〖永久保存版 : 教養の全体像地図〗─何を学べば世界は面白く見えるのか。人生を深く味わうための教養の羅針盤について
はじめに
世界の解像度を上げるための地図
教養とは何だろうか。難しい哲学書を読むことだろうか。世界史を暗記することだろうか。あるいは文学や芸術に詳しくなることだろうか。おそらく違うと思う。
教養とは、世界の解像度を上げるための地図である。たとえばラーメンを食べるとき、その背景に中国料理、日本の屋台文化、戦後の食文化、地域ごとの味の発展が見えてくる。神社に行けば、神道、日本神話、地域共同体、建築、祭りの文化が見えてくる。ゲームを遊べば、技術革新、物語表現、メディア文化、世代の記憶が見えてくる。
人と人とを結びつけるきっかけ・共通言語
過去の哲学者は、「教養とは人と人とを結びつけるための重要な手段」として捉えている。たとえば、近代欧州の社交の場で初対面の人同士が「シェイクスピアのあの作品は面白かったですね~!!」「あの場面は、別の作品のこの部分にも通じるところがありますね~!」と自然に語りあっていた。こうした会話は、単なる知識の披露ではなく、人と人との距離を縮めるきっかけになる。
私は、この教養の考え方に非常に共感している。教養とは、難しい知識を覚えることだけではない。哲学、宗教、自然科学、社会科学、食生活、スポーツ、アニメ、漫画など、幅広いテーマに主体的に触れることで、他者との会話の入口が増えていく。このことは教養とは「人とつながるための共通言語」という考え方もできる。
精神的なポートフォリオとしての教養
また、精神的なポートフォリオとしての考え方もある。この考え方について見て行きましょう。
人は知らず知らずのうちに、自分の関心や自己評価を、特定の一つの領域に集中させてしまいます。仕事、家庭、人間関係、健康など、生活の中心が一つに偏るほど、その領域でのつまずきが、人生全体の問題であるかのように感じられやすくなる。
だからこそ、自分の中に複数の関心や価値観を持っておくことには意味があります。投資において資産を一つに集中させないように、精神的な拠り所も一つだけにしない。これを「精神的なポートフォリオ」と考えることができる。
その役割を果たすものの一つが、幅広い教養である。神話、哲学、宗教、歴史、芸術、科学、スポーツ、食文化、文学、伝統文化など、異なる世界に触れることで、自分が生きている社会を複数の角度から眺められるようになる。
とりわけ現代では、仕事が生活の大きな部分を占めやすい。責任を持って仕事に向き合うことは大切だが、仕事だけが自己評価の基準になると、一つの失敗やタスクの遅れが必要以上に大きく感じられてしまう。そんなとき、教養を通じて「仕事とは異なる世界を持っていれば、目の前の出来事を人生の中の適切な大きさに戻すこと」ができる。
人生の早い段階で教養の全体像を意識しておく
また、現在は仕事においても研究分野においても狭い領域をとことん従事する、若しくは研究するという場面が多い。ただ弊害としては、自分の興味のない領域、専門ではない領域については無知になり、いわゆる「専門バカ」になってしまう。
この記事では、神話・哲学・宗教・歴史・芸術から、自然科学、社会科学、食文化、スポーツ、ゲーム、ポップカルチャーまで、人生を少し面白くするための教養の全体像を整理したい。
参考書籍は下記になります。教養の全体像が分かりますので超おすすめしたい一冊です。
第1章 世界を解き明かす/教養の始まり
知の始まりを学ぶ
まず教養の出発点は、人類が世界をどう理解していたかである。科学が発達する前、人類は神話によって世界を説明していた。
なぜ雷が鳴るのか。
なぜ人は死ぬのか。
なぜ戦争が起きるのか。
こうした問いに対して、人類は神々の物語を作り出した。
ギリシャ神話
北欧神話
インド神話
日本神話
これらは単なる昔話ではない。人類最初の世界観である。その後、人々は神話ではなく理性によって世界を説明しようとする。
