2-18【合唱祭①】合唱祭は学級経営そのもの!生徒を成長させる指導と人選のポイント
パートリーダーノートのイメージ図を追加掲載しました!!
全国の若手の先生方、
1学期の成績締切や振り返りの時期を迎え、
毎日慌ただしくお過ごしのことと思います。
そんな中、秋の合唱祭に向けて、
伴奏者選びや選曲などの準備が始まるこの時期に、
ぜひ知っておいてほしい選択肢のひとつをまとめました。
先生方の参考になれば幸いです。
#1 合唱祭は学級の健康診断であり成長の場
合唱祭は、ただの歌のコンクールではありません。
学級の合唱を聞くだけで、そのクラス力がはっきりとわかります。
つまり、合唱祭は学級経営(クラスの目標を達成するための様々な働きかけや組織づくりのこと)そのものなのです。
合唱祭は、学級の健康診断にもなれば、
生徒たちを大きく成長させうる場にもなるのです。
全ての教育活動は、学級目標の達成のためにあります。
そして学級目標は、学年目標の達成のために。
学年目標は、学校教育目標の達成のためにあります。
さらに学校教育目標は、教育基本法や学校教育法の具現化のため、
ひいては日本国憲法の精神にのっとった教育を行うためにあります。
合唱祭に限らず、日々の教育活動において、
「取組をただただこなしていく」のではなく、
「この活動を通して、生徒たちにどんな力を付ければよいのか」
「どのように成長させるのか」
という俯瞰した視点を、常にもっておきたいですね。
#2 合唱祭の目的を生徒に熱く語ろう
さて、合唱祭に向けてまず大切になるのは、
「何のために合唱祭があるのか」について、
担任が生徒たちに向かって熱く語ることです。
生徒たちが、体育祭で「1位を取るために頑張る!」と安易に言うように、
合唱祭でも「金賞を取るために頑張る!」と揃って口にしがちです。
もちろん、金賞を目指すこと自体は悪いことではありません。
しかし、それだけが全てになってしまうと危険です。
なぜなら、もし金賞を取れなかった場合、
「これまでの取組すべてに価値がなかった」と
生徒たちが意気消沈してしまう恐れがあるからです。
逆に、練習で手を抜き、団結力が高まらないまま本番を迎え、
たまたま金賞を取ってしまったほうがよっぽど問題です。
「手を抜いても人生何とかなる」
「学級に団結力は必要ない」という、
受け入れがたい考え方を肯定することになってしまうからです。
ですから、取組の最初に、次のように熱く語りかけましょう。
「合唱祭は、クラス(と学年・学校)の成長のためにあります。歌が得意な人も苦手な人も関係なく、それぞれができることを悔いのないようにやり尽くし、お互いを認め合い、支え合い、高め合える集団に成長してほしい。」
「そして何より、観客だけでなく、歌っているぼくたち自身に鳥肌が立つような、自分自身が感動するような、そんな1曲を作り上げてほしい。」
このように伝えることで、生徒たちの中に新しい価値規準が生まれます。
たとえハーモニーが整わなくても、音が外れても、
一生懸命練習して生徒どうしで協力し合えればいいのです。
たとえ結果が銀賞や銅賞でも、クラスの団結力が深まり、
自分たちの合唱曲とクラスが大好きになっていれば大成功なのです。
この価値規準があれば、歌が苦手な子が責められたり、
他クラスより上手だからと手を抜いたりすることを防ぐことができます。
お互いの良いところを見つけ合い、
励まし合えるような合唱練習ができるはずです。
そして、できれば、学級だけの合唱祭専用スローガンを打ち立てましょう。
「一人一人が全力で! 創り出そう!35音のハーモニー♬」みたいな。笑
当日まで一貫してそのスローガンに立ち返りながら、
日々の練習や生徒の言動を振り返る時間があると素晴らしいです。
「みんなでつくったスローガンは何だったかな?それに対して、今日の合唱練習のみんなの態度はどうだったかな?明日から、どうすればいいかな?」
#3 スタッフの人選がクラスの成長を左右する
次に大切なのは、文化委員、指揮者、伴奏者、そして各パートリーダーたちの人選です。
まずは文化委員の人選についてです。
一般的に、文化委員はクラス全体の合唱祭運営に関わります。
委員会の情報を下ろしたり、名簿や選曲理由を作成して
文化委員会(学校行事を企画・運営する生徒組織)に提出したり、
日々の合唱練習の計画や運営を任されることが多いです。
この文化委員には、何よりも合唱が大好きであること、
生徒からの人望が厚いことが求められます。
また、うまくいかない時でも冷静に状況を捉え、
クラスの生徒に声掛けをして鼓舞できるリーダー性が問われます。
もちろん完璧な生徒などいませんので、
その生徒の特性に合わせた担任のサポートが必要です。
例えば
「声が大きく出せるけど熱くなりすぎる生徒」には、
全体を冷静にとらえさせるためのアドバイスを。
「引っ込み思案でも緻密な計画が立てられる生徒」には、
黒板を使って指示を出させたり、朝の会など落ち着いた場面で
