2-19【合唱祭②】選曲が命!「伝説の合唱」をつくる秘訣と夏休み前の準備
全国の若手の先生方、毎日のお仕事本当にお疲れ様です!
7月に入り、1学期のまとめや懇談会などで、
大変お忙しい時期かと思いますが、
どうかご自身の体調を最優先になさってくださいね。
さて、前回は、合唱祭の目的を熱く語ることや、
スタッフの人選の重要性についてお伝えしました。
金賞を至上命題とするのではなく、
クラスの成長や団結が一番の目的であるという、
選択肢のひとつをご提案したところです。
しかし、中学生という発達段階(年齢や心身の
成長に応じた特徴のこと)においては、
やはり金賞を目指したくなるものですし、
取れなかったらひどく落胆してしまいます。
担任としても、取らせてあげたいと
願うのが自然ですよね。
そこで今回は、金賞という言葉を使わずに、
合唱の質を極限まで高めるための、
選択肢のひとつをお伝えしたいと思います。
#1 伝説の合唱を目指すための「語り」
皆さんの学校にも、「語り継がれる合唱」ってありませんか?
「あの年の3年A組の合唱は本当にすごかったね」
というように、
半ば伝説的に語り継がれる合唱や、
クラスの存在があるのではないでしょうか。
わたしも以前、
1年生の担任を受け持っていたとき、
3年生のあるクラスがとんでもない合唱を作り上げて、
体育館中を感動させたのを目の当たりにしたことがあります。
「ぼくもあんなクラスや合唱を作ってみたいなぁ」
そう強く心に刻んだことを覚えています。
わたしがその学年を3年生まで持ち上がったとき、
その「伝説的なクラス」と同じ曲を選曲し、
わたしのクラスも金賞を取ることになりました。
「あの伝説の合唱」にはあと一歩、二歩、及ばなかった気もしていますが、
10年ほど経った今でも、その時の合唱や、練習に明け暮れた毎日を、
生徒たちと一緒に、泣いて、笑って、歌った日々を鮮明に覚えています。
「これからみんなで、伝説として語り継がれるような、
聴衆に鳥肌を立たせるような合唱をつくり上げよう。
何より、歌っているぼくたち自身に鳥肌が立つような、
10年後20年後も、歌っている風景が蘇るような、
この先、つらいことや悲しいことがあっても、
クラスで団結して頑張れたことを思い出して前向きになれるような、
そんな合唱をつくりあげよう。」
わたしだったら、
生徒たちにこのように熱く語りかけます。
特に3年生にとっては、
クラス全員で取り組む最後の行事に
なると思います。
「中学校3年間のすべてと、クラスの集大成を、
この1曲に注ぎ込もう。」
「そうすれば結果はおのずとついてくるのだから、
みんなが欲しいと思っている賞ももらえるかもしれないね。」
このように伝えると、
金賞を取りたがっている生徒たちと、
心の中でしっかりと合意を得ることができます。
少しでも参考になれば嬉しいです。
#2 選曲が命!合唱曲の深さを味わう
さて、そんな伝説的な合唱を作るためには、
とにかく「選曲が命」と言っても過言ではありません。
選曲を間違ってしまうと、いくら練習を深めても、
なかなか金賞には手が届かないことがあります。
曲自体に深さがないと、表現を深めようがないからです。
具体的には、歌謡曲(広く大衆に親しまれている流行歌)を
合唱用にアレンジしたものは、
コンクールでは少し不利になる傾向があります。
歌謡曲は基本的にサビが繰り返されることが多く、
同じメロディーが続くと聴衆は飽きてしまいます。
また、歌詞も一度聞いたら意味がわかるものが多く、
「ここの歌詞はこういう意味だから、
こんな思いを込めて歌おう」というような、
味わい深い言葉の表現が少なかったりします。
そのため、深い思いを込めるのが難しくなるのです。
実際にわたしも、「ここまで完璧に歌えたら絶対金賞だろう、、、」と思って本番に臨んだら、銀賞にとどまった年がありました。そのとき歌ったのは、やはり歌謡曲でした。
その合唱祭の打ち上げで、当時の音楽科の先生に「となりん。合唱は、選曲よ。」と言われたことを今でも鮮明に覚えています。なんということだ。リベンジに燃えまくった夜でした。
それに対して、もともと合唱のために作られた合唱曲は、
感動的な曲調のものがとても多いです。