ここから哲学が始まる。古代ギリシャでは、「万物の根源(アルケー)は何か」という問いが生まれた。タレス、ヘラクレイトス、パルメニデスなどの自然哲学者たちが世界の本質を考え始める。
この知の始まりのテーマについては、下記の記事で詳しく整理している。
日本における教養の発展
一方、東洋ではインドでヴェーダ思想やバラモン教が成立し、その後ブッダによる仏教が誕生する。さらに中国では儒教や道教が生まれた。
日本はもともと多神教の「万物はみずからあるもので、自然や事物には各々の神が宿っている」というアニミズム(自然信仰)の考え方がある。そこに
中国経由で伝わった仏教や大陸の信仰をが伝来し、古来の日本の宗教である神道と仏教が共存しながら独自の神道文化と融合(神仏習合)していく。
江戸時代には、中国由来の儒学から発展した「朱子学(しゅしがく)」が、社会秩序に適していたことから幕府公認の学問になります。その後、尊王攘夷運動にもつながる古代日本を理想とする「国学」が起こります。また、江戸時代には西洋から伝わったキリスト教が伝わりますが、禁教となり従来の神道文化には影響はありませんでした。貿易が許されていたオランダの知識を学ぶ「蘭学」も後に弾圧を受けます。
明治時代には一転して、西洋化、近代化が一気に押しすすめられ、帝国主義の渦に飲み込まれて、世界大戦そして敗戦へと続いていくのです。敗戦後、平和主義、民主主義へと移行し、グローバルな環境の中でアイデンティティの思想を追求する時代になっています。
第2章 思想と文化の土台を学ぶ
知の始まりを理解したら、次は思想と文化の土台の世界が広がります。
哲学
哲学は人類の思考の歴史である。ソクラテス、プラトン、アリストテレスから始まり、デカルト、カント、ヘーゲル、キルケゴール、ニーチェ、ハイデガーへと続いていく。哲学を学ぶとは、単に難しい言葉を覚えることではない。
哲学を学ぶとは、「人間とは何か」を考えることであり、
「人間とは何か」
「よく生きるとは何か」
「幸福とは何か」
「社会とは何か」
こうした問いに向き合うことである。ちなみに私の好きな哲学者は、古代ローマ帝国のセネカという政治家、哲学者が好きである。
幸福についてを研究する幸福論についても触れておきたい。幸福論とは「どうすればよく生きられるか」を考えるための教養である。お金、仕事、恋愛、健康、自由、人間関係など、幸福を構成する要素は多いが、最終的には「自分は何を大切にして生きるのか」という問いに行きます。過去にはアリストテレス、セネカやショーペンハウアー、アラン、ラッセル、ヒルティなどが幸福論を展開しており、本質的な議論が多いので是非読んで頂きたい。
宗教
宗教は世界史を理解するために欠かせないです。
ユダヤ教
キリスト教
イスラム教
はいずれも中東を起点とする一神教であり、それぞれが、ヤハウェ、ゴッド、アッラーの同一の神が出てくる。それぞれの聖地も同じエルサレムであり、だからこそ世界史・国際政治・文化理解に大きな影響を与えている。
一方アジアでは、仏教、儒教、神道などが人生の死生観、家族感、社会秩序に大きな影響を与えている。宗教を知ることで、人々が何を信じ、何を恐れ、何に救いを求めてきたかが見えてくる。
歴史
歴史は人類の巨大な実験記録である。古代帝国、中世の封建※社会、近世の絶対王政、近代の市民革命と産業革命、帝国主義、世界大戦、冷戦、グローバル化。現代の政治・経済・国際情勢は、過去の歴史の延長線上にある。
※ 封建(ほうけん)とは、君主(王や将軍)が土地を家臣(諸侯や武士など)に分け与え、家臣はその土地を支配する代わりに君主に忠誠を誓い、軍役などの義務を負う統治制度のこと
よく出てくる時代の区切りと資本の形態は下記に示す通りである。
古代 (~500)
専制国家(君主や独裁者などの支配層が絶対的な権力を握り独裁する国家)の広域経済。古代帝国で農業資本
中世 (500~1300(4,5世紀から14世紀))
