家族の反応①帰ってきてもいいと言われた日
「辞めてもいいかな」
震える手で携帯のボタンを押した。
助けてくれそうな手なら、なんでも良かった。
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電話に出たのは、父だった。
「もしもし?」
明るい声だった。
「お父さん、ごめんなさい」
私は泣きながら、
会社であった辛いことを話した。
「もう、辞めたい」
私の言葉を
父は黙って聞いていた。
その後、こう言った。
「お父さんも長く働いてきた」
「もう辞めたいと思ったし
くそ、辛いと思ったこともたくさんあった」
「お父さんは高卒だから、大卒の奴らを見返すために何クソとがむしゃらにやってきた。
仕事は大変だよな」
「無理だと思うなら
帰ってきたらいいんじゃないか。」
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父からこんな言葉が出るとは思っていなかった。
弱虫だと罵倒されると思っていた。
私はその言葉を聞いて涙が止まらなくなった。
「お母さんに代わるから」
その声とともに受話器が置かれる音がした。
「もしもし、みのり?」
母の声を聞くと、さらに涙があふれた。
私は、会社でお局にいじめられていること、
どうしていいかわからないこと、
頑張っているのに報われないこと。
「辛いよ、お母さん」
母は少し黙った後、こう言った。
「そうだね。辛いと思うのは仕方ないよ。
相手がおかしいんだと思う。
帰ってきてもいいかもね。」
私は母の言葉に少し安心した。
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本当は、わかっていた。
辞めるわけには、いかない。
奨学金。
私は続けるしかない。
それでも、
母は「帰ってきてもいい」と言ってくれた。
それだけで充分だった。
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「愚痴を言って迷惑をかけたな」
罪悪感がチクリと刺さった。
弱虫でごめんなさい、お父さん、お母さん。
見捨てないでくれてありがとう。
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そうだ。
辞めるのはいつでもできる。
奨学金を返すために、
もう少し頑張ってみよう。
携帯電話を置くと、窓を開けてベランダに出た。
冷たい風に、体が身震いする。
でも、寒いと感じずにここに立っていよう。
そうすれば、私はまだ頑張れるはず。
白い息を吐きながら、
私は足の感覚が無くなるまで、
しばらく夜の空を見上げていた。
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🫧この形の私