クレッシェンド(だんだん音を強くするという音楽記号)や
デクレッシェンド(その反対)などもたくさん散りばめられ、
テンポの細かな変化や、壮大なハーモニーが魅力です。
また、一度聴いただけでは全てを掴めないような、
深い意味の歌詞が使われていることも特徴です。
作詞された背景や情景を思い浮かべたときに、
初めて意味がわかるような歌詞が多いのです。
合唱曲は、いわば「噛んでも噛んでも味が出る」のです。
「この世界を表現するには、どんな声色や息遣いで、
どんな発声の強さで歌えばいいだろう?」
生徒たちに、そんなふうに投げかけることができます。
合唱練習は、時に2ヶ月から3ヶ月に及びます。
簡単に完成してしまうと、練習がダレてしまいますよね。
歌っている生徒自身が曲を好きでなくなってしまい、
聞いている側も感動しない合唱になってしまいます。
そうならないためにも、合唱祭当日にすら、
完璧にできないようなギリギリの難易度の曲を、
選んでみるのもひとつの選択肢だと思います。
練習すればするほど、曲の魅力や奥深さに感動し、
それを引き出そうと生徒たちは努力したくなるものです。
わたしは、ある年に中学2年生の担任をもったとき、「この子たちなら歌える」と信じ、3年生の候補曲を歌わせたことがあります。(正確には、文化委員が「どうしてもこれが歌いたいんです!」というのをOKした、という流れですが。もちろん音楽科の先生に許可を得た上で。)
「みんな、すごい選曲をしましたね。大変な道のりになりますよ。でもね、みんななら歌いこなせるとぼくは思っています。」そう語りました。
それはもう、めちゃくちゃみんなで練習頑張りました。
#3 クラス全員で納得して曲を選ぶプロセス
わたしは次のような選曲規準を生徒に伝えます。
1、歌っていて&聴いていて、飽きない曲。
2、リズムや強弱の変化が豊富で、場面の変化がある曲。
3、難易度が高く、本番まで進化させ続けられる曲。
4、感動的な曲。
5、クラスの雰囲気に合っている曲。
これらの規準をもとに、あらかじめ文化委員の2人に、
候補曲から5曲程度に絞らせておきます。
そして、担任であるわたしに、
なぜその5曲にしたのかを説明してもらいます。
その後、わたしも含めて2、3曲に絞り込みます。
そこから、学級活動(生徒が自主的に学級の課題を解決したり、
合意形成を図ったりする活動のこと)を開きます。
クラス全員に意見を聞く会を設けて、
それぞれの曲の良いところを、
先ほどの規準に沿って述べさせます。
ここで大切なポイントがあります。
「多数決に移る前に、意見をすべて出し尽くさせること」です。
合唱でよくありがちなのが、後になってから、
「本当はこの曲は歌いたくなかったのに」と文句が出て、
練習に身が入らない生徒が出てしまうことです。
好きな曲は生徒によって違うので、
満場一致というのはなかなか難しいものです。
だからこそ、クラスで一曲に絞るときに、
「思っている意見はすべて出し尽くそう。
後から文句を言うことは絶対にやめてほしい。
一度決まったら、いろんな思いは置いておいて、
クラス全員でその曲を愛そう」と伝えます。
「そうしなければ素晴らしい合唱は生まれないし、
素晴らしいクラスにも成長できないと、ぼくは思うよ。
多数決に移る前は自由だから、ぜひ意見を出してね」
このように伝えて、合意形成の過程を大切にします。
いろんな意見を言うこと自体が、クラス力を磨くのです。
最後は民主主義に則って多数決になりますが、
後腐れがないように意見を出し尽くさせましょう。
その過程こそが、まさに「学級活動」そのものなのです。
そして、選曲ができたら他のクラスと被っていないか、
念のために確認をすることも忘れないでください。
被っていると、いろいろとやりにくい場面が出てきます。
多数決をとったときに、
票数がほとんど変わらなかった場合は、
もう片方の曲をクラスの曲として選ぶことも視野に入れておきましょう。
柔軟な対応が、クラスの平和を保つコツでもあります。
#4 練習の効率を飛躍的に高める準備
いよいよクラスの曲が決まったら、すぐにやるべき事は、
楽譜を印刷して伴奏者に渡してあげることです。
練習期間は長ければ長いに越したことはありません。