領邦・都市間の連携経済。封建制で商業資本。
近世 (14世紀~18世紀)
国民国家の統合経済。絶対主義(君主が強力な中央集権的権力を握った政治体制)で農業資本。
近代 (18世紀~20世紀)
帝国主義の拡張経済。市民主義で工業資本
現在 (20世紀~)
通貨膨張の自己膨張経済で金融資本。民主主義
現代の国際情勢は歴史の延長線上に存在しており、下記の様々な領域における長い時間をかけて積み重なってきた結果である。
中国史
インド史
中東史
ロシア史
アメリカ史
日本史
アフリカ史
ラテン※アメリカ史
※ラテン : 古代ローマの言葉であるラテン語やその文化をルーツに持つ、南欧(イタリア、フランス、スペイン、ポルトガルなど)や中南米(ラテンアメリカ)の国々、そしてその文化や音楽、ダンスの総称である。
芸術・音楽・文学
芸術は人類の感情の歴史である。西洋美術、日本美術、建築、庭園、クラシック音楽、オペラ、バレエ、文学などは、それぞれの時代の美意識や価値観を映している。何を美しいと感じたのか。何を悲劇と捉えたのか。何を理想としたのか。
芸術を学ぶと、美術館、建築、音楽、文学作品が、単なる鑑賞対象ではなく、人間理解の入口になる。
読書離れとよく聞くが、日本の文学作品、海外の文学古典作品は人類が積み上げ、そして時代のスクリーニングを経て残った財産である。
夏目漱石
川端康成
三島由紀夫
ドストエフスキー
トルストイ
第3章 現代社会を正しく理解する教養
神話、哲学、宗教、歴史、芸術が、人類の精神や文化の土台を理解するための教養だとすれば、現代社会を理解するためには、もう少し実践的な知識も必要になる。この章ではそのような領域について見ていきます。
私たちは、国家、企業、学校、地域、家庭、インターネット、医療、金融、エネルギー、AIなど、さまざまな仕組みの中で生きている。ニュースを見ても、物価が上がった、選挙があった、戦争が起きた、AIが進化した、少子高齢化が進んだ、企業がリストラした、といった情報が毎日のように流れてくる。
これらをただ「大変そうだ」「なんとなく不安だ」と受け止めるだけでは、現代社会の構造は見えてこない。
現代を正しく理解するためには、社会科学、自然科学、実践科学、そして現代社会そのものを読み解く視点が必要である。
社会科学(政治・経済・国際社会)
社会科学とは人間が作る社会の仕組みを理解する学問です。主要な項目を見ていきましょう。
政治学は、国家、権力、政策、選挙、民主主義を考える。経済学は、お金、資本主義、インフレ、投資、労働、分配を考える。経営学は、企業がどのように価値を生み、組織がどのように動くのかを考える。
また、社会学や心理学を学ぶと、家族、学校、会社、メディア、流行、承認欲求、習慣、ストレスなど、日常生活の中にある人間行動の構造が見えてくる。
この社会科学のテーマについては、下記の記事で詳しく整理している。
自然科学
社会科学が人間の社会を理解する仕組みだとすると、自然科学は、物理法則や生命現象など自然の仕組みを理解する枠組みです。
スマートフォン、AI、医療、交通、エネルギー、宇宙開発などは、数学、物理学、化学、生物学、天文学の成果の上に成り立っている。自然科学を学ぶと、世界を感覚ではなく、構造や法則として見る力が身につく。
たとえばエントロピー、遺伝子、進化、電磁気、宇宙、確率、統計といった概念は、日常会話やビジネスの比喩としても使われる。自然科学は、理系だけのものではなく、現代を生きるための共通言語でもある。
実践科学
実践科学は、生活や現場で役に立つ知識を体系化する分野である。
医学、予防医療、栄養学、運動、睡眠、メンタルヘルスなどは、私たちの生活の質に直結している。健康に関する知識は、専門家だけのものではない。自分の身体と心を整えるための基本教養でもある。
インスリンや腸内環境、栄養学、睡眠、運動、メンタルヘルスなど個人が学んでおくと非常に役に立つ知識となると考えています。
