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週3日の喫茶店「モネモネ」を真ん中に。ゆるやかにつながる暮らしと仕事|伊藤緑さん

週に3日だけオープンする、ちいさなカフェ「モネモネ」。

大阪・千早赤阪村で店を営むのは、伊藤緑さん。飾らない言葉で語られる日々には、直感と“流れ”に身を任せた自由な生き方がありました。

移住や起業という言葉にプレッシャーを感じてしまう人にも、「こんなふうに始めてもいいんだ」とそっと背中を押してくれるような、暮らしと仕事の“ちょうどいい”バランス。

緑さんがここへ辿り着いた道のりと、日々の暮らしをうかがいました。

自分を“表現”する。それが、お菓子づくりだった

─── 「モネモネ」を始めたきっかけは、どんなことだったのでしょう?

「お店をやるぞ!」と気合い入れて始めたわけではないんですよね。流れに身をまかせてたら、ここにたどり着いた感じで。振り返ってみると、東京の友人が遊びに来てくれたことがきっかけだったような気がします。

当時、私は大阪の高石市に住んでいたので、せっかく友人が来るのであれば南大阪エリアに行きたいと思って。飲食店が載っている雑誌を広げて、「どこか行きたいところある?」と聞いたんです。友人が「ここに行ってみたい!」と指差したお店が、富田林市の「たびもぐらカフェ」でした。

たまたまその日が「てくてく市」という手づくり市の日で、店内はにぎわっていましたね。入ってみるとスタッフの人たちがすごくフレンドリーで、すぐ仲良くなってしまったんです。友人が誰とでも打ち解けるような子だったこともあり、夜の打ち上げに誘ってもらいました。

─── そのまま打ち上げに?

行ったんですよ(笑)私はあまり気が乗らなかったんですが、友人が「行きたい!」と言うので、まあいいかと思って。

そしたら、帰り際に、酔っ払った友人から急に「みどりちゃんはもっと自分を表現したほうがいいと思う!」と言われたんです。正直、「表現」と言われても、最初は絵とか文章とか、そんなイメージしかありませんでした。

でも、自分にできることはなんだろうと考えたら、「私、お菓子を作るのが好きだったな」と思い出して。それで、次の日の朝に「てくてく市で、手作りのお菓子を出したい!」と友人にメッセージを送ったんです。

ちょうどてくてく市で新たに出店する人を探しているタイミングだったこともあり、それから2ヶ月後に、お菓子を販売させてもらうことになりました。

─── たびもぐらカフェでのお菓子販売から、どうしてここで「モネモネ」を開くことになったんですか?

実はここ、以前は「ナカジョー」という商店だったんですけど、閉まってからしばらく空いてたんですよね。7年ほど前に、縁あって場所を借りている団体のメンバーで一緒に改装したんです。

そのあと、「ここに何があったら嬉しい?」というアンケートを取りました。手伝いに来てくれた人や地域の方にも聞いたら、「お惣菜屋さんがいい」「習い事の教室があったらいい」「作業所として使いたい」など、たくさんのアイデアが出ました。

ただ、どれもなかなかうまく進まなくて。建物はきれいになったけど、何に使うかが決まらないままでした。それで、ふと「じゃあ、私がやってみようかな」と思ったんです。

だから本当に、自分で計画して始めたというより、いろんな人や出来事に背中を押されて、自然と「モネモネ」が生まれたような感覚ですね。

写真と直感と。仲間のアイデアで生まれた空間

─── お店の雰囲気や置いてある雑貨、お皿も素敵ですよね。

ありがとうございます。でも、置いてあるものは、最初から「自分の店を持ちたい」と思って集めてきたわけじゃないんです。

どちらかというと、「いつか使えそうかも」と思って、雑貨屋さんで気に入ったグラスを買ったり、かわいいお皿を見つけたらそのときに買っておいたり。振り返ると、自分でも気づかない間に準備してたのかな、という感じです。

内装は「たびもぐらカフェ」で出会った友人のスガちゃんにお願いしました。私が「こういう雰囲気がいいな」と思う写真をたくさん集めて彼に渡したら、それをもとにいろいろ提案してくれて。

その頃、「改装するんで手伝いに来てください!」とfacebookに投稿したら、友人たちが来てくれて。写真からイメージ膨らませて、誰かが「こうしてみたら?」と言って、実際に手を動かしてくれてかたちになっていきました。

お店自体が、“みんなでつくった空間”なんです。たとえば、小屋みたいなカウンターとか、流木で作ったシャンデリアとか。ごちゃ混ぜだけど、それが面白くて。どれもこれも、私ひとりでは思いつかなかったものばかりです。

─── お店では、米粉や豆腐を使ったお菓子を出していますよね。どんな想いがあるのでしょう?

