【第2話】「意地悪しちゃダメだよ」と言われた日──勝手にレジ画面を押された件
この記事は【第1話】「深夜のセブンで凍った心──ここは日本なのに」の続編です。
👉【第1話】深夜のセブンで凍った心
👉【第3話】カスハラ対策という名の盾
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「聞こえない」「通じない」「伝わらない」──
それだけならまだ我慢できる。
でも、第三者に“悪者扱い”されてしまったとき、私は自分が何者なのかわからなくなった。
まさか、私が「カスハラ客」だったの?
あの日、水道代を払いに行っただけなのに
ごく普通の日のことだった。
仕事帰りに、紙の請求書を持って、コンビニで水道代を支払いに行った。
向かったのは、前回の店舗とは別のセブンイレブン。
支払いカウンターには、若い外国人女性の店員がいた。
背は低くてやせ型、肌は浅黒い。見た目で国籍を決めつけたくはないけど、店内で飛び交っていた言葉は日本語ではなかった。
接客と談笑が同時進行──聞き取れるわけがない
レジカウンターの中には、外国人スタッフが2人いた。
ひとりは、私の水道代の支払いを担当していた女性。
もうひとりは、その女性のすぐ後ろ──たばこ棚の前あたりに立ち、飲み物を手に持ったまま、談笑していた。
ふたりは母国語でずっと盛り上がっていた。
笑い声も大きく、言葉も早口。
まるで、カフェか休憩室のような空気だった。
それでも、レジは進む。
私が紙の請求書を差し出すと、店員はスキャンして機械を操作する……その合間に、何かを言ってきたようだった。
でも──
まったく聞こえなかった。
いや、「聞こえなかった」というより、「聞こえる環境じゃなかった」んだと思う。
なにしろ、ずっと談笑しながらの接客だったのだから。
母国語が飛び交い、笑い声が重なり、その間にカタコトの日本語で何か言われても、気づけるわけがない。
「いま、私に話しかけた?」「誰に言ったの?」と戸惑うほどだった。
そこに突然、郵便局の制服の男性が現れた
そのタイミングだった。
日本郵便の制服を着た集配の男性が、カウンター奥に荷物を取りに現れた。
たぶん、いつものルート配送の人なのだろう。
ところがその男性──
私の取引画面に勝手に手を伸ばし、「はい」のボタンを押したのだ。
え?なんで?今、店員が何か言ってて、私は聞き返したところだったんだけど?
完全に操作権は私にあるべきなのに、まったくの第三者が、何の許可もなく、しかも背後から勝手に押してきた。
驚きと混乱の中、私は声を失った。
「あんたさ、意地悪しちゃダメだよ」
さらに、その郵便局員が私の顔を見て、こう言った。
「あんたさ、意地悪しちゃダメだよ」
……は?
なんで私が“意地悪”ってことになってるの?
一瞬、頭が真っ白になった。
私は誰かに怒鳴ったわけでも、キレたわけでもない。
ただ「聞こえませんでした、何か言いましたか?」って確認しただけだ。
むしろ、後ろで母国語で笑いながら接客していた彼女たちに対し、驚きつつも、私は何も文句を言っていなかった。
私が“カスハラ扱い”された瞬間
後から冷静に考えて、やっと気づいた。
あの郵便局員は、「日本語が不自由そうな外国人スタッフを責めてる」と私を“誤解”したのだろう。
それで、勝手に正義感に火がついた。
つまり──
私は、あの店員にとっても、あの郵便局員にとっても、「文句を言う日本人の客」=カスハラの加害者に見えたんだ。
何も言えなかった私は、ただ支払いを済ませ、店を出るしかなかった。
本当に「守られるべき人」は誰なのか?
今、あらゆる業界で「カスタマーハラスメント対策」が進んでいる。
もちろん、それは必要だと思う。
理不尽に怒鳴ったり、無茶な要求をする客から、働く人を守るのは当然だ。
でも、今回のように、
「何もしていない普通の利用者」が、“悪い方”にされてしまう構造があるとしたら、
それはまるで、違う意味でのハラスメントだ。
ただ、「言葉」が通じたかっただけなのに
私が求めていたのは、なんて言ったのか?だけだ。
「あ、いま〇〇って言いました」
「○○です」
そんな、普通のやり取りだった。
でもそれは、どこにもなかった。
聞こえない。通じない。意思も伝わらない。
その結果、私は「悪者」にされた。
「意地悪」は、誰のことだったんだろう?
後味の悪さだけが残った。
郵便局員の「意地悪しちゃダメだよ」という言葉は、
いまも心のどこかに、ひっかかったままだ。
あのとき、私は誰に、どんな“意地悪”をしたというのか?
▼前後の話も合わせてお読みください
👉【第1話】深夜のセブンで凍った心
👉【第3話】カスハラ対策という名の盾
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