実践論文の書き方③(part2)信頼できる先行研究の探し方(実践研究とは)
前回の「part1」では、「論文は巨人の肩の上に立つ」という話をしました。
今回のnoteでは、その「巨人」がどんな人なのか。
つまり、どんな論文を信頼すべきかを整理していきます。
働きながら博士号(人間科学)(早稲田大学)を取得した経験等を踏まえ、論文の書き方の、アイデアを共有できればと考えています。
本記事の目次は、下記です。
それでは、本編に入ります。
先行研究の信頼性ピラミッド
前回のnoteでも提案した、
下記のピラミッドの図に従って、整理ができればと思います。

順番に説明していきます。
① 学会誌
一番上にあるのが、査読のある「学会誌」です。
学会誌に掲載される論文は、複数の査読者による審査を通過しています。
有名な例でいえば『Nature』や『Science』のような国際誌が代表的でしょうか。
私は、「教育工学」が専門の一つです。
日本のこの分野であれば「日本教育工学会論文誌」などが代表的です。
良い論文は、
・問題提起が明確で意義がある
・目的と先行研究の関係が整理されている
・方法(実践設計や分析手法)が科学的で再現性がある
・結果と考察が対応し、後続研究へのインプリケーションが高い
この他にもありますが、少なくともこの4点は揃っています。
また、学術誌には「インパクトファクター」と呼ばれる
影響力の指標もあります。
海外では一般的です。
しかし、日本ではまだ公にされることが少ないのが現状です。
ただ、インパクトファクターがなくても、「査読付き学会誌」であれば、
一定の信頼性が担保されていると考えてよいと思います。
自分の専門分野で、信頼できる学会誌を知るためには、たとえば、指導教員や、実際に投稿経験のある研究者に相談してみると良いと思います。
ただし、学会誌の中にも、さらに信頼性の高さには、ばらつき・グラデーションがあると感じています。
この点も、周りの投稿をしたことがある人や、指導教官、研究者に聞いてみるといいと思います。
「インパクトファクター」がでていれば、学会誌のその指標を参考にするのも、一つの手です。
② 紀要論文
次に、大学の紀要論文です。
紀要論文は、大学が独自に発行する研究誌です。
たとえば早稲田大学の場合、
教育学研究科や人間科学研究科では、2名の査読者+編集者がつくことが多いです。
私は、かつて紀要論文に投稿した際、
学会誌と同じレベルの精緻な査読を受け、修正依頼が返ってきたことがありました。
他の研究者の方も、
「紀要論文は、査読に差が生じやすいのかも..」と、おっしゃる方もいました。
ですので、一概に査読付きの紀要論文といっても、
そこでも、さらにまた質に差が生じている可能性もあることに注意です。
必ずしも査読が厳しい論文すべての質が高いとは言えませんが、厳しい査読をくぐりぬけた論文は、質の高い論文となる可能性が高いです。
一方、大学や学部によって、そもそも査読がない場合もあります。
査読がない紀要は、投稿原稿がほぼそのまま掲載される場合もあります。
投稿する側としては、将来、一生消すことできません。
なので、慎重に投稿する必要があります。
上記に見たように、
紀要論文では、学会誌と同様に、論文の質や信頼性に、ばらつき・グラデーションが生じる可能性があります。
これは、本文を読んで確認するしかありません..。
ただし、研究自体がまだ慣れていない場合、中々、本文で信頼性があるかの確認が難しいかもしれません。
その場合に役立つ、
一つの簡単なやり方は
「査読付きか否か」を確認すること
です。
確認方法は、著者のresearch mapを検索し、「査読付き論文」と明記されているかを見るという方法です。
この方法で、ある程度、査読つきかが分かると思います。
ただし、その内容も確認することは大切です。
【コラム】
私がはじめて、学会誌に採録決定した時は、
査読者との数往復にわたるやりとりを経て初めて採録されました。
査読者の方には、本当に感謝です。
今は、査読をする側になりました。
査読は、ボランティアです。
査読は、学会コミュニティに、自発的に貢献する形で行われます。
査読者側になると、査読者の方々への感謝が絶えません..。
査読には、膨大な時間がかかります。
ただし、自分の「論文執筆能力」が、格段に上がります。
勉強もたくさんできますし、刺激も受けます。
学会や社会貢献、自分の能力や態度を高めたいという意味でも、
今後も、継続して査読をお引き受けしたいと考えています。
part2へ続く
「②紀要論文」までの説明で、約2000字を超える内容となりました。
本テーマは、意外に、文量が多くなってしまうことに気づきました…。
私は、指導教官であった向後千春先生(早稲田大学 名誉教授)や、
他のnoteを書いていた方との会話を通じ、
一つの記事では、2000字を大幅に超えない方がいいなと考えております。
この続きは、part3にてご共有します!
次回のpart3が、この先行研究の信頼性シリーズの最後となります。
是非、ご一読いただければ幸いです!
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