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私は病気じゃない 🔥3

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これは昔の私の記録です。今の私の考え方とは少し違うところがあります。

ここに書いていることは、誰かや何かを判断するためのものではありません。

読んでいて、もし重なるところがあっても、
昔あったひとつの出来事として
受け取ってもらえたら嬉しいです。
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『私は”普通“じゃない』

それは当たり前の前提として
随分前から
私の中に溜まり続けていた感覚だった。

けれど、なんとか見つけたかった。

普通になれる方法を。

もうずっと前から、必死に。

けれど、その普通がなんなのか、
私自身も分かっては、いなかった。

────

ヤマダさん家族と過ごして、
心はあたたかくなった。


けれど、それは一瞬のことだった。


職場に向かう。

モチノさんの冷たい目。

追われる仕事。


相変わらず、私にとっては
"極寒の世界”だった。


何がそんなに辛いのか、
自分でも、よくわからなかった。


ただそこに居続けるだけで、
体の表面を少しずつむしり取られていく。

そんな、説明のつかない不快感があった。

────

この不快感を取りたい。

普通になりたい。
平均になりたい。
何もなかった顔で、
そこに立てる強い人になりたい。


夜中、必死でインターネットを検索する。

『心を強くする』

『弱い人  強くなる』

『ダメな人間が普通になる方法』

『涙を止める方法』



私は探した。

自分を、どうにかする方法を。

見つけなければ、終わる気がした。

────

当時は、心の病気というものが
今ほど身近な言葉ではなかった。


「精神病院」と聞けば、
どこか遠くて、
怖い場所のような印象があった。


ある日、テレビから流れてきた話題。

私はそれに釘付けになった。

それは、ある心療内科の特集だった。


「鬱は心の風邪みたいなものだから、
気軽に来てください」

そう言う医師がテレビに映っていた。

——そうか。

別に、完全におかしくならなくても、
行っていいのか。


私は早速、近くのクリニックを探した。


仕事終わりでも行けるところを探す。


検索した中で
一番大きくて、
外観の美しいところを選んだ。

これで、治るはず。


その日、仕事を定時で切り上げ
病院へ向かった。


────


待合室には思った以上に人がいた。


そこにいる人達に、そっと目を向ける。

みんな、本を読んでいたり、
待合室のベンチに腰掛けている。


特別弱っているようにも、
壊れているようにも見えなかった。

——ここで治せば、普通になれるかもしれない。


順番を待つ。

数十分待ち、名前を呼ばれる。

普通の病院と何も変わらなかった。

────

ここから新しい私が始まるんだ。

軽い足取りで1歩踏み出す。


診察室に入る。

そこには、白衣を着た
いかにも「病院の先生」という
男性が座っていた。

「どうされましたか」

淡々とした声だった。


私は、外向けの笑顔を作った。

「本当にここでいいのか、
分からないんですけど……」

軽く前置きをする。

最近仕事がうまくいかず、辛いこと、
ここに来ればどうにかなるかと思ったことを
当たり障りなく話したと思う。

「気にしすぎなのかもしれませんけど」

精一杯明るく振舞った。

私の顔は見ず、
その医師はカルテに何かを書きながら言った。

「そうなんですね。
じゃあ、精神を安定させる薬を出しますね。
1週間分出すので、
なくなったらまた来てください」

その瞬間、
胸の奥で何かが爆発した。

待て。

私は、病気じゃない。

薬?
薬で治せるなら、苦労しない。

抑えきれない怒りが、
波のように内側からせり上がってきた。


「違う!!」

気づけば、私は立ち上がっていた。

「私は病気じゃない!!」

自分でも驚くほどの大声だった。

────

そのあとの医師の顔も、
看護師の顔も、ほとんど覚えていない。

怒りのまま、会計を済ませ、
私はそのクリニックを飛び出した。

なんなのよ、なんで私が病気なの!

ふざけんな!

拳を握ったまま、下を向き、早足で歩く。

何とかしないといけないんだよ。
今すぐに。

震えが止まらない。

駅に着くと、
私は一直線に改札近くのゴミ箱に向かった。


処方箋をカバンから出し、
ぐちゃぐちゃに丸めて投げ捨てた。

こんなものを飲んで、
人生が楽になるなら、
誰も苦労しない。

────

そのクリニックに、
二度と行くことはなかった。

何が私の逆鱗に触れたのか、
今でもはっきりとはわからない。

頭はおかしいかもしれない。
でも病気じゃない。


一度も振り返ることなく、早足で
その駅をあとにした。

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🫧この形の私

※医療や支援の必要性は、人によって異なります
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