ドーナツは、私がすごく好きなんです。でも、小麦粉のドーナツなら世の中にたくさんあるから、「米粉でやったらどうだろう?」「豆腐と組み合わせたらいいかも」と、ひらめきの連続で今のかたちになっていきました。

それに、最近は卵アレルギーの子が増えてるじゃないですか。「この子は卵が食べれないから我慢」じゃなくて、「みんな一緒に食べられるおやつ」があったらいいなと思って。もともと作っていたレシピをヴィーガン仕様にしたり、米粉を使うようにしたり、少しずつ変わっていった感じです。

お客さんの特別な日に選んでもらえるのももちろん嬉しいけど、それよりも「日常の中にある、ちょっとしたおやつ」みたいな存在でいられたらなって。駄菓子屋の延長線上みたいなものかもしれないです。

“ちょうどよさ”を大切にする、週3日のカフェ

─── 営業日は木金土の週3日ですよね。この営業スタイルには、何か理由があるんですか?

もともとずっと飲食店で働いてて、土日はなかなか休めなかったんです。だから、自分でお店をやるなら「日曜は休みにしたい」という気持ちが強くて。でも、やっぱり土日が一番人が来てくれるので最初はすごく迷いました。

それでも、やっぱり日曜は自分の暮らしの時間にしたかったんです。シェア畑もやってるんですけど、みんなが集まれるのってたいてい土日なんですよね。そういう日に自分も顔を出したいし、仕事だけじゃなくて「暮らし」とちゃんとつながっていたいと思って。

今は、水曜日が仕込みの日で、木金土がお店の営業日。月火は買い物に行ったり、クッキー焼いたり、ヨガに行ったり、ちょっと家のことをしたり……。

時々、「なんで日曜に開けないの?」「趣味でやってるの?」と言われることもあるけど、私にとってはこれがちょうどいい。忙しすぎず、暇すぎず。

ずっと一人でやってきたので、たまには人と一緒に働きたいな、という気持ちもあります。気分転換にもなりますしね。でも、意外と隙間がなくて。今のこのペースがちょうどいい感じです。

─── これまでのことを振り返ると、自然な流れに乗ってきた感じがしますね。

そうなんですよ。何かをガチガチに決めて動いたことって、あんまりないかも。考えすぎて動けなくなるより、「今はこれかな」というタイミングで動く方が、私には合ってるみたいで。

前に数秘を見てもらったときに、「11」と言われたことがあって。考えるよりも直感で動いた方がうまくいくタイプらしいんです。確かに、「こうしよう!」と頭で決めたことより、「あ、これいいかも」って感覚的に思って動いたほうが、結果的にうまくいってる気がします。

大きな決断も、どこかで“流れ”を感じると、すっと踏み出せるんです。だから、たぶんこれからもそうやって決めていくんだろうなと思います。

“コーヒー1杯”のひとときを、モネモネで

─── 「モネモネ」って、音も響きもかわいい名前ですよね。どういう意味なんですか?

実はこれ、カンボジアの言葉で「おいでおいで」という意味なんです。

昔、カンボジアで小学校や幼稚園を建てるボランティア活動に参加したことがあって。そのとき、私が「モネモネ!」と呼びかけると、現地の子どもたちが駆け寄ってきてくれるんです。すごく人懐っこくて、目がキラキラしてて。

そのときの記憶がずっと残っていて、たびもぐらカフェで日替わり店長をやることになったとき、「屋号、どうする?」と聞かれて、ふと思い出して「モネモネにしようかな」って。

それが、そのまま今のお店の名前になりました。響きもやわらかいし、お店の雰囲気にも合う気がしたんです。

正直、最初はちょっと恥ずかしさもあったんです。「もうちょっとオシャレな名前の方がよかったかな?」とか。でもいまは、「モネモネでよかった」と心から思ってます。

名前に込めた気持ちそのままに、誰かがふらっと立ち寄ってくれるような、そんな場所になれたらうれしいですね。

─── 「モネモネ」に来る人には、どんなふうに過ごしてほしいですか?

狭いお店なので、たくさんの人が一度に入れるわけではないけど、1人とか2人とかで、ちょっとおしゃべりしたり、のんびりしたりしてもらえたらいいなと思っています。

誰かと話をしたいときは私に声をかけてもらってもいいですし、もちろん静かに過ごしたいときはそれで大丈夫。たとえば、コーヒー1杯だけで本読んで、ゆっくりしてもらう ─── それだけでうれしいですね。

平日には小さなお子さん連れで来てくれる方も多くて。「ちょっとだけカフェに行きたいな」と思ったときに、スタバみたいに気軽にいてもらえる場所になれたらいいなと思ってます。

Instagram:https://www.instagram.com/monemone_oyatu/


編集後記も、よければご覧ください。


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建石尚子 最後までお読みいただきありがとうございます(*´-`) また覗きに来てください。