誰にも邪魔されたくない夜がある
私はお酒が強い方ではありません。
仕事終わりに毎日晩酌をするわけでもなく、家に常にお酒が置いてあるタイプでもありません。
友人と食事に行った時に少し飲んだり、特別な日にワインを開けたりするくらいです。
だから「お酒が好きです」と言うのは少し違う気がしています。
でも、そんな私でも時々無性に飲みたくなるものがあります。
それがウイスキーです。
きっかけは数年前でした。
大人になったらウイスキーが飲めるようになるものだと思っていたのですが、実際に飲んでみると想像以上に個性的で驚いたのを覚えています。
苦い。
香りが強い。
正直なところ、最初は美味しさが分かりませんでした。
それでも少しずつ飲むうちに、不思議と惹かれるようになりました。
ワインとも違う。
ビールとも違う。
ゆっくり味わう時間そのものを楽しむ飲み物。
そんな感覚です。
その中でも、私が時々飲みたくなるのが余市です。
北海道の自然の中で生まれたウイスキーとして有名ですが、私が好きなのは「背伸びしていない感じ」です。
もちろん高級感はあります。
でも飲んでいてどこか力強く、飾らない印象があります。
初めて余市を飲んだ時、私はウイスキーに詳しいわけでもなかったので難しいことは分かりませんでした。
ただ一口飲んだ瞬間に、
「あ、これ好きかもしれない」
と思いました。
香りはしっかりしているのに、どこか落ち着く。
口に含むと深みがあるのに、嫌な重さはない。
飲み終わった後も余韻が続いて、ついもう一口飲みたくなる。
そんなウイスキーでした。
私は一人暮らしなので、家で過ごす時間が長いです。
休日にカフェへ行くのも好きですが、家で本を読んだり、映画を見たりする時間も大切にしています。
そんな夜に、少しだけ余市をグラスに注ぐことがあります。
量は本当に少しだけです。
たくさん飲みたいわけではありません。
むしろ少量だからこそ良いのだと思っています。
お気に入りのグラスを出して、照明を少し落として、本を開く。
そんな時間がとても好きです。
20代の頃は、お酒は誰かと飲むものだと思っていました。
でも30代になって、一人で楽しむ時間の良さも分かるようになりました。
誰かと過ごす時間も大切。
でも自分だけの時間も同じくらい大切。
余市を飲む時は、そんなことを考えることがあります。
最近は仕事や将来のことを考えて不安になる日もあります。
このままでいいのかな。
もっと頑張った方がいいのかな。
そんなことを考えてしまう夜もあります。
でもウイスキーを少し飲みながら過ごしていると、不思議と気持ちが落ち着いてくるのです。
もちろん、お酒で悩みが解決するわけではありません。
でも少しだけ立ち止まる時間をくれる気がします。
忙しい毎日の中で、自分と向き合う時間。
余市は私にとって、そんな存在なのかもしれません。
毎日飲みたいわけではありません。
だからこそ、たまに飲みたくなる。
それくらいの距離感が心地良いのです。
きっとこれからも、疲れた週末や静かな夜に、私は余市のボトルを手に取るのだと思います。
特別な日ではなくてもいい。
何かを頑張った日じゃなくてもいい。
ただ少しだけ、自分を労わりたい夜に。
そんな時に寄り添ってくれるお気に入りの一本です。
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