心が少し疲れた夜に思い出す景色
私は静岡県で生まれ育ちました。
大人になって地元を離れ、一人暮らしを始めてから何年も経ちます。
今の生活は気に入っています。
好きな本を読み、好きな時間に過ごし、自分のペースで暮らせる。
一人暮らしには一人暮らしの良さがあります。
それでも時々、地元を思い出すことがあります。
実家の近くの景色。
学生時代に通った道。
車の窓から見えていた富士山。
静岡県で育った人なら分かると思うのですが、富士山は特別な存在でありながら、あまりにも身近な存在でもあります。
毎日見えることが当たり前。
だから子どもの頃は、そのありがたさが分かりませんでした。
でも離れて暮らすようになると、ふと恋しくなるのです。
そんな私が時々飲みたくなるのが、シングルモルトジャパニーズウイスキー富士です。
最初にこの名前を見た時、正直なところ少し気になりました。
「富士」という名前に惹かれたのです。
地元の人間だからかもしれません。
懐かしさのようなものを感じました。
実際に飲んでみると、もちろん地元の景色が見えるわけではありません。
でも不思議と気持ちが落ち着きました。
ウイスキーとして美味しいのはもちろんですが、それ以上に私にとっては思い出と結びついている一本です。
30代になって感じるのは、好きなものの理由が変わってきたということです。
20代の頃は流行っているものや話題の商品に興味がありました。
でも今は少し違います。
自分にとって意味があるか。
心が落ち着くか。
そういう基準で選ぶことが増えました。
富士もまさにそんな一本です。
飲むたびに地元を思い出します。
家族のことを考えたり、昔の友人を思い出したり。
静岡にいた頃は当たり前だった景色が、今では少し特別な思い出になっています。
私は普段あまりお酒を飲みません。
だからこそ、一杯の時間を大切にしています。
夜にお気に入りの本を読みながら。
映画を観ながら。
あるいは何もせず静かに過ごしながら。
少しだけグラスに注ぐ。
そんな時間が好きです。
お酒を飲むための時間というより、自分を整えるための時間なのかもしれません。
忙しい日々の中で、自分の気持ちを確認するような感覚です。
静岡を離れてから分かったことがあります。
地元は離れたからこそ大切に思えるということです。
住んでいた頃には気づかなかった魅力があります。
景色も、人も、空気も。
全部含めて故郷なのだと思います。
だから私は富士を飲むと少しだけ嬉しくなります。
地元とのつながりを感じるからです。
毎日飲みたいわけではありません。
むしろ、たまにだから良い。
何か特別なことがあった日ではなくても。
少し懐かしい気持ちになりたい夜に。
静岡を思い出したい夜に。
私はこの一本を選びます。
きっとこれから先もそうだと思います。
年齢を重ねても、住む場所が変わっても、地元への思いは消えません。
そして、このウイスキーを飲むたびに、私は少しだけ静岡の空を思い出すのです。
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