そして、練習用のCDも早めに作ってあげましょう。
フル合唱、伴奏のみ、各パート別などを入れます。
このとき、練習記号(楽曲の特定の場所を示すために
楽譜に書かれたアルファベットなどの記号のこと。
「A」「B」「C」、、、が□に囲まれていることが多い。)が
あれば、そこで頭出しできるようにしておくと、
非常に便利で、練習の効率が格段に上がります。
すぐ頭出しができないと、効率の悪い、通し練習ばかりになりがちです。
ちなみに、頭出しを作るときは、
実際の練習記号の「3秒前」に設定しておきましょう。
頭出しした瞬間から歌い出すのは難しいからです。
また、たとえソプラノパートの生徒に渡すCDであっても、
ソプラノの歌声だけ焼く、というのは避けましょう。
最初はソプラノの歌声に合わせて練習すると思いますが、
習熟してきたら、伴奏のみに合わせて歌ったり、
フル合唱の歌声に合わせて歌ったりするからです。
究極は、たとえばアルトの歌声に合わせて、
つられずにソプラノの旋律を歌えるか、という練習が必要です。
こうしたCDは一刻も早く作り、
素敵なラベルを印刷してあげるなどして渡してあげて、
受け取った生徒のテンションが上がる仕上がりにするのが、
理想的な選択肢のひとつです。
モチベーションアップに大きくつながりますよ。

#5 夏休み前にスタッフの士気を高める
CDが出来上がったら、パートリーダーやスタッフを呼び集め、
1人に1枚ずつ配ってあげます。
そして、次のように声をかけて励まします。
「自分のパートの歌声を夏休み中にマスターしてね。
そうすると夏休み明けからの練習で、
リーダーシップが取りやすくなるから。ぼくも応援してるよ!」
みんな「選ばれし者」という得意げな顔になること、
間違いなしです。
もちろん、スタッフ以外の生徒たちにも呼びかけて、
ほしい人にはCDを配ってあげます。
すると、自分たちで夏休みに練習してくれて、
休み明けには高いレベルから練習を始められます。
担任であるわたし自身も、
なんとなくでもいいので全パート歌えるようにしておきます。
生徒たちの練習をぼーっと眺めるでもなく、
「歌いなさい」とガミガミ口を挟むでもなく、
担任も楽しそうに一緒に歌えばいいのです!
そもそも歌は楽しいものですからね。
それをわかってもらえるだけでも価値のあることだと思います。
夏休み中、わたしの車は毎年同じ合唱曲ばかり流れるので、
自分の子どもから怒られることがよくあります。笑
また、楽譜も早めに用意してあげましょう。
一番後ろのページに、音楽の先生からのアドバイスを、
メモできるような空欄ページをつけておくのも良いですね。
良い発声ができるときの体の作り方や、
呼吸法などをまとめたプリントを挟んだこともあります。
楽譜の外側は、色画用紙で表紙をつけてあげると良いです。
わたしはよく、パート別に色画用紙の色を変えることで、
ぱっと見てどのパートの楽譜かわかるようにしておきます。
すると、パートリーダーが楽譜を集めやすくなり、
次回の練習でもすぐに配ってくれるようになります。
紛失や、破れたり汚れたりするのを防ぐことができます。
表紙には、絵が得意な生徒のイラストを載せます。
夏休み前にプリントを配ってデザインを募集し、
夏休み中登校日で回収&投票をして正式に決定しておけば、
その後の夏休み期間が終わるまでに印刷・製本しておくことができます。


夏休み前までに募集→投票→決定までいきたい。
普段は目立ちにくいけれど絵が上手な生徒に、
スポットライトが当たる素敵な機会になります。
投票で一番に選ばれなかったデザインも、
裏表紙や中表紙に使ってあげると、
本人や保護者の方がとても喜んでくれますよ。
#6 さあ、あと一息です!
さて、夏休みまでにすべきことはほぼお伝えできました。
休み明けからが、練習の本番になるはずです。
合唱練習の回し方については、
また改めてお伝えしていきたいと思います。
夏休みまであと少しですね。
あともう一息、しっかりやり残しがないように、
一緒にがんばっていきましょう!応援しています。
これからも、
あなたの、となりで。
となりん先生
#中学校教員 #若手教員 #学級経営 #合唱祭 #クラス合唱 #生徒指導 #教務主任 #校務DX
