私だけ課せられた100回 🔥1
毎朝、私だけに課せられた“ルール”があった。
なぜ私だけなのか――理由は誰も
教えてくれなかった。
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「明日から、朝100回縄跳びをしなさい」
「あんたは鈍臭いんだから、運動しないと」
小学校に入学してすぐ、突然言われた。
理由を聞く空気なんて、どこにもなかった。
朝。眠い目をこすりながら、縄跳びを手に取る。
無心で跳ぶ100回。
はじめはただ言われた通りに飛んでいただけだった。
でも、朝は眠い。
頭はまだ半分しか目覚めていない。
玄関の扉を開けると、
冷たい風がぶわっと押し寄せた。
雪がちらついている。
「寒っ…」
小さな声が漏れる。
「お母さん、雪が降ってる。今日やめていい?」
少しだけ顔をのぞかせた母は言った。
「ダメでしょ、毎日やりなさい」
歯を食いしばり、外に出る。
びゅう、と冷たい風が身体を撫でる。
足の感覚が少しずつ消えていく。
息は白く、手は赤くなる。
56、57、58……
ピシッ。
右の足に鋭い痛みが走る。
でも飛ぶ。飛ばなければ怒られる。
玄関に戻ると、家の中は暖かい空気が満ちていた。
父と妹たちは朝ごはんを食べている。
手足のしもやけが痒い。
「みのり、早く食べなさい。片付かないから」
言い訳の言葉が喉まで出かかる。
でも、怒られるのが怖くて口をつぐむ。
妹たちは無邪気に食べ終わり、リビングへ向かう。
いいなぁ…何もしなくても怒られなくて。
まだ赤い手を見つめながら、冷めた横目で見送った。
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それから、2か月後。
私は3年生になった。
「朝、玄関くらい掃きなさい」
急に母から言われた。
「え、なんで?」
声に出すと、母の声が荒くなる。
「なんでじゃないでしょう。あんた、3年生になったのに、家のこと何もしないつもり?」
何も言えなかった。
それ以上の説明はなかった。
ただ「やれ」とだけ言われた。
当時、妹たちはまだ小さかった。
私はまた“特別扱い”だった。
なんでいつも私ばかり…。
大変なことばかり…。
ほうきを握りしめ、下を向く。
唇に力が入り、身体の奥が重くなる。
「何その態度」
母がふとこちらを見た。
「お姉ちゃんなのに、
妹と同じことをするつもりなの?
それじゃ、赤ちゃんと同じじゃないの」
妹たちは許される。
私は怒られる。
どうして?
家の中で同じようにしていても、
どうしてこんなに違うの?
泣きそうになったけど、必死にこらえた。
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小学校5年生になったとき、
真ん中の妹が1年生になった。
でも、妹にその役割が課せられることはなかった。
私はまだ続けていた。
誰も、何も言わなかった。
妹になりたい――。
心から、そう思った。
ただ、嫌なだけだったこのルール。
結局、このルールは私が小学校を卒業するまで
課せられた。
私は、言われてただやっていただけだった。
けれど、この毎日のルールが、
後の自分を思いもよらない形で支えてくれる力になるなんて、
この時はまだ、知らなかった。
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🫧この形の私

