実践論文の書き方③(part1)信頼できる先行研究の探し方(実践研究とは)
「巨人の肩の上」に立つ
―信頼できる先行研究との出会い方―
先日、稲門会の役割で、早稲田大学教職大学院にお邪魔しました。
現職の教職大学院生の方々と、研究についてお話をしている中で、
「実践論文を書くとき、どんな論文が信頼がおけるのか分からない..」
という声を多く耳にしました。
確かに、論文を読んでいると、ほとんどのものに「先行研究」が引用されています。
たまに、先行研究が0…。
といった論文も見かけます。
しかし、良い論文ほど、必ずといっていいほど先行研究を踏まえています。
それは、先人たちの知見に敬意を払いながら、その上に新しい知を積み上げていくという、研究の本質がそこにあるからです。
アイザック・ニュートンの言葉に
「もし私が他人より遠くを見通すことができたのなら、それは巨人たちの肩の上に立っているからである」
という有名な一節があります。
これは本当に謙虚な姿勢だなと思います。
そして、研究者としての姿勢を象徴する大切な一説だと思います。
論文は玉石混交
ただし、論文といってもすべてが信頼できるわけではありません。
私自身、研究を始めた頃は、Google Scholar(グーグルスカラー)やCiNii、J-STAGEで検索して出てきた論文を「全部正しいもの」と思っていました。
ところが実際には、査読の有無や発行媒体によって、
論文の信頼性には大きな差があります。
特に実践系の論文には、実際の現場を題材にすることも多く、
「論文としての科学的信頼性」と「実践現場での実践的価値」が必ずしも一致しない場合もあります。
どちらも大切です。
しかし、査読付き論文を書くためには、上記の両者のどちらが大切かという議論を超え、
まずは論文の信頼性(エビデンスの強さ)を見極める力が重要
だと、私は思います。
私自身の経験から
修士の時、私もとにかく大量の論文を印刷し、蛍光ペンで線を引いていました。
けれども後から見返すと、
「その論文はどれほど信頼できるのか」
「どの論文が良い論文なのか」
を自分でも説明できないことが多かったのです。
しかし、研究を続けていくうちに、
ある時点から、「この論文は信頼性が置けるな」ということや、「この論文は引用するときに注意が必要だ」ということが、
経験的にだんだんと分かってきました。
では、どうすれば「信頼できる先行研究」と「そうでないもの」を見分けられるのでしょうか。
先行研究の信頼性ピラミッド
ここからは、これまでの研究経験、
他の方の論文の査読をさせて頂いた経験を通じ、感じた
「先行研究の信頼性ピラミッド」についてお話しします。
具体的には、以下の4つをピラミッドにした図を見ながら解説します。
① 学会誌
② 紀要論文
③ 学会発表の原稿
④ 記事

これは、EBM(Evidence based medicine)の「Hierarchy of Scientific Evidence」から着想を得たものです(下は参考までに)。
「Hierarchy of Scientific Evidence」では、論文で使用されている研究手法から、信頼性や質をピラミッドにしており、メタ分析やシステマティックレビューが最もエビデンスが高いものとされています(メタ分析やシステマティックレビューが科学的に信頼がおける手順で実施された場合ですが)。
ただ、そもそも、論文のコンテンツに入る前に、
「どういう発行媒体(査読の有無含む)で、世に出ているかという観点も重要ではないか?」
と考えていました。
たとえば、極端な話ですが、エビデンスレベルが高いとされるメタ分析やシステマティックレビューも、Natureなどの査読がある論文誌からのものか、査読がない学会報告からのものか。
同じ研究手法でも、さらにその信頼性は変わると考えています。
また、たとえば、仕事などで、とても忙しい場合、そもそも、信頼性をコンテンツまで確認して確認する時間がない方もいるかもしれません。
その時に、一定の役割を持つのが上の図だと思います。
次回は、この「先行研究のエビデンスピラミッド」を、査読付き論文への投稿を意識した時に、どのように活用するか、使い方をご説明できればと思います!
続きは、長くなるので、次回のpart2に続きます!
この先行研究の内容は三部構成で、
part2では、①学会誌、②紀要論文を、
ラストとなるpart3では、③学会発表、④記事、に加えて、
私が、査読付き論文への投稿を意識した時の、先行研究の引用方法についてご説明できればと思います!
論文を書く、すべての方に、少しでも役立つヒントになれば嬉しいです。
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