机上の神道学」が皇統を滅ぼす——現場の神職が忘却を許さない、男系継承という「神話的真実」
はじめに:文字を追う学者と、神前に立つ神職の決定的な「乖離」
メディアで「皇室研究家」として重宝され、女性天皇・女系天皇容認論を唱える高森明勅氏。彼のプロフィールには「神道学者、皇室研究者 1957年、岡山県生まれ。国学院大学文学部卒、同大学院博士課程単位取得。」という権威ある肩書きが踊る。一般国民はこれを免状として、彼の言葉を「神道の専門家の意見」として受け止めてしまう。
しかし、ここに決定的な欺瞞がある。彼は神道学を「研究対象」として消費する学者であり、日々神前に額を床につけ、目に見えない伝統の重みを背負ってきた「実務者(神職)」ではない。学部・大学院で神道学を修め、明階を取得して実際に8年間奉職した筆者の目から見れば、彼の言説は神道界の看板を借りた伝統破壊であり、到底容認できるものではない。
1. 「男系」は制度ではない——天壌無窮の神勅を否定する暴挙
高森氏は2013年以降、天皇が男系で続いてきた事実を認めつつも、「基本原則ではない」という主張を展開している。これは、神道を内側から崩壊させる極めて危険な思想である。
神道における皇位継承とは、憲法や法律による「持続可能なシステム論」ではない。天照大御神が下された「天壌無窮の神勅」に基づき、神武天皇から一貫して途切れなく続いてきた「ひとつの聖なる血の連なり(父系)」そのものが正統性の根源である。
実際問題、私の神職時代に、悠仁親王殿下が誕生され、この時に勤めていた神社ではご誕生を祝う垂れ幕がかけられたし、「男子がご誕生になられて本当に良かった」と、皆が口々に言っていた。
これを「基本原則ではない(たまたま続いただけ)」と言い切る姿勢は、歴代の天皇がどれほどの危機にあっても命がけで守り抜いてきた「血統の神聖性」への敬畏を欠いている。神道の核心たるお祭りと祈りの本質を、自ら否定しているに等しい。
2. 「悠仁親王即位反対」という傲慢——小林よしのり氏らへの悪影響
さらに深刻なのは、彼が「女系天皇」にまで賛成の舵を切り、正統な男系継承者である悠仁親王殿下の即位に否定的な立場を取るに至った点である。
女系天皇の容認は、歴史上一度も存在しなかった「新しい王朝(別の血統)」の誕生、すなわち日本の伝統の終焉を意味する。高森氏の理論に感化された漫画家・小林よしのり氏らが、メディアや著作で「愛子天皇論」を煽り立てる世論形成の「理論的黒幕」となっているのが実態だ。
神道を実践してきた者であれば、皇室の秩序を内側から乱し、正統な継承者を否定するような言説がどれほど畏れ多いことか、身体感覚として理解できるはずである。それを平然と行う姿は、学問の私物化であり、政治運動への加担と言わざるを得ない。
3. おわりに:神道界の看板を汚すな
高森氏がどれほどメディアで尤もらしい持続可能性を説こうとも、その言葉には現場の神職が持つ「神々への畏怖」が致命的に欠落している。
実家が社家でなくとも、神道を志して階位を得、奉職した人間は皆、伝統という大河の「一滴」として仕える覚悟を持っている。神道学の看板を掲げながら、その大河の源流(男系)をせき止めようとする高森氏の行為は、神道界の面汚しであり、欺瞞である。
我々現場を知る者は、机上のイデオロギーによって2000年の祈りが塗り替えられるのを、決して黙って見過ごしてはならない。
