少しだけ自分のことを…|いつもの温浴施設にて|筋トレで脳と身体は若返るのか|フランク先輩とAGIが変える自重トレーニングの未来
この温浴施設は、スポーツジムを併設しているのが特徴です。
そのため、ほかの温浴施設と比べると、マッチョ比率が明らかに高いのです。
胸板の厚い人。
肩が丸く盛り上がっている人。
腕を下ろしているだけなのに、広背筋のせいで両脇が少し開いている人。
人によって鍛えている場所も体型もさまざまですが、浴室内を眺めていると、ここがスポーツジムに併設された施設であることを思い出します。
この日も、私はいつものように水風呂をのんびり堪能していました。
すると、いきなり隣にいた男性から話しかけられました。
「何の種目を主にやっているのですか?」
何の種目?
私は一瞬、何を聞かれているのか分かりませんでした。
パッと見たところ、その方は50代くらいでしょうか。
ただし、体型を見る限り、マッチョとは程遠く、失礼ながら「ぽっちゃり×3」というような御仁でした(笑)。
「種目とは、ジムのことですか?」
そう聞き返すと、御仁はうなずきました。
「最近ここへ入ったばかりなんです。何をすると効果的なのかなと思って、声を掛けました」
どうやら、私が併設されているジムでトレーニングをしていると思ったようです。
そして、御仁の目標は非常に分かりやすいものでした。
「大胸筋と太い腕が欲しいんです」
大胸筋と太い腕。
男性が筋トレを始める時に抱く願望としては、かなり王道かもしれません(笑)。
しかし、私はこの施設のジムには通っていません。
正直に、
「私はここには入浴だけで来ていますよ」
と答えました。
すると御仁は、少し驚いた顔をしました。
そして、すぐに次の質問が飛んできました。
「では、どこか別のところに良いジムがあるのですか?」
ここから、しばらく質問責めに遭いました(笑)。
どこのジムへ行っているのか。
何をやれば胸が厚くなるのか。
腕を太くするには、どの種目がよいのか。
週に何回やればよいのか。
どれくらいで効果が出るのか。
御仁の質問を聞いているうちに、私はふと、人間というものについて考え始めました。
🏃 人間はなぜ「最短距離」を探すのでしょうか
人間は、効果を得るための最短距離を探したくなる生き物なのかもしれません。
これは、私自身にも当てはまります。
事業でも、副業でも、健康でも、運動でも、できるだけ遠回りせずに結果を手に入れたいと思います。
「何をやれば、一番早く成果が出るのか」
「どこへ行けば、最も効率よく学べるのか」
「どの方法なら、失敗せずに済むのか」
「もっと簡単にできる道はないのか」
情報を集め、比較し、なるべく短い道を選ぼうとします。
考えてみれば、それ自体は悪いことではありません。
限られた時間を無駄にしたくないと思うのは、ごく自然なことです。
すでに誰かが失敗した道を、もう一度同じように歩く必要もありません。
ところが、最短距離を探すことに夢中になるあまり、肝心の一歩を踏み出せなくなることがあります。
方法を調べ続けます。
道具を比較し続けます。
動画を見続けます。
専門家の意見を聞き続けます。
それでも、「もっと良い方法があるのではないか」と考えてしまいます。
筋トレも同じです。
胸を鍛える方法は、いくらでもあります。
腕を太くする種目も、数え切れないほど紹介されています。
食事法、休息法、セット数、回数、重量、可動域、フォーム、トレーニング頻度。
調べ始めれば、情報はいくらでも出てきます。
しかし、最後には自分の身体を実際に動かさなければ、何も始まりません。
私も自分の場合についてしか話せませんので、御仁には、
「結局は、コツコツ継続することだと思いますよ」
と答えました。
すると、その話を聞いた直後、御仁の顔から期待がスッと消えていきました。
何ともいえない、がっかりしたお顔です。
もう少し格好のよい秘密を教えてもらえると思っていたのでしょうか。
「このマシンを使えば、3か月で大胸筋が完成します」
「この方法なら、週に一度で腕が太くなります」
そんな答えを期待していたのかもしれません。
コツコツ継続。
あまりにも普通です。
普通すぎて、夢がありません。
御仁のがっかりした顔を見ていると、何だか少しかわいそうな気持ちにすらなりました(笑)。
