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生保大手3社を比較してみた 第一ライフ・T&D・かんぽ生命、買うならどれ?



こんにちは、東松アンリです。

今回は、生命保険大手3社を比較します。

取り上げるのは、

  • 第一ライフ

  • T&Dホールディングス

  • かんぽ生命

の3社です。

生命保険会社というと、死亡保険や医療保険を販売し、毎月保険料を受け取る会社というイメージが強いと思います。

でも投資家目線では、それだけではありません。

契約者から集めた資金を国債、社債、外国債券、株式などで運用する、巨大な機関投資家でもあります。

表では人生に寄り添う保険会社。
裏では何十兆円という資産を動かす運用会社。

なかなか大きな二面性です。

最近は国内金利が上昇し、生命保険会社を取り巻く環境も変わっています。

低金利時代には、昔の契約で約束した利率を運用で稼げない「逆ざや」が問題でした。

金利が上がれば、新しく買う国債や社債の利回りが改善し、運用収益には追い風です。

ただし、既に保有している債券の時価は下がります。契約者がより高利回りの商品へ乗り換え、解約が増える可能性もあります。

つまり、生保株は「金利上昇=全部プラス」とまでは言い切れません。

今回は、生命保険業界の仕組み、3社の違い、業績、配当、株主総会で聞かれそうな質問まで整理します。

なお、損保株については以下の記事でとりあげています。

※本記事は個人的な調査や考えをまとめたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身でお願いします。

