【毎週ショートショートnote】おじさん箪笥
おじさんだ。
若いときは早くおじさんになりたいと思っていた。
だって。「若い」は、色々と面倒だ。
そりゃそうだ。
でも、「若い」に戻りたいんでしょ。
いや。おじさんで結構。
居心地が良い。
若い頃からおじさんだったでしょ。
確かに。
でも、若い頃は自意識過剰で、窮屈だった。
アドバイス、という名の干渉もあった。
その点おじさんはほったらかしで、逆に寂しいくらいだ。
そりゃそうだ。
「はしる」ものに注目が集まるからね。
上手に育ったおじさんは、出過ぎず、眺めている。
育たなかったおじさんは、寂しさから、やがて語りはじめる。
そりゃそうだ。
我を行くからね。
おじさんのアドバイスなんて、そんなもんだ。
育たなかったおじさんの呪文だ。
そりゃそうだ。
ところで、部屋がスッキリして、何もないね。
断捨離したら、その箪笥も要らなくなったな。
奥にまだ、自意識が残ってるよ。
いらねぇな。もう。
床に自意識を叩きつけた。
これでおじさんの完成だ。
(419文字)
100s / そりゃそうだ
山本蛇内さんの記事をキッカケに連想して連想して全然違うものになったヤツが本作です。
毎週ショートショートnoteに参加しています。