しかし、この話をした時、私の頭に一人の人物が浮かびました。
それが、今回の先輩である「フランク先輩」です。
💪 私の筋トレの先生「フランク先輩」
フランク先輩は実在する人物ですが、私は実際にお会いしたことはありません。
私が勝手に「先輩」と呼んでいる人です。
私にとっては憧れの人であり、筋トレの先生であり、一つの目標でもあります。
本名は、フランク・メドラノ。
アメリカ出身のカリステニクス、つまり自重トレーニングの世界で知られているアスリートです。
自分の体重を負荷として使い、鉄棒や平行棒、床などを使いながら、まるで重力から解放されたかのように身体を操ります。
片腕で身体を支えたり、身体を地面と水平に保ったり、空中で静止したりする姿を初めて見た時、私は、
「この人の身体は、いったいどうなっているのだろう」
と思いました。
ただ筋肉が大きいだけではありません。
筋力、柔軟性、バランス、持久力、神経系の連携、そして自分の身体を把握する感覚。
それらが、非常に高い次元で一つになっています。
近年のインタビューでは46歳と紹介されており、少なくとも50歳近くになっても、その姿から年齢を想像するのは難しいほどです。現在も身体能力を磨き続けている様子が紹介されています。
そして、フランク先輩を語るうえでもう一つ外せないのが、植物性の食生活です。
筋トレというと、
「筋肉をつけたいなら肉を食べろ」
「鶏むね肉が基本だ」
という話を耳にすることが多いと思います。
ところが、フランク先輩は、動物性食品を避けるヴィーガンのアスリートとして広く知られるようになりました。
植物性の食事を続けながら、あれほどの肉体と身体能力を築いたことが、多くの人に驚きを与えたのです。
もちろん、この記事はヴィーガンを勧めるものではありません。
体質も生活環境も必要な栄養も、人によって異なります。
ただ、私たちが無意識に抱えている、
「筋肉をつけるなら、こうでなければならない」
という思い込みを、フランク先輩は軽々と飛び越えて見せたのです。
さらに、この先輩は、バーベルやダンベルなどの重りを中心としたトレーニングではなく、自分の体重を利用する自重トレーニングを軸にしています。
自重トレーニングの研究は、マシンや重量を用いた筋力トレーニングに比べると、まだ十分に多いとはいえません。
それでも、小規模な研究では、8週間のカリステニクスによって腕立て伏せや懸垂の成績、姿勢、体組成が改善したことが報告されています。
道具が少なくても、負荷が消えるわけではありません。
自分の身体そのものが、道具になります。
そして、自分の身体ほど、扱いの難しい道具もありません。
※最新の動画です。なんとビックリ、チャンネル登録者数 183万人です!
https://www.instagram.com/frank_medrano?igsh=eHp2MHFnMjR6bmVp
映像を見ると、あまりにも簡単そうに動くので、
「自分にも少しくらいできるのではないか」
という錯覚に陥ります。
しかし、試してみると、当然のようにできません(笑)。
映像に映るのは、完成した一回です。
その一回に至るまでに行われた、何千回、何万回という反復は映りません。
失敗した日も映りません。
腕が上がらなかった日も、思うように身体を支えられなかった日も、関節に違和感を覚えて練習を切り上げた日も、完成された映像の中には残りません。
私たちは結果だけを見て、そこまでの時間を見落としがちです。
水風呂の御仁が求めていた「最短距離」と、フランク先輩の肉体。
一見すると、正反対の場所にあるように見えます。
ところが、ここから話が少し変わります。
近い将来、本当に「その人にとっての最短距離」を教えてくれる存在が現れるかもしれないからです。
それが、AGIです。
🧠 「脳が若返る」とは、どういうことでしょうか
先日、私は「いくつになっても脳は若返る」という内容の記事を目にしました。
人間の脳は、年齢を重ねれば一方的に衰えていくだけではなく、刺激や学習、運動によって変化する余地を残しているという話です。
ここでいう「若返る」とは、戸籍上の年齢が戻るという意味ではありません。
脳が20歳の状態へ完全に戻るという意味でもありません。
新しい刺激に対応する力。