1. 生命保険業界の概要

生命保険会社の基本的な役割は、契約者から保険料を受け取り、死亡、病気、介護、老後などのリスクが発生したときに保険金や給付金を支払うことです。

主な商品は次のとおりです。

  • 死亡保険 死亡時の家族の生活を保障

  • 医療・がん保険 入院、手術、治療費に備える

  • 介護保険 要介護状態に備える

  • 個人年金 老後資金を準備する

  • 学資保険 子供の教育資金を準備する

  • 貯蓄性保険 保障と貯蓄を組み合わせる

  • 法人向け保険 経営者保障、退職金、事業承継など

昔は、大きな死亡保障を持つ商品が中心でした。

現在は、医療、介護、認知症、老後資金、相続など、生きている間に使う保障の重要性が高まっています。

人口減少は新規契約の逆風ですが、高齢化は医療、介護、年金、相続需要を増やします。

市場が単純に消えるというより、保障の中身が変わっていると考えたほうが近いです。

生命保険会社は何で利益を出すのか

生命保険会社の利益は、大きく3つに分けられます。

死差益
想定よりも死亡や入院が少なく、保険金の支払いが抑えられた場合の利益です。

利差益
資産運用で得た利回りが、契約者に約束した利率を上回った分です。

費差益
想定していた経費より、実際の販売費や管理費を抑えられた場合の利益です。

利差益を、かなり単純化した数字で考えてみます。

仮に、保険会社が契約者に約束している利率が0.5%で、100万円を1年間運用するとします。

運用利回りが1.5%なら、運用収益は1万5,000円。
契約者に約束した分は5,000円。

差額の1万円が、利差益のイメージです。

実際の保険会計はもっと複雑ですが、金利上昇が生保会社に追い風と言われる理由は、この差を広げやすくなるからです。

投資家が見る指標としては、まず次の4つを押さえれば十分です。

  • 新契約年換算保険料 新しい保険がどれぐらい売れているか

  • 基礎利益、修正利益 保険本業と運用の実力

  • ESR 経済価値ベースでみた資本余力

  • 配当・自社株買い 利益を株主へどれだけ返すか  

純利益だけでなく、契約、運用、資本余力を一緒に見る必要があります。

2. 第一ライフグループ

最初は、第一ライフグループです。

第一ライフグループは、旧・第一生命ホールディングスにあたる上場持株会社です。

2026年4月の商号変更に伴い、グループブランドも「Daiichi Life」に刷新されました。

同社の特徴は、今回比較する3社の中で最も海外展開が進んでいることです。

国内では、第一生命保険、第一フロンティア生命、第一ネオ生命などを展開しています。

海外では、米国のプロテクティブ、オーストラリアのTALをはじめ、アジアやオセアニアにも事業を広げています。

つまり、第一ライフグループは、国内の「第一生命」だけで構成された会社ではありません。

国内保険、海外保険、資産運用、新規事業を抱える、グローバルな保険・金融グループです。

2026年3月期の経常収益は約11兆3,083億円、親会社株主に帰属する純利益は4,365億円でした。

利益規模では、今回の3社で最も大きいです。

さらに2027年3月期は、純利益5,130億円を予想しています。

国内市場が成熟する中、海外保険と資産運用を成長エンジンにする戦略が鮮明です。

M&Gとの提携

最近の大きなニュースは、英国の保険・資産運用会社M&Gとの提携です。

第一ライフグループはM&G株式の15%を取得し、欧州の資産運用事業を強化しています。

単なる株式投資ではなく、グループの資金をM&Gの商品で運用したり、M&Gの商品をアジアで販売したりする狙いがあります。

国内で保険を売るだけでなく、世界で保険と資産運用の両方を拡大しようとしているわけです。

一方、海外投資には為替、現地規制、買収後の統合、高値づかみなどのリスクがあります。

攻める力はありますが、その分チェック項目も多い会社です。

株主還元

2026年3月期の年間配当は54.5円、2027年3月期は72円を予想しています。

第一ライフグループは、グループ修正利益を基準に配当性向50%以上、原則減配しない方針です。

海外投資と株主還元を両立できるかが、今後の重要な評価ポイントになります。

強み:海外保険と資産運用

リスク:海外M&A、為替、市場変動

注目点:海外利益、修正ROE、M&Gとの提携効果

3. T&Dホールディングス

T&Dホールディングスは、太陽生命、大同生命、T&Dフィナンシャル生命を中心とする保険グループです。

3社は、それぞれ異なる顧客層を担当しています。

  • 太陽生命 家庭市場、医療・介護、営業職員チャネル

  • 大同生命 中小企業、経営者保障、税理士代理店

  • T&Dフィナンシャル生命 金融機関・代理店、貯蓄性・外貨建て商品 

T&Dの特徴は、何でも広く扱うのではなく、得意市場を深く掘っていることです。

大同生命は、特に中小企業経営者向けの保障に強みがあります。

たとえば、社長が急に亡くなれば、家族の生活だけでなく、銀行返済、従業員の給与、取引先との関係、事業承継まで問題になります。

大同生命は、こうした企業経営そのものに関わる保障を提供しています。

配当の強さ

T&Dで最も目を引くのは株主還元です。

2025年3月期の年間配当は80円でしたが、2026年3月期は130円、2027年3月期は164円を予想しています。

配当は、5年平均のグループ修正利益に対して60%程度を還元する方針です。

単年度の利益ではなく、複数年の平均を使うため、配当を安定させやすい設計です。

ただし、増配幅が大きいだけに、国内保険事業の利益が今後も維持できるかは確認したいです。

ヴィリディウムへの出資

最近の注目材料は、欧州のクローズドブック事業を手掛ける独ヴィリディウムへの出資です。

クローズドブックとは、新規販売を停止した保険契約を引き継ぎ、既存契約の管理と利益回収に集中する事業です。

新しい契約を大量に集める派手さはありませんが、運用、保険金支払い、経費を管理できれば、長期的な収益源になります。

T&Dは、国内の得意市場に加えて、海外の既契約管理事業へも収益源を広げようとしています。

強み:顧客層を分けた国内特化モデル