現代社会
現代社会を理解するには、
環境問題
少子高齢化
ジェンダー
多様性(LGBTQ)
AI (人工知能)
SNS
メンタルヘルス
自然災害
エネルギー問題
なども避けて通れない。Society5.0などの国が掲げる取り組みについても教養としては学んでおくと世の中に対する見方が変わるかもしれない。
これらは単独の問題ではなく、政治、経済、科学技術、文化、生活習慣が複雑に絡み合っている。現代社会の教養とは、目の前のニュースを一つの分野だけでなく、複数の視点から見る力である。
この現代社会のテーマについては、下記の記事で詳しく整理している。
第4章 もっと人生を楽しく。人生を楽しむための教養
最後は、人生を豊かにするための教養である。
ここまで見てきた神話、哲学、宗教、歴史、芸術、人文・社会科学、自然科学は、世界を深く理解するための教養だった。一方で、教養は難しい本や学問の中だけにあるものではない。
日々の食事、休日の旅行、好きな音楽、映画、漫画、ゲーム、スポーツ観戦、アイドルやアーティストのライブ、街歩き、ファッション、カフェで過ごす時間。そうした日常の楽しみの中にも、歴史や文化、社会の仕組みは詰まっている。
人生を楽しむための教養とは、目の前のものを「ただ消費する」のではなく、その背景にある文化や物語を知り、より深く味わうための知識である。
そして、もう一つ大切なのが「お金の使い方」である。
人生を楽しむには、どうしてもお金を使う場面がある。旅行に行くにも、ライブに行くにも、少し良い食事をするにも、本を買うにも、美術館に行くにも、何かしらの支出が発生する。だからこそ、人生を楽しむ教養には「支出の教養」も含まれる。
旅行、食事、音楽、映画、スポーツ、学習、健康、人間関係への支出は、単なる消費ではない。経験を増やし、感性を育て、記憶に残り、人との会話や関係性を深めてくれる。お金は、ただ貯めるだけでは人生を豊かにしない。使い方によって初めて、人生の経験や幸福に変わる。
この章では、前提となる支出の教養も含めて、食の文化、日本伝統文化、エンタメ、スポーツ、アイドルやファン文化、ライフスタイルまで、人生を豊かにする教養の全体像を見ていきたい。
支出の教養――お金を人生の豊かさに変える
人生を楽しむための教養を考えるうえで、「支出の教養」は重要である。
お金の教養というと、「どう稼ぐか」「どう貯めるか」「どう増やすか」に意識が向きやすい。しかし、人生を豊かにするという意味では、それ以上に「増やしたお金をどう使い切るか。」がはるかに重要である。
ここでご紹介するファッション、食文化、スポーツ、音楽、映画、日本伝統、ライフスタイル、ポップカルチャーなどへの支出は、経験を増やし、感性を育て、記憶に残り、人との会話や関係性を深めてくれる。お金は、ただ貯めるだけでは人生を豊かにしない。使い方によって初めて、人生の経験や幸福に変わる。
このテーマについては、下記の記事で詳しく整理している。
お金は、ただ貯めるためだけにあるのではない。人生を深く味わい、健康を守り、人とつながり、自分の世界を広げるための道具でもある。
だからこそ、「支出の教養」は、人生を楽しむための教養の中核に置いてよいテーマだと思う。
食文化―毎日の食事を深く味わう教養
食は、最も身近な教養である。
ラーメン、寿司、カレー、蕎麦、うどん、焼肉、フレンチ、イタリアン、ビストロ、コーヒー、紅茶、日本茶、お酒。私たちが普段何気なく食べたり飲んだりしているものには、地域の歴史、交易、宗教、発酵、農業、移民、都市文化、戦後の生活史が詰まっている。
たとえばラーメンは、中国由来の麺文化が日本で独自に発展した食文化である。醤油、味噌、塩、豚骨といった味の違いだけでなく、札幌、博多、喜多方、横浜家系、二郎系など、地域や時代ごとの変化を見ると、ラーメンは単なる食べ物ではなく、日本の大衆文化そのものに見えてくる。
