見出し画像

【損保株】東京海上・MS&AD・SOMPOを本気で比べてみた


こんにちは、東松アンリです。

今回は、損害保険大手3社、東京海上ホールディングス、MS&ADインシュアランスグループホールディングス、SOMPOホールディングスを比較していきます。

損保株って、なんとなく「安定・高配当・ちょっと地味」みたいなイメージがありませんか?

でも、最近の損保大手をちゃんと見ると、ぜんぜん地味じゃないです。

政策保有株の売却、自己株買い、海外保険事業、自然災害リスク、再保険コスト、そして資本効率の改善。

見れば見るほど、かなり投資テーマが詰まっています。

銀行株が「金利上昇で利ざやがどうなるか」を見る業界だとすれば、損保株は「リスクにちゃんと値段をつけられているか」「余った資本を株主に返せるか」「海外で成長できるか」を見る業界です。

つまり、ただの保険屋さんではありません。

巨大なリスク計算マシンです。ちょっと言い方がかわいくないけど、ほんとにそうなんです。

この記事では、最新決算をもとに、東京海上HD、MS&AD、SOMPO HDの3社を投資目線で比較します。

先にざっくり結論を言うと、私の見方はこうです。

  • 長期の事業クオリティなら、東京海上HD

  • 割安感と政策保有株売却の妙味なら、MS&AD

  • 短中期の再評価余地なら、SOMPO HD

ただし、どれも一長一短があります。

東京海上は強い。でも株価もそれなりに強さを織り込んでいます。
MS&ADは安い。でも利益の見え方や資本政策を少し丁寧に読む必要があります。
SOMPOは再評価余地が大きそう。でも海外買収や自然災害のブレは見ておきたい。

