もうひとりのお母さん
私には、母親が二人いた。
一人は、私を産んだ母。
もう一人は、血の繋がらない
"関西のお母さん”だった。
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結婚式は、幸せな時間だった。
ただ一つだけ心残りがあった。
ヤマダお母さんにも、この姿を見せたかった。
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「もしもし、みのりです」
結婚式が終わってすぐ、
私が最初に電話をかけた相手は、
ヤマダお母さんだった。
「はいはい」
耳元に響く、いつもの元気な声。
「お母さん、結婚式が終わりました。
一番最初に報告したくて、電話しました」
「おめでとう!よかったなぁ。
あの人やろ、あの人とやったら
絶対幸せになれるわ。
お母さんが保証する」
電話口の向こうで、
手を叩いて喜んでいるのが目に浮かんだ。
「私、どうしても
お母さんに伝えたいことがあって」
「なに?」
一度息を切る。
「私、これまでお母さんがしてくれたこと、
忘れたことありません。
毎日、たこ焼きやすき焼き、
いっぱいご飯を食べさせてもらって。
当たり前みたいに、家族みたいに迎えてもらったこと……一生忘れません」
声が震えた。
「お母さんは、私のお母さんじゃないけど……
でも、私にとっては“関西のお母さん”です」
ようやく、言えた。
私は息を吐いた。
少し間があって、ヤマダお母さんが笑った。
「嬉しいこと言ってくれるなぁ。
私もな、みのりさんのこと、
ほんまの娘やと思ってるで」
ビルの壁にもたれた、
冷たいコンクリートの感触。
唇がかすかり震えた。
お母さん、ありがとう。
「結婚したら、
いろいろ大変なこともあるやろうけど、
がんばりや」
「はい……ありがとうございます」
そう答えると、ヤマダお母さんは続けた。
「みのりさんやったら、大丈夫やけどな」
その瞬間、涙が溢れた。
「また、遊びに行きます」
そう言って、電話を切った。
スマホを下ろし、上を見上げる。
「みのりさんやったら、大丈夫やけどな」
その言葉を胸に、
そっと涙を拭う。
私は会場へ向かって歩き出した。
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🫧この形の私