注意を切り替える力。
身体の動きを学び直す力。
記憶を整理する力。
失敗を修正する力。
こうした働きを保ち、場合によっては高めていくことを、ここでは「脳の若返り」と呼びたいと思います。
脳には、経験に応じて神経回路を変化させる「可塑性」があります。

年齢を重ねても、脳は変化する余地を残しています。
若い時ほど変化しやすい傾向はありますが、年齢を重ねたら完全に失われるわけではありません。
有名な研究の一つでは、高齢者が1年間にわたって有酸素運動を行った結果、記憶に関係する海馬の体積が増え、記憶機能の改善と関連したことが報告されています。
さらに、脳への影響は有酸素運動だけではありません。
高齢女性を対象にした研究では、週1回または週2回の筋力トレーニングを1年間行ったグループで、注意や葛藤を処理する力など、実行機能の一部に改善が見られました。
また、不安定な環境を利用した筋力トレーニングを10週間行った高齢者では、ワーキングメモリーや抑制機能などの改善が報告されています。
ここが、今回の話の非常に面白いところです。
筋トレは、筋肉だけを使っているわけではありません。
例えば、腕立て伏せを一回行うだけでも、脳は多くの仕事をしています。
身体を一直線に保つ。
手のひらにかかる圧力を感じる。
肩甲骨の位置を調整する。
肘の開き方を修正する。
呼吸を止めない。
左右の力の差を感じる。
疲労によって崩れ始めたフォームを立て直す。
「あと一回できるのか、それともここで止めるべきか」を判断する。
これらは、筋肉だけで行っているわけではありません。
感覚器から脳へ情報が送られ、脳がその情報をまとめ、運動神経を通して筋肉へ命令を返しています。
筋肉を動かしている時、脳もまた激しく働いているのです。
実際、2024年に発表された研究では、筋力トレーニングを経験していない高齢者と若年者を比較し、一回の筋力運動が運動皮質の可塑性に与える影響が調べられています。
年齢による違いはあるものの、高齢者の脳にも、筋力運動に反応する可塑性が残されていることを示す内容でした。
つまり、
脳が筋肉を動かし、筋肉を動かすことが再び脳を刺激する。
この往復が起きています。
🔄 肉体の若返りが脳を変え、脳の若返りが肉体を変える
肉体の若返りも、単に筋肉の見た目が若くなることではありません。
立ち上がる力。
階段を上る力。
転びそうになった時に身体を支える力。
自分の身体を、自分の意思どおりに動かせる力。
疲れても姿勢を保てる力。
こうした機能を維持し、取り戻していくことが、実質的な肉体の若返りだと思います。
年齢を重ねれば、若い頃とまったく同じ回復力を保つことは難しくなります。
それでも、筋肉には刺激に応じて適応する能力があります。
高齢者を対象とした研究でも、一定期間の筋力トレーニングによって筋機能や体組成が改善することは確認されています。
大切なのは、年齢を無視することではありません。
むしろ、年齢を含めた現在の身体を正しく観察することです。
若い頃と同じ量を、同じ勢いで行うことが若返りではありません。
昨日の自分より、少し動きやすくなる。
以前よりも安定して立てる。
同じ動作を、少ない痛みで行える。
疲労から戻るまでの時間を把握できる。
自分の身体の声を、以前より正確に聞ける。
そうした小さな変化の積み重ねが、若さにつながります。
そして自重トレーニングは、この「身体の声を聞く」という点で、非常に面白い特徴を持っています。
バーベルなら、重量が数字で分かります。
50キログラム、60キログラム、70キログラム。
昨日よりも何キログラム増えたかが、はっきり見えます。
一方、自重トレーニングでは、同じ腕立て伏せでも負荷を細かく変えられます。
手を置く位置。
足の高さ。
身体の角度。
下ろす速度。
止める時間。
可動域。
片腕にかける体重の割合。
身体を傾ける角度。
休憩時間。
見た目には同じ一回でも、中身はまったく異なります。
その違いを感じ取るには、自分の身体を観察しなければなりません。
今日は肩の動きがよい。
今日は右腕に頼りすぎている。
今日は腹部の力が抜けやすい。
今日は回数は少ないけれど、動作の質がよい。
この観察そのものが、脳への刺激になります。
