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【7】アラスカでオーロラ見るだけで人生変わったらどうしてくれるんだ

●忘れるな。ここは米国だぞ。新宿じゃない。
そうして酔っ払いのグループをやり過ごして
5thアベニューを歩いていると、反対側の
歩道に黄色いダウンでフードを被り、なにか
するわけでもなく、フラフラっとその場を
行ったりきたりしている人が目の端に入った。

単刀直入に言うと、もし日本で出くわしたら
近寄ってはいけないタイプの人だ。
脳奥の海馬からシグナルが発令された。
「そのまま目を合わさず真っ直ぐ歩け」と。

実際にはそのまま通り過ぎ、何事も起き
なかった。
僕の思い過ごしかもしれないし、真冬の
アンカレッジの雪道に足跡をつけるのが
趣味の人だったかもしれない。

ゲームボーイアドバンスのポケモンを初めて
プレイした時に、砂浜に足跡がつくことに
気付き、ひたすら意味もなく走り回ったこと
があるからその趣味には共感できる。

しかし回避できるリスクは回避するに越した
ことはない。

なぜならここは日本ではないから。

初の海外のくせに危機察知能力だけは一丁前に
備わっていた。
ちなみにこの時の僕の視野の広さは
レアル・マドリッドのモドリッチ並みだった。

↑のような建物脇の奥まったところ、人目につきにくい
場所はあまり近づいたりしないほうが良いなぁと感じた

内心ドキドキしながら通りを歩き進める。
5thアベニューとEストリートの交差点近く、
「ポーラーベアギフト」の道路を挟んで
向かいの建物と建物の間に、2人の人影と
小さな火種の明るさが間接視野で見えた。

もちろんそのまま歩は進める。
怪しい。怪しすぎるし怖すぎる。すると
ほんの微かだが鼻腔を抜ける妙な香りを
感じた。

匂いは記憶に残りやすいと言うのは、とても
有名な話だ。
これは嗅覚が人間の記憶をつかさどる海馬に
直接働きかけるからだ。

しかし、この匂いは僕の海馬内にある匂い
一覧———、スメルリストとでも言おうか。
には存在しない。なんだがとても違和感が
あることだけは確かだった。
あの2人が吸っていたのはアラスカで流行って
いる新しいフレーバーの煙草だと僕は信じたい。

アラスカの旅のなかで「治安」について
考えさせられたのはこの時くらいだった。

事前に調べているなかで、アラスカ、
特にアンカレッジの治安について言及されて
いるサイトや情報は多かった。

実際に行った感想としては、基本的に
アンカレッジのダウンタウンの夜は、
人通りのない場所や、ちょっと怪しい
感じのする人や場所に近づかず、2人行動
ならばそこまで過剰に心配する必要は
ないような気がした。
(車の往来も多くはないが普通にある)
もちろん、
「ここは日本じゃない、アメリカの一部だ」
という意識は間違いなく必要だろう。

僕と同じアラサー世代の皆さん、海馬を
働かせて振り返って欲しい。毎週欠かさず
観ていた「世界丸見え!テレビ特捜部」で
ほぼ必ずアメリカの犯罪のおマヌケ映像が
流れることを。

少しだけ「アメリカ」を経験した後に、
宿へと戻ることにした。
泊まっている宿には売店もないことだし、
戻る前になにか軽く食べられるものでも
調達しよう。と近くの食料品店をスマホで
検索してみるが全くと言っていい程ない。

ある程度予想はしていたが、こんなにも
無いものか。ここはアラスカ一大きい街な
はずだぞ。と思うと同時に、日本はどれだけ
コンビニや24時間のお店が充実している
のかを実感し僕はつぶやいた。

「これはもう諦めるしかないか〜」
「あ!ヒルトンホテルに売店とかないかな?」

と旅慣れている妻が一言。

「ラスボスのところだ!」

2度目のボケでは妻は笑わない。

次回 ●妻はきっと「習うより慣れろ」タイプ


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