夜に積み上げた未来 🔥4
私は考えた。
どうやって、この状況を乗り切るか。
その答えは、意外と早く目の前に現れた。
仕事の研修で、
以前働いていた旅館を訪れる機会があった。
そこで、女将さんに声をかけられた。
「仕事の合間でいいんだけど、
ちょっとだけバイトしてくれない?
人が足りなくて困ってるの」
迷う理由はなかった。
私は、その場で引き受けた。
平日は、朝九時から夕方六時まで本業で働く。
そこから三十分かけて旅館へ向かい、
布団の上げ下げと掃除をする。
毎晩、ラストまで働いた。
時には深夜になることもあった。
お金は、確実に増えた。
その代わり、体は静かに削れていった。
それでも、やめようとは思わなかった。
結婚するためなら、仕方がない。
そう自分に言い聞かせて、働き続けた。
その旅館は、短大時代に長く働いていた場所だった。
中居さんたちは相変わらず元気で、
顔ぶれは少し変わっていたけれど、
空気は、ほとんど変わっていなかった。
久しぶりに戻ってきたその場所が、
少しだけ、懐かしかった。
布団の上げ下げ、食事の配膳。
体は、ちゃんと覚えていた。
やり方が多少変わっていても、
手は迷わず動いた。
私は、余計なことを考えなかった。
考えれば、続かなくなる気がした。
ただ黙って、
目の前の仕事をこなした。
そうして手にしたアルバイト代は、
すべて結婚資金として貯金した。
大きな額ではない。
それでも、残高が少しずつ増えていくのを見るのは、
確かな手応えだった。
家族には、アルバイトをしていることは言わなかった。
言えば、お金を取られる。
そう思ったからだ。
私は黙って、
働くことでしか、未来を守れなかった。
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🫧この形の私