自重トレーニングとは、自分の体重を使った筋トレであると同時に、自分の脳と身体の対話なのかもしれません。
🤖 AGIは筋トレの「最短距離」を教えてくれるのでしょうか
ここからは、未来の話です。
本稿ではAGIを、単に決められた回答を返すだけではなく、複数の情報を横断して状況を理解し、その人に合わせて長期的な計画を組み替えられる将来型のAI、という意味で使います。
現在でも、AIやセンサーを運動に活用する研究は進んでいます。
身体に取り付けた加速度センサーとスマートフォンを使い、どの種目を行っているのか、どの程度の強度なのかを判定する研究は、すでに行われています。
ウェアラブルセンサーから得られる情報をもとに、運動中の疲労がどのように進むかをリアルタイムで予測しようとする研究もあります。
さらに、睡眠、食事、心拍変動、トレーニング内容、本人が感じている疲労感などを組み合わせて、翌日の回復状態を機械学習で予測しようとした研究も発表されています。
カメラ映像から身体の姿勢を読み取り、行っている運動やフォームを分類する技術も研究されています。
これらは、まだ未来のAGIそのものではありません。
しかし、いくつかの技術を一つにつなげると、未来の筋トレの姿が少し見えてきます。

「今日はどこまで行うべきか」を判断するかもしれません。
例えば、自宅で腕立て伏せを始めるとします。
壁には小型カメラがあります。
腕にはウェアラブル端末を装着しています。
床には、手のひらや足にかかる圧力を測定するセンサーがあります。
AGIは、カメラから関節の角度を読み取ります。
心拍数、呼吸、動作速度、身体の震え、左右差、前日の睡眠、食事、過去数週間のトレーニング履歴まで確認します。
そして、一回ごとに判断します。
「今日は前回よりも右肩の動きが硬くなっています」
「胸の筋肉には余力がありますが、肩関節を安定させる筋肉が先に疲れています」
「あと一回は可能ですが、二回目からフォームが崩れる確率が高くなります」
「今日はここで止めた方が、次回のトレーニング効果は高くなります」
人間のトレーナーでも、目の前で見ていればフォームの崩れに気づけます。
しかしAGIは、人間の目では分かりにくい微細な変化まで比較するかもしれません。
右肘が前回よりも数度外へ開いている。
動作の後半だけ、腰がわずかに落ちている。
呼吸を止める時間が長くなっている。
下ろす速度が、セットごとに少しずつ速くなっている。
本人は「まだいける」と感じているけれど、動作の質はすでに限界に近づいている。
そうした変化を、過去の自分と照らし合わせます。
誰か一般的な人との比較ではありません。
20代の選手との比較でもありません。
昨日の自分。
先週の自分。
疲労が少なかった日の自分。
肩の調子が悪かった日の自分。
その膨大な記録から、
「今日のあなたは、どこまで追い込めるのか」
を判断するのです。
📐 自重トレーニングとAGIは相性がよいかもしれません
自重トレーニングは、数字にしにくい運動です。
バーベルなら、重量を5キログラム増やしたという明確な変化があります。
ところが、自重トレーニングは負荷の調整方法が複雑です。
腕立て伏せ一つを見ても、
手を高い位置に置けば負荷は軽くなります。
足を高くすれば、上半身への負荷が増えます。
ゆっくり下ろせば、筋肉が緊張する時間が長くなります。
下で一度止めれば、反動を使いにくくなります。
片腕側へ身体を寄せれば、左右にかかる負荷を変えられます。
可動域を広げれば、筋肉が伸ばされる位置も変化します。
こうした変化を、本人の感覚だけで正確に管理するのは簡単ではありません。
昨日と同じ腕立て伏せをしているつもりでも、身体の角度が少し違えば、負荷のかかる場所も変わります。
ここにAGIが入ると、自重トレーニングが数字の世界へ変わる可能性があります。
「前回よりも胸にかかる推定負荷が4%増えています」
「今日の動作速度なら、あと3回で狙った強度に達します」
「筋肥大を狙うため、次のセットは下ろす動作を3秒にしてください」
「腕を太くしたいという目標に対し、現在は上腕三頭筋よりも肩へ負荷が逃げています」
「手幅を少し狭くし、肘の軌道を修正してください」
「今日は回数を増やさず、可動域を広げる方が効果的です」
まさに、水風呂の御仁が欲しがっていた答えです。