お酒もまた、発酵と地域文化の教養である。日本酒、ビール、ワイン、ウイスキー、焼酎は、原料、気候、製法、宗教、食事との関係によって発展してきた。コーヒーや紅茶、日本茶も、世界の交易史や嗜好品文化と深く結びついている。
食文化を学ぶと、日々の食事が少し面白くなる。店に入る、メニューを見る、香りを感じる、産地を知る、製法を知る。その一つひとつが、生活を豊かにする入口になる。
日本伝統文化―日本人としてのアイデンティティを創る
日本伝統文化は、日本人の生活感覚や美意識を知るための入口である。
日本伝統文化としては、神社、寺院、茶道、華道、書道、着物、能、歌舞伎、落語、陶芸、漆器、和菓子、庭園、祭りなどたくさん存在する。
これらは単なる古い文化ではなく、宗教、芸術、身体作法、季節感、地域共同体の記憶と結びついている。
たとえば神社を知ると、神道や日本神話、地域の祭りが見えてくる。寺院を知ると、仏教、法要、死生観、建築、美術が見えてくる。茶道を知ると、もてなし、静けさ、季節感、道具の美意識が見えてくる。
※死生観 : 人が「生きること」と「死ぬこと」に対して抱く考え方や価値観の総称の事です。
能や歌舞伎、落語のような芸能も、最初は少し難しく感じるかもしれない。しかし、型、所作、声、間、衣装、物語の背景を少し知るだけで、楽しみ方は大きく変わる。
日本伝統文化の教養とは、古いものをありがたがることではない。現代の生活の中に残っている季節感、礼儀、祈り、美意識の源流を知ることである。
エンタメ・ポップカルチャー―現代を映す物語の教養
漫画、アニメ、ゲーム、映画、ドラマ、音楽、配信サービス(YouTube)、SNSコンテンツなどのポップカルチャーも、現代の重要な教養である。
ポップカルチャーは、単なる娯楽ではない。そこには、時代の価値観、技術革新、若者文化、家族観、恋愛観、社会不安、憧れ、消費行動が反映されている。
漫画やアニメには、その時代のヒーロー像や人間関係が表れる。ゲームには、技術の進化、操作性、映像表現、物語体験の変化が表れる。映画やドラマには、社会問題、家族、仕事、恋愛、都市生活、国際情勢が映し出される。
たとえばスターフォックスのようなゲームを振り返ると、単なる懐かしいゲームではなく、家庭用ゲームが2Dから3Dへ移行していく時代の技術革新が見えてくる。ドラゴンクエストやファイナルファンタジーを振り返れば、RPGというジャンルが日本のゲーム文化に与えた影響が見えてくる。
エンタメを教養として見るとは、好きな作品を楽しみながら、その背後にある時代性や文化の変化を読むことである。
スポーツ―勝敗の奥にある文化を読む教養
スポーツは、単なる勝敗や娯楽ではなく、国や地域の価値観、歴史、経済、メディア文化を映す鏡である。
野球、サッカー、相撲、陸上、格闘技、競馬、競輪、ボートレース、将棋、囲碁。これらはそれぞれ異なる文化的背景を持っている。
野球には、地域密着、学校スポーツ、プロ野球、メジャーリーグ、応援文化がある。サッカーには、クラブ文化、代表戦、ワールドカップ、欧州リーグ、移籍市場がある。相撲には、神事、格式、番付、伝統芸能としての側面がある。競輪や競馬のような公営競技には、戦後の都市財政、ギャンブル、スポーツ興行、選手の身体能力が結びついている。
スポーツを教養として見ると、試合結果だけではなく、ルール、歴史、地域、応援、ビジネス、メディア、選手のキャリアまで見えてくる。
なぜその競技がその国で人気なのか。
なぜそのチームは地域に愛されているのか。
なぜワールドカップやオリンピックは世界的なイベントになるのか。
なぜ一人の選手の移籍や引退が大きなニュースになるのか。
スポーツは、人間が身体を使って物語を作る文化である。
アイドル・ファン文化―日本独特の応援する独自文化
アイドルやアーティスト、俳優、声優、VTuber、配信者などを応援する文化も、現代のライフスタイルを理解するうえで重要な教養である。括りとしては、後述する「ライフスタイル」に当てはまる分野でもあるが、人気な分野なので個別に抜き出すことにした。