リスク:国内人口減少、海外投資の収益化

注目点:配当の持続性、ESR、ヴィリディウムの利益貢献

4. かんぽ生命

かんぽ生命の最大の特徴は、全国の郵便局ネットワークです。

地方や高齢者を含め、幅広い顧客と接点を持っています。

保険は内容が複雑なので、対面で相談したい人も少なくありません。

一方で、店舗や人員を抱えるため、ネット専業よりコストが高くなりやすい弱点もあります。

かんぽ生命は、郵便局という強みを残しながら、リモート相談やデジタル手続きを増やそうとしています。

利益は好調、契約は減少

2026年3月期の純利益は1,687億円、修正利益は1,715億円となり、どちらも過去最高でした。

運用環境の改善によって、利差収益が増えたことが大きいです。

一方、個人保険の新契約件数は42.8万件で、前年同期比46.1%減。

保有契約件数も1,772.5万件となり、前期末から5.8%減っています。

つまり、足元の利益は強いものの、将来の利益を支える契約基盤は縮小しています。

かんぽ生命を見るときは、純利益だけでなく、新契約がいつ底打ちするかが重要です。

巨大な資産運用会社

かんぽ生命は、60兆円規模の総資産を持つ巨大な運用会社でもあります。

資産の中心は国債などの公社債です。

国内金利が上昇すると、新しく購入する債券の利回りが改善します。

一方、既に保有している債券の価格は下落します。

金利上昇は中長期的な収益には追い風ですが、短期的には評価損やESRの変動要因になります。

株主還元

2026年3月期の年間配当は41.3円、2027年3月期は50円を予想。

2028年度には、1株62円以上を目標としています。

契約減少を止めながら、運用益と資本余力を配当へ回せるかが、再評価の条件になりそうです。

強み:郵便局網と巨大な運用資産

リスク:契約件数の減少、金利変動

注目点:新契約の底打ち、順ざや、配当目標

5. 業績・配当・特徴を3社比較

配当額だけを見ると、T&Dが目立ちます。

ただし、1株当たり配当は株価や発行株式数が異なるため、金額だけで優劣は決められません。

実際に投資するときは、配当利回り、配当性向、修正利益、自社株買い、ESR、PBRなども確認したいです。

大切なのは、配当の原資がどこから生まれているかです。

6. 株主総会で想定される質問と回答

第一生命

質問:海外への大型投資は、高値づかみや減損につながりませんか?

想定回答:

国内市場が成熟する中、海外保険と資産運用の成長は必要です。投資判断では、資本コストを上回る収益性、ESRへの影響、事業シナジーを確認します。投資後も利益貢献や資産流入を継続的に検証します。

質問:海外投資を続けながら、増配や自社株買いを続けられますか?

想定回答:

配当性向50%以上と原則減配しない方針を維持します。資本余力、成長投資、株価水準を踏まえ、自己株式取得も検討します。

T&Dホールディングス

質問:年間164円の配当は持続可能ですか?

想定回答:

配当は単年度ではなく、5年平均のグループ修正利益を基準にしています。期間利益の60%程度を還元し、安定的な配当を目指します。

質問:ヴィリディウムへの投資はリスクが大きすぎませんか?

想定回答:

クローズドブック事業は、当社の保険・資産運用ノウハウと親和性があります。金利、規制、運用環境などのリスクを管理し、投資採算を継続的に検証します。

かんぽ生命

質問:過去最高益なのに契約件数が減っています。利益は持続可能ですか?

想定回答:

運用収益の改善が利益に寄与していますが、契約減少は重要な課題です。商品改定、郵便局との連携、デジタル活用を通じて、新契約の底打ちを目指します。

質問:郵便局ネットワークはコストが高すぎませんか?

想定回答:

地方や高齢者を含む幅広い顧客に接点を持てることは大きな強みです。オンライン手続きやリモート相談を組み合わせ、生産性とコスト効率を改善します。

7. アンリの結論

第一生命は、3社の中で最も成長性があります。

海外保険、資産運用、M&Gとの提携を通じ、国内人口減少の影響を海外で補おうとしています。

海外投資のリスクはありますが、成功すればグローバルな保険・資産運用グループとして再評価される可能性があります。

成長性を取りにいくなら第一生命。

T&Dは、国内の得意市場への特化と、株主還元の強さが魅力です。

太陽生命、大同生命、T&Dフィナンシャル生命の役割分担が明確で、特に中小企業市場には独自の強みがあります。

配当と株主還元を重視するならT&D。

かんぽ生命は、国内金利上昇の恩恵を受けやすく、配当も増やそうとしています。

一方、契約件数の減少は明確な弱点です。

新契約が底打ちし、保険本業と運用益の両方が改善すれば、再評価余地があります。

金利上昇と反転を狙うならかんぽ生命。

私の整理は、

成長性は第一生命。
還元はT&D。
再評価余地はかんぽ生命。

です。

個人的には、事業の広がりと成長ストーリーでは第一生命が一番面白く見えます。

ただ、配当を受け取りながら持つならT&Dも魅力的です。

かんぽ生命は、新契約の底打ちを確認できれば、評価を上げやすい会社だと思います。

同じ生命保険株でも、中身は違います。
見た目はどこも堅そうですが、実際は成長型、還元型、反転型。
みんな同じタイプだと思ったらあかんやつですね。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

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※本記事は個人的な調査や考えをまとめたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身でお願いします。

参考資料

本記事の作成にあたり、以下の資料を参考にしました。

  • 一般社団法人生命保険協会「生命保険の動向」

  • 一般社団法人生命保険協会「生命保険事業概況」

  • 金融庁「経済価値ベースのソルベンシー規制に関する資料」

  • 各社の決算資料、統合報告書、中期経営計画などのIR資料

  • ロイターなどの報道資料

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