食欲に隠れた、私のからっぽ 🔥2
食べても、食べても、何かが足りない。
それは空腹ではなかった。
何かを隠すように、今日も手当たり次第に
貪ってしまう。
────
子どもの頃から食べることが好きだった。
美味しいものを食べると幸せだったし、
好きだから食べる――ただそれだけだった。
けれど中学校2年生の頃から、私の食欲に少しずつ変化が出てきた。
満腹かどうかなんてどうでもよくなった。
食べても食べても、何かが欲しい。
お腹はいっぱいなのに、口が食べ物を求めている、そんな感覚だった。
家に帰ると、まず食パンを一斤。
焼ける時間すら待てなくて、2枚焼けたらすぐ食べながら次をセットする。
それでも足りなくて、袋麺を作って食べて、そして夕飯も食べる。
自分でも「なぜこんなに食べるんだろう?」とうっすら感じてはいた。
気がつけば、2週間で5キロ増えていた。
さすがにまずいなと感じたが、食べるのをやめられない。
よく分からない焦燥感のようなものがお腹の底にあって、食べた時だけそれが薄くなった気がした。
周りはあまりに軽かった。
妹も母も、笑いながら言う。
「食べ過ぎじゃん!」
「なんでそんなに食べるの?やばいよ、太るよ(笑)」
妹も母も、ただの“食いしん坊”として笑っていた。
その笑いは明るくて、日常の延長にあるような軽さだった。
私の内側に、名前のない空白があったなんて、
たぶん誰も想像しなかったと思う。
追いつめられていたわけじゃない。
怖かったわけでもない。
“早く埋めなきゃ”
でも“何を埋めたいのか”は分からない。
そんな曖昧で、掴みどころのない衝動に、
私は静かに追い立てられていた気がする。
私にとっては「埋めるもの」。
彼女たちにとっては「笑える光景」。
それでも時は過ぎ、私は “食べ過ぎて太った人” としてだけ扱われた。
あの時、本当は誰かに気づいてほしかったのかもしれない。
食べている私ではなく、
食べることで何かを埋めようとしている私を。
そして何を埋めたかったのか、
その正体も分からないままの私を。
そして、この“空白”は、別の形で何度も現れることになる。
──────────
🫧この形の私

