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褒められるのがうれしくて、何度でもやりたくなった

小さなお盆に、湯のみをのせる。
落とさないように、ゆっくり歩く。

廊下はつるつるしていて、少しだけ緊張した。
「いらっしゃいませ」

祖母に教えてもらった言葉を、そのまま言う。

────

「ごめんください」
「こんにちは」

祖父母の家では、お客さんがよくやってきた。

祖父は、もともと学校の先生をしていた。
祖父母と同世代の人たちがフラッと訪れては、
楽しくおしゃべりをする。


そのたびに私は、小さなお盆に湯のみを乗せて、
一生懸命運んだ。

客間に持っていき、お盆を床に置き、
「いらっしゃいませ。ゆっくりしていってください」
と頭を下げる。

祖母に教えてもらった挨拶だ。

それを見てお客さんは皆褒めてくれた。
「すごいね、そんなことができるんだね」

うふふ、と正座した足をモジモジしながら、
私は笑った。

それからお盆を持って、
居間にいる祖母のところに戻る。

褒められちゃった。

自然に顔がほころぶ。
途中の廊下で、思わずスキップする。


「おばあちゃん、お茶運んだよ」
お盆を受け取った祖母は、頭を撫でてくれた。
「助かったよ。ありがとう、上手だね」

お客さんが帰ると、
飲み終わった湯呑みをお盆に乗せ、
台拭きで机を拭く。

台拭きもお盆に乗せて、祖母のところに運んだ。

両手で持ったお盆が傾かないように、
ツルツルの木の廊下を、
すり足でゆっくり、歩く。

すると、向こうからお見送りを終えた祖父が
歩いてきた。

「お客さんが、お茶おいしかったって言ってたよ。
みのりさんが持っていったから
余計に、おいしくなったんだろうね」

「ほんと?やったぁ」
頭を優しくなでられて、得意げに
えへへ、と祖父を見て笑った。

そして、
次もやろう、と思った。

──────────
🫧この形の私

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