「大胸筋と太い腕が欲しい」
その願いに対して、AGIは、
「では、この種目をやりましょう」
と一つの答えを返すだけではありません。
現在の筋力。
関節の状態。
過去の運動経験。
睡眠時間。
食事。
体脂肪。
回復力。
年齢。
仕事による疲れ。
本人がトレーニングに使える時間。
これらを組み合わせ、毎日コースを作り直します。
昨日までの最短コースが、今日も最短とは限りません。
睡眠不足の日に、予定どおり限界まで追い込むことは、最短距離ではないかもしれません。
肩に小さな違和感がある日に、無理をして高負荷のディップスを行えば、数週間休むことになるかもしれません。
その日の予定を一段階下げることが、長い目で見れば最短距離になる場合があります。
AGIが導き出す「筋肥大の最速コース」とは、毎日限界まで追い込むコースではないはずです。
壊れず、休みすぎず、刺激が不足せず、継続できる範囲で進むコース。
それが、本当の意味での最速なのだと思います。
🪞 未来のAGIは「今日の身体」を映す鏡になる
人間は、自分の身体を正確に把握することが苦手です。
調子がよい日は、できる気になりすぎます。
調子が悪い日は、必要以上に自信を失います。
昨日より回数が減れば、
「筋力が落ちた」
と考えてしまいます。
しかし実際には、睡眠不足かもしれません。
水分不足かもしれません。
仕事の疲れかもしれません。
前回の疲労が残っているだけかもしれません。
反対に、回数が増えていても、可動域が狭くなっていたり、反動を使っていたりすることがあります。
数字だけでは、本当の変化が分かりません。
未来のAGIは、身体の結果だけでなく、その背景まで読む存在になるのではないでしょうか。
「今日は回数が減りましたが、心配はいりません」
「動作の質は前回より上がっています」
「筋力が落ちたのではなく、回復が完了していないだけです」
「今日は軽い刺激に切り替え、睡眠を優先してください」
こう言ってもらえれば、無駄に落ち込まずに済みます。
反対に、調子に乗っている時には、
「回数は増えていますが、右肩の動きが危険な範囲に近づいています」
「今日は記録を狙う日ではありません」
と止めてくれるでしょう。
未来のAGIは、筋肉を鍛える先生であると同時に、感情に振り回される人間を支える参謀になるのかもしれません。
そして、長期間の記録が蓄積されれば、もう一段階面白いことが起こります。
AGIは、本人も忘れている変化を覚えています。
半年前は、壁に手をつかなければスクワットができなかった。
3か月前は、腕立て伏せが5回で終わっていた。
先月は、片足立ちが10秒しか続かなかった。
今は、それらが自然にできています。
人間は、できるようになったことをすぐに「当たり前」にしてしまいます。
できなかった頃の自分を忘れ、まだできないことばかりを見ます。
AGIは、そんな時に過去の映像を見せるでしょう。
「これが半年前のあなたです」
「現在は身体の傾きが小さくなり、動作速度も安定しています」
「体重は大きく変わっていませんが、身体を制御する能力は上がっています」
これは、単なるトレーニング記録ではありません。
自分が積み重ねてきた時間の証明です。
🌱 脳の若返りと肉体の若返りが一つの輪になる
筋トレを続けると、筋肉や身体機能が変わります。
身体が動きやすくなると、行動範囲が広がります。
外へ出る機会が増えます。
新しいことを試す気持ちが生まれます。
転ぶことへの恐怖が減ります。
自分の身体に対する信頼が少し戻ります。
すると、脳に入ってくる刺激も増えます。
新しい場所。
新しい人。
新しい動き。
新しい景色。
新しい判断。
身体の変化が、脳への刺激を増やします。
一方、運動によって注意力や身体の制御が高まれば、トレーニングの質も上がります。
以前よりも正確なフォームを作れるようになります。
身体の違和感に早く気づけるようになります。
無理をする日と、休む日を判断しやすくなります。
脳の変化が、肉体の変化を支えます。
つまり、
肉体が若返ることで脳が刺激され、脳が若返ることで肉体をよりよく動かせる。
その二つが、輪になります。
そして未来には、その輪の外側からAGIが支えるようになるのかもしれません。
AGIが身体の状態を読みます。
