【5】アラスカでオーロラ見るだけで人生変わったらどうしてくれるんだ
●まずはアンカレッジ上陸
実は滞在期間中、ほとんどの買い物のお会計を
僕が担当した。もちろん簡単なものに限るうえに、
すぐ隣に妻の補助付きではあるが。
日本にいる時、例えばコンビニで何か買い物を
するときには、いつからか一言も発さなくても
良いセルフレジのある店舗にわざわざ足を運び、
一人暮らしの時の外食も券売機やセルフオーダー
設備のあるお店ばかり。
ユニクロは店員さんに話しかけられない
うえにセルフレジだから好き。
無印良品は店員さんはどの人も清潔感が
溢れまくり、とてつもなく親切な対応を
してくれて、かつ必ずレジでアプリや袋の
確認のラリーが発生するのでいつからか
緊張するようになっていた。
社会人になってからいつの間にか、僕は普段の
生活のなかで、人との接触をゆるやかに拒む
ようになっていることに気付いた。
すりおろされて小さな塊になった心と身体は、
店員さんとのやりとりをするエネルギーでさえ
気軽に消費できなくなっていた。
そんな僕にとってアラスカでの店員さんとの
やりとりは、なかなかハードルの高い試練の
ひとつになると思ったが、終わってみると
本当に大したことなかった気がする。
ちなみにその試練はフェアバンクスの前に
一泊したアンカレッジで唐突に始まる。
いまさらではあるが、今回の旅の日程を
まとめてみた。

そして唐突ではあるが、初日のアンカレッジ
到着まで時を戻させていただく。
12月28日の夕方に成田空港からシアトルを経由し、
約13時間ほどかけ、時差があるため
現地時間の12月28日午後15時頃にアンカレッジ
国際空港に到着。
諸々の手続き等を済ませ16時過ぎに空港から
ホテルの送迎車で30分弱走り、ダウンダウン
から程近く、有名なアラスカ鉄道(Alaska
Railroad)駅の近くのホテル
「ウィンゲートバイウィンダムアンカレッジ
ダウンタウン」に到着。

時差ボケはあったものの、なにより
「やっとアラスカに辿り着いた!」
という高揚感で僕と妻のテンションは上がり、
さらに事前にレンタルの手配をしていた防寒具
で現実的に問題ないのか(空港の外で送迎車を
待つ間の激烈な寒さは、数分で体力が削られて
いく程のダメージだった。
少なくとも日本から着てきた自前の服では
耐えられないと外に出て5分で実感した。)
確認する必要があったので、先述の受付との
問答を経て、さっそくアンカレッジの夜に
繰り出した。
ホテルの前の車や足で踏み固められた雪道を
そっと慎重に歩く。
「地面に対して垂直に足を下ろすんだよ!」
「気をつけて!」
「ここでいきなり怪我なんて笑えない!」
なんて言いながら、ホテル近くのポートアクセス
ロードの高架下をくぐる。
すると右手にクリスマスの雰囲気全開の
装飾をまとうお土産屋
「The ULU Factory」が、その奥の暗闇をより
際立たせるよう、もしくは目立たさぬよう過剰な
くらいに輝く。

都内では、夜の暗さで先が見えないという
経験はなかなかない。
夜中でも人の存在が嫌でも感じられる。
でもここでは違う。
人はおろか、なんの生き物の存在も感じない。
夜は怖い。
写真をパシャリ、
「カメラを持つ手が痛い!」
となぜか妻が嬉しそうに言う。

次回 ●ルポ:アンカレッジの治安はどう?2024年冬
