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大人ぶるのが、恥ずかしかったあの頃。

親の前で大人ぶるのが、恥ずかしかった。

「成長したわね。」「こんなこともできるようになったのね。」
そんなことを言われるのが、なんか怖かった。

子どもじゃなくなると、親から離れないといけない、寂しいという感情でもない。ただただ、恥ずかしいのだ。

例えば、私には3歳年下の弟がいる2人姉弟なのだが、お姉ちゃんぶるのが恥ずかしかった。弟は、いつも外でちょろちょろして目が離せなかったのだが、そういう時に叱ってしまう。でも、それを親には見られたくなかった。

「お姉ちゃんになったわね。」と言われるのが、なんか恥ずかしかったのだ。

幼少期は「メルちゃん」みたいな赤ちゃんをお世話をするグッズに興味はあったのだが、親の前で欲しいとは言い出せなかった。(リカちゃんとかシルバニアは買ってもらった。)おままごとで家族ごっこをする時も、お母さん役はやりたくなくて、赤ちゃん役だった。

こんな感情になるのは親だけではない、ちょっと親しい大人……例えば、ピアノの先生とかに対してもだ。

小学3年生の時、ようやく「ピアノの森 3」という教本が最後まで終わって、「次はエリーゼのために」を弾きましょう、と言ってくれた。「エリーゼのために」は憧れていた曲で、ずっと楽しみにしていた。それなのに、いざ「弾きましょう」と言われると、なぜかその場から逃れたくなって、逃れられなくなって、ただただ、頬を膨らませていた。

担任の先生に対しても、勉強ができるアピールはしても、ませたことをつい言ってしまった時は、後から死ぬほど恥ずかしくなった。あの子一丁前にあんなこと言ってたよ、なんて職員室で噂されてるんじゃないかと思った。

そうだ。噂。大人はすぐ「うちの子こんなこと言ってたのよ〜!」で盛り上がる。大人になってから分かったが、あれは「かわいい〜〜!」と盛り上がりたいからそんなことを言うのだ。私も2歳の息子のませた言動を息子の前で他の人に言ったりXで呟いたりしてしまうのだが、本人は恥ずかしく思ってるかもしれない…と反省した。

そんな私も思春期を迎え、本当に大人になっていく。

それなのに、今でさえ親に対しては大人っぽく振る舞うことができない。わざと子供っぽく、ドジで何もわからない自分を演じてしまい、親からの「バカねえ」とか「まだまだ子どもね」とか、そういう言葉を引き出そうとしてしまう。

親には、彼氏の話もしたことがなかったし、結婚の話とかも直前までしなかった(ので結婚する話をした時、かなり驚かれた。)

親が私が子どもであることを望んでいたのかな、という気もする。あまり、大人になってほしくなかったのかな。私に対する、「洋服のセンスがない」「色気がない」が口癖だったし、私が男友達の話をするのを好まなかった。短いフリルのスカートをはいて行こうとしたら叱られた。私には主婦ではなく、仕事をバリバリこなす女性であってほしいと望んでいた。(ある意味ありがたかった)

親が望む姿を演じていたのかもしれないと思う。

成長に感動されたくなかった。そう、感動されたくない。
親には感謝しているけど、「感謝の手紙」を小学校とかで書かされた時、「この前勉強教えてくれてありがとう」とか直近の感謝事項しか書けなかった。すごいドラマみたいな演出も嫌った。

急に、こんなことを思い出したのは、今書いている小説のためだ。

私は創作大賞に出す小説を一つ書いているのだが、「男の人に助けてもらう女の子って、今の時代どうなん?古くない?」という思いが、邪魔をしてしまう。男友達の話をして叱られたことを思い出してしまう。自分としては、男女の恋愛を書きたいのに。多様性が、男女の恋愛を古くしてしまう。


でも、もう大丈夫。
今、何が足枷(手枷?)になっているかがはっきりしたから、もう書ける。

創作大賞には、お仕事小説部門に小説を投稿する予定だ。
予定、だけで実際にまだ書き上げられてないのだが、ここで宣言しておく。

以前執筆し、ありがたいことに多くの方に愛読いただいている「ブラック・クリスマス」を舞台に、また別の方向から組織や仕事の在り方を捉え直す作品を執筆している。

小説が完成すらしていないので、こんなこと言うとあれだけど、
万が一受賞できたら、東京には息子と2人で行って、千葉にいる母に息子を見てもらって、授賞式に参加したい。

でも、万が一そんなことがあったとしても、申し訳ないけど、親に書いた小説は見せない。

「こんな大人な小説を書くのね」と親に思われたくない。
親に対して、大人ぶるのは、やっぱり恥ずかしいからだ。

(了)

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