伊野尾宏之 本屋の人生
そのチャンスはあったのだが
人生に「もし?」はつきものだが、わたなべの人生に「本屋」の選択肢はあった。
「やりたかったら、いつでもやらしてやる」と近しい人からいつも言われていた。
ついぞ、やることなく、家業を継いだのだが、その時「本屋」だったら。
とはいえその「本屋」も数年後に廃業したので、どのみちゴールのない迷路だったのかもしれない。
商売と文化のハザマで
ビジネスという言い方は、ドライに感じるのか、抵抗する人もいる。
とはいえビジネスを継続的に、そして継続的に、続けていくには「利益」は必要で、適正利益を取れなくなると「撤退」することになる。
商売の相手方である「お客様」は、商品やサービスを受けれなくなる。
この「受けれなくなる」ことに、気づいていない「お客様」は結構いる。
「どこで買っても一緒」は「ここで買わなくてもいい」と同義語だと。
書籍との出会いは「一期一会」なので、出会ったときに少しの無理なら購入して帰る(重たいという抵抗感)。
おそらくベストセラーにならないであろう、その魅力的な書籍は、重版がかからず、二度とお目にかかれない。
その本が、その地域に販売されていることが、文化だと感じている。
文化と商売は、相反する行為だから、誰かが買ってあげないと、次につながらない。
そんな気持ちは、部屋中を「積読」にしてしまい、家人に怒られること必死だが、「撤退」されないために、商売の相手方として抵抗するのである。