前もって指示を出させたりして静かな環境を整えてあげるなど、
工夫して支えていきましょう。
そうやって、その過程を通して、
文化委員の生徒自身が成長することが何より大切なのです。
次に、伴奏者の人選についてです。
条件としては、もちろんピアノが上手であること。
これは、「金賞を取るため」という“浅い目標”のためではなく、
技能的に乏しいとクラスの生徒たちから責められてしまったり、
練習のために伴奏者本人の勉強がおろそかになったりすることを防ぐためです。
ですから、担任の先生は、できるだけ早めに(できれば4月の時点で)、
ピアノができる生徒の技量と立候補する意思があるかどうかを把握しておく必要があります。
最悪の場合、CD音源での伴奏でも合唱は成り立ちますので、
伴奏を無理に押し付けるようなことは避けなければなりません。
「やりたい」と言ってくれる生徒がいたら、全力で応援しましょう。
早めに楽譜を渡し、長期間で少しずつ練習できるように
環境を整えてあげることが大切です。
もし、伴奏者に2人以上の立候補があった場合は、
決してじゃんけんや多数決などで決めてはいけません。
1〜2週間の練習期間を与え、
音楽科の先生にオーディションをお願いしましょう。
音楽的で具体的な評価をもとにプロの目線で決めてもらう方が、
後腐れがなく、生徒も納得しやすいからです。
その際、担任は選ばれなかった生徒を十分にケアしてください。
「あなたがこの2週間、一生懸命練習してくれたこと、クラスのためを思って努力してくれたことがとても嬉しかったよ。そんな生徒が歌う側にいることは、みんなにとってすごく心強いんだ。これから始まる合唱練習では、みんなにぜひ音楽的なアドバイスをしてあげてね。」
このように伝え、生徒の努力をしっかり認めてあげましょう。
続いて、指揮者の人選です。
指揮者についても、伴奏者と同じようにオーディションが有効です。
指揮の振り方はいくらでも鍛えようがあるので、
音楽的なセンス以上に、人望や堂々と声掛けができるかという、
熱いハートをもった生徒を選ぶ視点が大切になります。
リズム感が極端になければ追加練習でカバーしましょう。
最後に、パートリーダーの人選です。
パートリーダーについては、自分のパートをブレずに歌える
音感や歌唱力がある生徒が望ましいです。
例えば混声3部合唱(または4部合唱)であれば、
各パートにつき2人ずつ、全6名(または8名)のリーダーを立て、
1人は歌唱力がある生徒、もう1人はリーダーシップがある生徒、
という組み合わせにするのも良い選択肢です。
パートリーダーが2人いれば、1人が欠席しても、
合唱練習が成り立つことになります。
パートリーダーには、毎日の練習目標を立てさせ、
成果と課題を書かせる「パートリーダー日誌」の提出を求めます。
「それができないなら、最初から立候補しないでください」と
担任として厳しく伝えることで、責任感のある生徒に立候補してもらうことができます。
(職務を放棄しそうになったとき、
「あのとき頑張ると言ってくれましたよね?
その日のことを思い出してみてください。」
と伝えることができるようになります。)
#4 文化委員とパートリーダーに委ねる仕組み
「パートリーダー日誌」は、
生徒に練習を委ね、自立してもらうための必須アイテムです。
(となりん発案…と言いたいところですが、教育界では普通のことかも。)
日誌はパートリーダーが書いた後、文化委員に提出してもらいます。
文化委員は、パートリーダーの記述に対して
(基本的には励ましの)コメントを書いてから担任に提出し、
担任は肯定的なコメント(ときには技術的なアドバイス)を書いて、
翌朝、パートリーダーに返却します。
これを毎日行うことで、
「ただ最初から最後まで歌う」を繰り返すだけの
効率の悪い練習を避けることができます。
見つかった課題に基づいて次の日の練習を行うという、
PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善を繰り返す手法)を
生徒たちの力で回し続けることができるようになるのです。
文化委員やリーダーたちの自覚と成長を促すとともに、
メンバーも自分たちで合唱を作り上げている感覚を得られます。
ちなみにわたしはこんなパートリーダーノートを作って利用していました。

個人情報を消して、AIでイラスト化してみました!
参考になれば、ぜひ皆さんのクラスでもお使いください。
合唱祭の取り組み方については、まだまだお伝えしたいことが
ありますので、次の記事も楽しみにしていてくださいね。
(次回は「合唱は選曲が命!」みたいな記事になるかと。)
先生方のクラスが、合唱祭の取組を通して、
大きく成長することを楽しみにしています!
これからも、
あなたの、となりで。
となりん先生
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