です。売上の約7〜8割がホンダ向けという集中度は、この会社最大のリスクです。ホンダのEVシフトの遅れや中国市場での苦戦が続けば、ジーテクトの業績にも直接影響します。他販拡大は進んでいますが、まだ道半ばです。

次にEV化の移行期リスクです。バッテリーケースやホットスタンプ技術はEV時代にも有効ですが、移行期の設備投資負担が一時的に利益を圧迫する可能性があります。

最後に原材料・為替リスクです。鋼材価格の変動と、海外売上比率82%という構造上、円高が進むと業績が押し下げられます


⑥ 今の結論

継続保有 ◎ / 買い増し ○

ホンダ依存というリスクは承知の上で、ホットスタンプ技術・バッテリーケースへの展開・他販拡大という3つの成長軸が揃っています。16期連続増配・配当性向30.5%・3期ぶり最高益。地味に見えて、実は想像以上に面白い会社でした。

ホンダ以外への売上比率の変化を確認しながら、株価の調整局面では買い増したいと思っています。


⑦ 次にこの銘柄を見るワンポイント(2026年11月)

確認するのは一点だけにします。ホンダ以外への売上比率が着実に上がっているかです。トヨタ・日産・海外OEMへの拡販とバッテリーケースの受注が積み上がるほど、ホンダ依存リスクが薄まり業績の安定性が増します。次の中間決算でマルチクライアント化の進捗を確認します。


⑧ まとめ

「ホンダ系の部品メーカー」という第一印象は、調べるほど塗り替えられていきました。

ギガキャストの弱点を補う超高強度技術・たたみ一畳分のバッテリーケース市場・世界12カ国への他販拡大。 EVがどれだけ普及しても、人命を守る車の骨格にはジーテクトの技術が必要です。

あなたが毎日見かける車の中に、知らない優良企業が隠れているかもしれません。


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