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「アマテラス女系論」の創作者たち


とんでも説は如何にして作られ、拡散したのか

皇位継承問題をめぐり、愛子内親王殿下の即位や女系天皇の容認を叫ぶ人々が、まるで呪文(マントラ)のように唱えるロジックがあります。それが「皇祖神である天照大神が女性なのだから、皇室の伝統は女性を排除していない(だから女系もOK)」という説です。

しかし、記紀(『古事記』『日本書紀』)の記述を普通に読めば、アマテラスは父親(イザナギ)の左目から単独で生み出された「男系(父系)の娘」であり、血統の起点はイザナギにあります。「性別(女性)」と「血統の継承ルール(男系・女系)」を意図的に混同したこの暴論は、誰が、何の目的で作ったものなのでしょうか。その背後には、3人のキーパーソンの存在がありました。

1. 異端の理論を構築した「真の発信源」:高森明勅(たかもり あきのり)

このとんでも説の最大の理論的プロデューサーが、神道学者の高森明勅氏です。
高森氏は2005年、小泉純一郎内閣が女性・女系天皇の容認へ動いた「皇室典範に関する有識者会議」のヒアリングにおいて、この「アマテラス女神論」を公式なレトリックとして国会や政府に提示しました。

  • 歪んだロジックの構築:
    高森氏の目的は、最初から「何が何でも今上天皇の直系(愛子内親王)に皇位を継がせる」という政治的ゴールの達成にありました。そのため、1500年以上続く「男系(父系)による皇統の永続」という冷厳な歴史的事実を打ち破るための後付けの屁理屈として、「神話の最高神が女性である」という抽象的な精神論を持ち出し、学問の定義を政治的にすり替えたのです。

2. とんでも説を世に大拡散した「宣伝屋」:小林よしのり(こばやし よしのり)

高森氏が作った極端なワンフレーズを、ネットやメディアを通じて一般大衆に爆発的に浸透させたのが、漫画家の小林よしのり氏です。
小林氏は著作『ゴーマニズム宣言・新天皇論』などを通じて、高森氏から授かった「アマテラス女神論」を過激に宣伝しました。

  • メディア・ネットでの洗脳:
    小林氏は、高森氏を自身のシンクタンク(ゴー宣道場)の主要メンバー(師範)に迎え、彼の理論を漫画で分かりやすく体系化しました。これに影響を受けたライト層の愛子天皇待望派がブログやSNS、掲示板(2ちゃんねる等)で「アマテラスが女神だから女系OK」と一斉に吹聴し始めたことで、ネット上の「とんでも説のテンプレート」が完成しました。

3. 保守の看板を泥塗った「お神輿」:田中卓(たなか たかし)

高森氏や小林氏が、自分たちの暴論に「学問的な権威」という箔を付けるために最大限に政治利用したのが、元皇學館大学学長・名誉教授の田中卓氏(2018年死去)です。
田中氏は偉大な歴史学者であり、神道界の最高学府である皇學館大学において「誰も逆らえない絶対的な大御所」として君臨していました。しかし、2006年に突如として「女系天皇容認論」を雑誌『諸君!』に発表し、神道界に激震走らせました。

  • 「虚像の権威」の悪用:
    当時80代を超えていた田中氏は、三重県伊勢市のキャンパスには常駐しておらず、学生や院生の前には一度も姿を現さない「見えないお化け(虚像)」のような存在でした。しかし、高森氏らは「あの皇學館のドンである田中卓博士も女系を認めている」という事実を最大の盾(お神輿)として利用。これに対し、当時の皇學館の現役教授であった新田均(にった ひとし)氏らが(実際私は新田氏の講義は色々と受講した記憶がある。学内の学生たちからの、あだ名は新田菌だったが・・・。)「イザナギの血統による父系説」を掲げて命がけで反論し、学内が真っ二つに割れる大問題(タブー)へと発展しました。

総括:結論ありきの「ツギハギ言論」が遺した害毒

「アマテラス女系論」の本質は、純粋な学問の進歩ではなく、小泉政権の政治的動向に便乗した田中卓氏の「乱心」を、高森明勅氏が「理論化」し、小林よしのり氏が「大衆へ洗脳・拡散」したという、極めて人工的な政治プロパガンダです。

10数年前にネット上で大量発生した「アマテラス=女神だから女系OK」と熱弁を振るっていた有象無象のネットユーザーたちの背後には、彼ら3人が作り上げた歪んだテンプレートが存在していました。

一次史料である記紀を客観的に読めば誰もが気づく「イザナギ(父系)の存在」を意図的に無視し、学内の古い権威を隠れ蓑にして日本の伝統を破壊しようとした彼らの罪深さは、歴史的に検証され続けなければなりません。


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