脳がその提案を理解します。
人間が実際に身体を動かします。
身体から新しい感覚が脳へ戻ります。
AGIがその変化を学び、次の提案を調整します。
AGI、脳、肉体。
三つが一方向ではなく、循環するのです。
ただし、AGIがどれほど進歩しても、人間の代わりに腕立て伏せをしてくれるわけではありません。
AGIが、
「今日はあと二回できます」
と教えてくれても、その二回を行うのは人間です。
AGIが、
「今日は休みましょう」
と教えてくれても、焦らずに休む決断をするのは人間です。
AGIが完璧な計画を作っても、実行しなければ身体は変わりません。
未来の技術は、努力を不要にするものではないのだと思います。
努力を、無駄にしにくくするもの。
自分では見えない変化を、見えるようにするもの。
頑張りすぎる人にはブレーキをかけ、諦めそうな人には、これまでの歩みを見せるもの。
それが、筋トレにおけるAGIの役割になるのではないでしょうか。
♨️ 水風呂の御仁に、未来のAGIは何と答えるのでしょうか
水風呂で出会った御仁は、最短で大胸筋と太い腕を手に入れる方法を探していました。
近い将来、AGIなら、私よりもはるかに詳しい答えを返すでしょう。
身体を測定します。
姿勢を確認します。
筋力を調べます。
食事や睡眠を分析します。
そして、その人専用のメニューを作ります。
「あなたの場合、まずは胸よりも肩甲骨を安定させる筋肉を鍛えましょう」
「腕を太く見せたい場合、上腕二頭筋だけでなく上腕三頭筋への刺激が必要です」
「現在の体重では、この角度の腕立て伏せから始めるのが適切です」
「今日は8回を3セット行い、次回は動作速度を変えます」
そんな具体的な答えを返してくれるかもしれません。
御仁も、私の「コツコツ継続してください」という答えを聞いた時ほど、がっかりしないでしょう(笑)。
しかし、AGIが最後に伝える言葉は、案外、私と同じかもしれません。
「今日の8回を行ってください」
「明日も続けられる範囲で終えてください」
「一度で身体を変えようとしないでください」
「少しずつ積み重ねてください」
結局、そこへ戻ってきます。
最短距離とは、苦労をせずに一瞬で到着する道ではありません。
途中で壊れず、迷いすぎず、諦めずに進める道です。
派手な一日よりも、普通の日を積み重ねる方が強いのです。
フランク先輩の映像に映る超人的な一回も、その背後には、誰にも見えない普通の日々があります。
腕が重い日。
思うように動けない日。
昨日よりできない日。
それでも、自分の身体と対話しながら続けた日々です。
50歳近くになっても年齢を感じさせない肉体は、ある日突然、手に入ったものではありません。
筋肉だけを鍛えた結果でもないのでしょう。
身体を動かし続ける中で、脳もまた学び続けてきたのだと思います。
そして、脳が学び続けたからこそ、さらに身体を細かく操れるようになったのかもしれません。
脳の若返りと、肉体の若返り。
その二つは、別々に起こるものではなく、互いを支え合うものです。
未来には、そこへAGIという新しい案内役が加わります。
「今日はここまで追い込めます」
「今日は休む方が早く進めます」
「筋肥大を目指すなら、次はこの角度です」
「半年前より、これだけ身体が変わっています」
そんな声が、いつでもそばにある時代です。
それでも最後の一回を行うのは、自分です。
トレーニングを始めるのも、自分です。
明日も続けると決めるのも、自分です。
どれほど技術が進歩しても、人間の身体を変える最後の鍵は、人間の手の中に残るのでしょう。
水風呂の御仁が求めていた魔法のような最短コース。
実は、その答えはすでに存在しているのかもしれません。
それは、
現在の自分を知り、今日できることを行い、それを明日へつなげること。
あまりにも普通で、夢のない答えです。
御仁が再び聞いたら、やはりがっかりするかもしれません(笑)。
しかし、脳の若返りも、肉体の若返りも、未来のAGIが示す最適解も、最後にはこの普通の答えへ戻ってくるのではないでしょうか。
今日の一回。
今日の一歩。
今日の小さな判断。
それらが積み重なった先に、昨日より少し若い脳と、昨日より少し自由に動く身体が待っているのだと思います。
毎回、クッソ長い記事で大変恐縮ですm(__)m
