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“何もしない”って、どこまでが“何も”なの?

「私は女として見られたことがなかった」

― 23歳、初めて“その目”で見られた夜の話


◆私は「透明な存在」だった

「好きになってもらうには、可愛くなきゃいけない」
「男は、若くてエロい女が好き」

そんな空気が、当たり前のように私のまわりにはあった。
私には、胸も自信もなかった。

男友達から「いい子だよね」と言われるたびに、
“でも女としては見られてないんだな”って、薄々感じていた。

その頃の私は、
“自分が女である”ということに、価値を感じられていなかった。


◆はじめて“女性”として見られた気がした

そんなある日。
会社の先輩と、少し遅めの飲みに行った。

彼は誰にでも優しい人で、
たぶんその優しさの一部を、私は自分にだけ向けられていると思い込みたかったのかもしれない。

帰り道、「家まで送るよ」と言われた。
ほんの数秒、迷ったけど——うなずいた。

彼の部屋に着いたとき、
私の鼓動は、自分でも分かるくらい速くなっていた。


◆「キス、してもいい?」

ソファに並んで座ったまま、しばらくテレビの音だけが流れてた。
無言が怖くて、缶チューハイをもう一本開けた。

そのとき、ぽつりと彼が言った。

「…キス、してもいい?」

答える前に、私の唇は塞がれていた。
——いや、ほんとは、答えを待たなくても分かってた。
それでも私は、止めなかった。

それは、“怖さ”よりも
“自分が必要とされてる気がした”あの感じの方が、ずっと強かったから。


◆「女の子って、こんな風に見られるんだ」

彼の目の奥に、私は“女”として映っていた。
胸のふくらみを撫でる手、太ももにそっと乗せられる手。
どれも、見られたことのない“私”を映し出しているようだった。

私はそのとき、初めて
「自分にも、誰かをドキドキさせる価値があるのかもしれない」と思った。

——たった一晩のことでも、
“透明じゃなかった自分”を感じたことは、私にとって忘れられない記憶になった。


◆これは「正しい恋」じゃないかもしれないけど

もしかしたらこの出来事は、
誰かにとっては軽率で、だらしなくて、褒められたものじゃないのかもしれない。

でもあの夜、私は「人に見られる」感覚を取り戻した。
「女として見られた」ことが、私の中の何かを確かに変えた。

それが、何かを失うことだったとしても。
私はあの夜、「私は愛されていい存在なのかもしれない」と、初めて思えたのだから。

「“ただの遊び”じゃなかった」と思いたかった

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