転校生|#さぶいぼ選手権(約980字)
また父の仕事の関係で転校することになった。一応栄転らしいが、小学生時代に二回、中学三年になろうという時にまた引っ越すって、いい加減もう嫌だ。
小学校二年生の時に『転校生』という存在を知った。
「今日から新しいお友だちが増えます。京都から来た山田聡子さんです。みなさん、仲良くしましょうね」
席は私の隣になった。教科書やノートを貸したり校内の案内をし、仲良くなった…と思ったら、今度は自分が転校生になった。
二回目、五年生の時も転校生が来て自分の隣の席になり、その子と仲良くなった頃に自分が転校するという奇妙な偶然があった。やっぱり京都から来た女の子で、松山里子という名前だった。
そして今。
「ねぇ、お父さん。もしかして、また転勤とかある?高校受験あるし、修学旅行だって仲良しと一緒に行きたいから転校したくないんだけど」
「えっ、まだ内示で母さんにも話していないのに…」
「なら、勝手に決めないで!お父さんの都合で転校させられる私の気持ちも知ってよ!」
「悪かった。でもどうしてそう思ったんだ?」
「だって、転校する前に必ず起きることがあるんだもん…」
私はこれまでの不思議な出来事について話し、最近も京都から来た大塚智史という男子が隣の席に来たことを伝えた。
「京都… サトコ、サトシ… 」
父の顔色がサッと変わった。
「…ユリだ」
私は本当は双子で生まれてくるはずだった。父と母はお腹の中の私たちに、女の子だったらサトコ、男の子だったらサトシと名付けよう…と、仮の名前で呼びかけていたそうだ。でも、不幸なことにもう一人の私は、生まれる途中で命が尽きてしまった。なんとか無事に助かった私は恵という名前が付けられ… サトコやサトシの名前は天に昇った。母もこの出産で身体も心も壊れ、一年後に離婚。それから新しい母が来て…
「私を産んだお母さんはユリというのね?」
「そうだ。そして京都の実家で…亡くなった」
今の母が継母なのは知っていたけれど、詳しいことは知らない。そして双子の話も、祖母が亡くなってからは聞かなくなって、正直忘れていた。仏壇もあるのに…
「ユリが『忘れないで』と言ってるんだな…」
お盆に父と二人で京都へ生母の墓参りに行った。するとそこに懐かしい山田聡子ちゃんや松山里子ちゃん、大塚智史くんまでいた。
「あれ、なんで?」
「知らなかった?僕たちは実は兄弟なんだよ。ねぇ、お父さん」
sanngoさんのめちゃくちゃ怖い話↑↑を読んで、自分にも書けるか試してみましたが、ホラー系にはならなかったですね。せいぜい後味が悪い話しというか…
よしまるさん。初めまして。夏の楽しげ?な企画に参加いたします。宜しくお願いいたします。
