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【基本編 ⑲】「予定納税」と「住民税通知」——1年目に驚く2つの請求




確定申告を終えたとき、「やっと終わった……」とホッとしますよね。
わかります。
書類を集めて、帳簿を確認して、申告書を作って提出する。
本当にお疲れさまでした。

でも、少しだけ待ってください。

確定申告が終わった後に、もう2つの「請求」がやってきます。

予定納税住民税の通知です。

「え、まだあるの?」と思った方、その感覚は正しいです。
知らないとびっくりします。
でも知っていれば、ちゃんと備えられます。今回は、この2つをしっかり整理します。



① 予定納税——「来年分の所得税を先払い」する仕組み

予定納税とは何か

予定納税とは、その年の所得税を前払いする仕組みです。

「まだ今年が終わっていないのに、今年の税金を払う?」と不思議に思いますよね。

仕組みはこうです。
前年の確定申告で計算された所得税が15万円以上だった場合、税務署は「今年もだいたい同じくらい稼ぐだろう」と見込んで、前年の所得税額の3分の1ずつを、7月と11月に前払いさせます。

たとえば前年の所得税が30万円だった場合、

・7月:30万円÷3=10万円を前払い
・11月:30万円÷3=10万円を前払い
・翌年3月(確定申告):残りの10万円を精算

という流れになります。

いつ、どこから通知が来るか

6月頃に税務署から「予定納税額の通知書」が届きます。
「○月○日までに○万円を納付してください」と書かれています。

初めて受け取ったとき、「なんだこれ?」と戸惑う方がほとんどです。
会計事務所でも、「確定申告が終わったのに、また納付書が来たんですが……」という電話が毎年6〜7月頃にかかってきました。
それくらい、知られていない制度です。

予定納税が発生するのはいつから?

フリーランス1年目は、前年の所得税がないため予定納税は発生しません。

問題は2年目以降です。
1年目にある程度稼いで所得税が15万円を超えると、2年目の7月に突然「予定納税の通知書」が届きます。

「確定申告で納税したばかりなのに、もう次の請求が来た」——この感覚が、予定納税を知らない方を一番驚かせます。

予定納税への備え方

第5回でお伝えした「税金積立口座」に、売上の30〜35%を積み立てておけば、予定納税が来ても慌てません。
予定納税は確定申告後の最終的な税額計算のときに「すでに払った分」として差し引かれますので、二重払いにはなりません

もし「今年は業績が落ちそう」という場合は、予定納税の減額申請ができます。
7月の予定納税なら7月1日〜7月15日、11月の予定納税なら11月1日〜11月15日の間に税務署に申請すれば、前払い額を減らしてもらえます。
「今年は去年より収入が少ない」という状況なら、積極的に使ってください。


② 住民税の通知——「前年の収入」が基準になる怖さ

住民税通知とは何か

住民税は、前年の所得をもとに計算されて、翌年6月から請求がきます。

第3回でも触れましたが、ここで改めて詳しくお伝えします。

会社員のときは毎月の給与から天引きされていたので気づきませんでしたが、フリーランスになると自分で払う「普通徴収」に切り替わります。

6月頃に自治体から「住民税の納税通知書」が届き、年4回(6月・8月・10月・翌1月)に分けて支払います。

1年目が特に注意すべき理由

住民税が「前年の所得」をもとに計算されるということは、こういうことが起きます。

Hさんは大手企業に勤めていて年収700万円でしたが、昨年フリーランスとして独立しました。
独立1年目は仕事を軌道に乗せることに集中して、所得は180万円ほど。
確定申告を終えてホッとしていた6月、住民税の通知書が届きました。
金額を見て目を疑いました。
年間約60万円
これは会社員時代の年収700万円をもとにした住民税だったのです。

独立1年目でまだ収入が少ないのに、会社員時代の高い収入をもとにした住民税が来る。
これがフリーランス1年目の「住民税の壁」です。

住民税はいくらになるか

住民税の税率はほぼ一律10%です(所得割)
これに均等割(年間5,000円前後)が加わります。

おおまかな目安として、

・前年の所得200万円:年間約20万円(月換算 約1.7万円)
・前年の所得400万円:年間約37万円(月換算 約3万円)
・前年の所得600万円:年間約57万円(月換算 約4.8万円)

会社員から転身した方は、転身前の所得をもとに計算してみてください。「こんなに来るのか」と思うかもしれませんが、知っておくことが大切です。

住民税への備え方

予定納税と同じく、税金積立口座に30〜35%を積み立てておけば対応できます。

ただ、会社員からの転身の場合は「前年の会社員時代の収入」をもとにした住民税が来ることを、特別に意識しておいてください。
独立1年目の収入が少なくても、住民税は高くなる可能性があります。

独立する前に「翌年6月に住民税がいくら来るか」を試算しておくと、心の準備ができます。
自治体のホームページに試算ツールがあるケースも多いです。


2つを合わせると、こうなる

フリーランス2年目の春〜夏は、こんな請求ラッシュになることがあります。

時期                 内容            金額の目安(所得300万円の場合)
3月      確定申告の所得税納付                約15万円
6月   予定納税(第1期)                      約5万円
6月   住民税通知(年4回払い・第1回) 約8万円
8月   住民税(第2回)                         約8万円
10月  住民税(第3回)                       約8万円
11月    予定納税(第2期)                     約5万円
翌1月   住民税(第4回)                       約8万円

1年を通じて、これだけの請求がやってきます。
知らないまま迎えると、毎回「また来た……」とパニックになります。
でも知っていれば「来る順番がわかっている請求」として、落ち着いて対処できます。

これが、このシリーズを通じて一番伝えたかったことのひとつです。
知識は、お金と心の余裕を守ってくれます。


《今日のポイント》

  • 予定納税は前年の所得税が15万円以上のときに発生。7月と11月に前払いする

  • 予定納税の通知は6月頃に届く。初めて見ると驚くが、二重払いにはならない

  • 業績が落ちた年は「予定納税の減額申請」ができる

  • 住民税は前年の所得をもとに計算。フリーランス1年目は会社員時代の収入が基準になることも

  • 税金積立口座に30〜35%を積み立てておけば、どちらも慌てずに対応できる

残り1回でこのシリーズも完結です。
次回は全20回を振り返りながら、「フリーランスのお金の地図」として総まとめをします。

今日も一日、本当にお疲れさまでした。ゆっくり休んでくださいね。


次回(第20回・最終回)「基本編総まとめ——フリーランス1年目の『お金の地図』」です。
20回分を振り返りながら、応用編・上級編への案内をします。
最後までお付き合いください。


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