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hangloose05
“何もしない”って言ったのに、触れてきたくせに
【“信じてた”なんて言えないくせに】
「何もしないから」
って言われたとき、ほんの少しだけ、安心した。
それでも、ほんとはわかってた。
“何もしない”なんて言葉を信じたくて、信じたフリをしてた。
その夜は、雨が降りそうで降らなかった。
湿った空気の中で、彼の手が一瞬だけ私の肘に触れた。
偶然を装った指先。
わたしはその感触を、忘れようとした。
「寒くない?」
そう聞かれたときにはもう、
わたしの心は、半分くらい傾いてた。
【優しさが欲しかったわけじゃない】
ホテルの鍵を受け取る彼の手元を、盗み見るように見てた。
わたしはただ、そこにいる“意味”が欲しかった。
特別になりたいわけじゃない。
ただ、いないことにされたくなかった。
部屋に入っても、すぐには何も起きなかった。
彼はコートを脱いで、ベッドじゃなくて、壁にもたれて座った。
「テレビつけていい?」
そんな他愛ないやりとりが、やけに愛しかった。
何もしないって言ってたくせに、
私の指に触れたとき、彼の目はちゃんと欲しがってた。
でも、それが嬉しかった。
わたしの中の“女の部分”が、
彼の目に映ってるのを感じた。
それだけで、ちょっと報われた気がした。
【期待しないふりをしてたけど──】
彼が手を伸ばしてきたとき、
わたしはほんの少し、脚を組み替えた。
誘うように、って思われてもよかった。
むしろ、そう思ってほしかったのかもしれない。
「触れても、いい?」
その問いかけがあっただけで、
わたしの中の“いい女でいたい自分”が崩れた。
ほんとは、触れられたくて仕方なかったくせに。
触れられた瞬間に、
「それでもよかった」って思ってしまった自分が、
今でも、少しだけ恥ずかしい。
【わたしが自分から、ほどけていく夜】
求められたことが、嬉しくて。
でも、優しくされるほど、
自分の価値がどんどん軽くなっていく気がした。
それでも、身体の奥はちゃんと熱くなってた。
わたしは、“わたし”を抱かせるためにそこにいたのかもしれない——。
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