「損保ならどれでも同じでしょ?」で買うと、けっこう危ないです。
同じ損保でも、3社のキャラはかなり違います。

※追記 生保株については以下の記事で紹介していますので合わせて閲覧してね。

損保業界のポイント

損保会社の収益は、大きく分けると2つです。

1つ目は、保険そのものの利益。

つまり、保険料を受け取って、事故や災害が起きたら保険金を払う。その差し引きでどれだけ利益が残るかです。

2つ目は、資産運用の利益。

損保会社は、受け取った保険料や自己資本を運用しています。株式、債券、海外資産などを持っているので、金利や株価、為替の影響も受けます。

この2つを見るうえで、損保業界ではいくつか大事な指標があります。

特に大事なのは、コンバインド・レシオです。

これは、かなり噛み砕くと「保険料100円をもらって、保険金支払いと経費で何円使ったか」を見る指標です。

100%を下回れば、保険の本業で利益が出ている状態。
100%を超えると、保険の本業では赤字で、運用益などで補っている状態です。

なので、損保株を見るときに「配当利回りが高いからいいね」だけで見るのは少し危ないです。

保険引受の採算が悪ければ、配当の持続性にも不安が出ます。

ここは、ちゃんと見たいところです。

自然災害リスク:損保株はここが一番ブレる

損保株を見るうえで避けられないのが、自然災害リスクです。

台風、豪雨、地震、雹、山火事、ハリケーン。

損保会社は、こうした災害が起きると保険金を支払います。

つまり、どれだけ事業が強くても、巨大災害が起きれば単年度の利益はブレます。

ここが銀行株とは違うところです。

銀行株は金利や与信費用でブレます。
損保株は災害でブレます。

特に火災保険は、自然災害の影響が大きいです。

近年は、災害の大型化や修理費上昇もあり、損保会社は保険料を引き上げて収益改善を進めています。

ただし、保険料改定が効くまでには時間差があります。

また、再保険コストも重要です。

損保会社は巨大災害に備えて、自分たちも再保険を使います。

簡単に言うと、「保険会社が入る保険」です。

再保険料が上がると、損保会社のコストが増えます。

ここは地味ですが、かなり大事です。

損保株を見るなら、毎年の自然災害発生額、再保険コスト、保険料改定の進捗はセットで見たいです。

【8766】東京海上HD

東京海上HDは、3社の中でいちばん事業クオリティが高いと見ています。

国内損保だけでなく、海外保険事業の存在感が大きく、グローバルに収益源が分散しています。

日本の損保市場だけに頼っていないので、国内人口減少の影響を受けにくい。ここはかなり大きな強みです。

2025年度の修正純利益は1兆2,048億円。

政策保有株売却益が減っても高水準を維持しており、「持ち合い株を売ったから一時的に利益が出ただけ」ではなさそうです。

さらに2026年度は、IFRSベースの修正純利益9,500億円、年間配当245円、自社株買い4,000億円を掲げています。

還元も強いです。

政策保有株の売却も進んでいます。

2025年度の売却額は7,456億円、時価残高は1兆9,643億円まで下がっています。

この流れは、投資家から見るとかなり好印象です。

政策保有株を減らすと、資本効率が改善しやすくなります。さらに売却で得た資金を、自社株買いや成長投資に回せる可能性があります。

ただし、東京海上には大きな注意点があります。

それは、すでに高く評価されていることです。

PERは16倍台、PBRは2.5倍台。損保3社の中では明らかにプレミアム評価です。

会社としては強い。

でも、株として今から一番おいしいかと言われると、そこは少し悩ましいです。

投資って、ほんとここが難しいんですよね。

美人で性格も良くて仕事もできる人は、だいたい人気があります。株も同じで、良い会社はちゃんと高い。世の中、そんなに甘くないです。

東京海上は、長期で安心して持つなら最有力です。

ただ、短期・中期で株価の再評価を狙うなら、SOMPOやMS&ADの方が面白く見えます。

東京海上は「本命だけど、押し目を待ちたい」銘柄です。

【8725】MS&AD

次にMS&ADです。

MS&ADは、今回の3社の中で、いちばん割安感が強い銘柄です。

PERは14倍台、PBRは1.3倍台。

東京海上と比べると、かなり評価に差があります。

しかも、2026年3月期の当期純利益は7,873億円。修正ROEは17.8%。配当は170円、自社株買いは2,700億円規模。

数字だけ見ると、かなり強いです。

ただし、MS&ADは少し読み解きが必要です。

理由は、政策保有株の売却、IFRS移行、資本政策の見直しが同時に進んでいるからです。

政策保有株の売却は、MS&ADにとって大きなテーマです。

2024年度には7,085億円を売却し、2025年度も4,763億円を売却しています。2029年度末までに政策保有株をゼロにする方針も掲げています。

これは中長期ではかなり良い材料です。

でも、短期的には「政策保有株売却益が減ったら利益が落ちたように見える」という問題が出ます。

つまり、会社の本質的な稼ぐ力が悪くなったわけではなくても、見た目の利益が鈍く見える局面があるかもしれません。

ここがややこしいところです。

また、ESRは214%です。

ESRは、ざっくり言うと保険会社の財務体力ゲージです。高いほど余裕があります。

214%は危ない水準ではありません。

ただ、東京海上268%、SOMPO270%と比べると、少しタイトに見えます。

そのため、MS&ADは「割安だからどんどん自社株買いして!」と簡単に言えるかというと、少し慎重に見たいです。

とはいえ、私はMS&ADを悪く見ていません。

むしろ、政策保有株削減が進み、利益の見え方が整理されてくれば、再評価余地はあると思います。

短期的にはノイズが多い。でも、中期で見るなら、かなり面白い。そんな銘柄です。

【8630】SOMPOホールディングス

最後にSOMPO HDです。

今回、短期から中期の投資妙味でいちばん気になるのはSOMPOです。

理由はシンプルです。

数字が良いのに、株価評価がまだ低めだからです。

2025年度の修正連結利益は5,352億円。
連結当期利益は6,400億円。
修正ROEは13.4%。
ESRは270%。

これだけ見ると、かなりしっかりしています。

それなのに、PBRはまだ1倍割れ近辺です。

これは、ちょっと気になります。

もちろん、SOMPOには過去のガバナンス問題の印象や、国内損保事業への不安が残っていた面もあります。

でも、足元では国内損保の収益改善が進んでいます。

損保ジャパンの修正利益は2,173億円、コンバインド・レシオは91.0%まで改善しました。

これはかなり大きいです。

コンバインド・レシオ91%ということは、保険引受の採算がかなり改善しているということです。

さらに、火災保険や自動車保険の料率改定も効いています。

政策保有株も減っています。

2025年度の削減額は2,924億円。グループ連結の上場政策株式は1.2兆円まで下がりました。

そして中期的なカタリストが、米アスペン買収です。

SOMPOはアスペン買収により、海外保険事業の拡大を狙っています。2026年度には修正利益への貢献を450億円程度と見込んでいます。

もちろん買収にはリスクもあります。
PMI、つまり買収後の統合がうまくいくか。
買収価格が高すぎなかったか。
海外自然災害や再保険市場の影響をどう受けるか。

ここは見ないといけません。

でも、PBR1倍割れ近辺で、ESR270%、修正ROE13%台という状態なら、私は再評価余地があると思います。

SOMPOは、今回の3社比較の中では一番「株価が変わる余地」を感じます。

優等生の東京海上。
割安だけど少し読み解きが必要なMS&AD。
改善と再評価のSOMPO。

こう見ると、だいぶ整理しやすいです。

アンリの結論

今回3社を見て、あらためて感じたのは、損保株はもう単なる地味な高配当株ではないということです。

政策保有株を減らし、資本効率を上げ、海外で成長し、保険料改定で本業の採算を改善する。

かなり大きな変化が起きています。

ただし、損保株は一筋縄ではいきません。

自然災害で利益はブレます。
政策保有株売却益はいつか減ります。
海外買収には統合リスクがあります。
ESRが下がれば、株主還元への期待も少し冷えます。

つまり、良い話だけを見て買うと危ないです。

でも、ちゃんと見るポイントを押さえれば、かなり面白いセクターだと思います。

最後にもう一度まとめます。

東京海上は、質の高い王者。
MS&ADは、割安と資本改革の途中。
SOMPOは、改善と再評価の候補。

どれも同じ損保ではありません。

私は現時点では、短中期の投資妙味ならSOMPO、割安感ならMS&AD、長期の安心感なら東京海上という見方です。

損保株は、銀行株より少しクセがあります。
でも、そのクセを読み解けると、かなり面白いです。

こういう「地味に見えるけど、実は中身が変わっている業界」って、投資記事にするとけっこう好きなんですよね。

派手なテーマ株ではないけれど、数字の裏でちゃんと変化が起きている。
そういう銘柄を見つけるのが、投資の楽しいところです。
焦らず、数字を見て、リスクも見て、自分の軸で判断していきたいですね。


ここまで読んでくださって、ありがとうございます😌
もし記事が気に入っていただけたらスキ、フォローお願いします。
また、他に取り上げてほしい銘柄、業界などがあればコメントしてね。
東松アンリでした。


※本記事はあくまで私の考えや整理をまとめたものです。特定の銘柄の売買をおすすめするものではありませんので、投資判断はご自身でしっかり検討したうえでお願いしますね。

参考資料

  • 東京海上ホールディングス 2026年3月期 決算短信・決算説明資料

  • MS&ADインシュアランスグループホールディングス 2026年3月期 決算短信・決算説明資料

  • SOMPOホールディングス 2026年3月期 決算短信・決算説明資料

いいなと思ったら応援しよう!