ファン文化は、単なる消費ではない。そこには、応援、共感、物語、コミュニティ、ライブ体験、グッズ、SNS、推し活、自己表現がある。
1970年~1980年に「スター誕生!」で山口百恵や中森明菜などが生まれ、その後、ソニーオーディションで松田聖子、ホリプロで堀ちえみや石川秀美などが生み出されれた。
1990年代~2000年代には、事務所が育成する形になり、
ライジングプロダクションによるSPEED、DA PUMP、
エイベックスからAAAや安室奈美恵、ハロプロからはモー娘。やBerryz工房などが有名である。AKBグループのAKB48やHKT48などのファン投票や握手会のファン参加型のイベントも有名である。
現代では、ファンは一方的に受け取るだけの存在ではない。SNSで感想を共有し、ライブに参加し、グッズを買い、イベントを盛り上げ、時にはコンテンツの広がりに大きな影響を与える。ファンは、文化を受け取る人であると同時に、文化を支える人でもある。
アイドルやファン文化を学ぶと、現代社会における「好き」の力が見えてくる。人はなぜ誰かを応援するのか。なぜライブに行くのか。なぜグッズを集めるのか。なぜ同じ作品や人物を好きな人同士でつながりたくなるのか。
ファン文化は、現代の共同体の一つである。
ライフスタイルー日々をよく生きるための知識・教養
ライフスタイルの教養とは、日々をよく生きるための知識である。
ファッション、住まい、旅、街歩き、カフェ、読書、ランニング、バイク、写真、ガジェット、ヨガ、瞑想、習慣化。これらは一見すると趣味や生活の話に見えるが、実際には心理学、社会学、身体論、デザイン、都市論、哲学、文化論と深くつながっている。
ファッションは、自己表現であり、社会との距離感でもある。旅や街歩きは、地理、歴史、建築、食文化、地域文化を体験する行為である。ランニングやヨガは、身体と心を整える実践である。読書やカフェで過ごす時間は、自分の内面を整える余白でもある。
人生を楽しむためには、仕事や勉強だけでなく、自分が何を心地よいと感じるのかを知ることも大切である。ライフスタイルの教養とは、生活をただこなすのではなく、自分なりに味わい、整え、楽しむための知である。
人生をどう生きるかという実践的な教養である。
さいごに 人生を楽しむ教養とは、日常を深く味わう力である
この章で扱った「人生を楽しむための教養」は、特別な場所にあるものではない。下記のような日常に面白さがあるのである。
朝飲むコーヒー。
昼に食べるラーメン。
旅行先で訪れる神社。
休日に観る映画。
昔遊んだゲーム。
応援しているチーム。
ライブで聴く一曲。
街で見かける建築や看板。
自分の好きな服や道具。
その一つひとつに、歴史、文化、技術、社会、人間の感情が宿っている。
教養とは、人生を難しくするためのものではない。むしろ、人生をもっと楽しく、もっと深く、もっと豊かに味わうためのものである。
教養とは世界の解像度を上げること
教養とは知識自慢ではない。世界の見え方を豊かにすることである。
哲学を知れば人間が見えてくる。
宗教を知れば戦争が見えてくる。
歴史を知れば現在が見えてくる。
経済を知れば社会が見えてくる。
芸術を知れば美しさが見えてくる。
そして文化を知れば人生が面白くなる。
上記で、神話から始まる知の始まり、そこから哲学や宗教、各地域の歴史に触れて、芸術(文学や音楽、美術)などを味わうことができます。そして現代社会を正しく理解する為の政治、経済、国際社会、社会科学、自然科学、現代社会などに触れました。最後は、グルメやエンタメ、スポーツ、日本芸道、カルチャーなどに触れました。
このようにしてみると日々の生活には、教養を付ければその分だけ、自身の解像度が上がるような気がします。常に幅広く学び、これはどの部分の知識エリアに該当するのだろうと思いをはせながら日々を過ごすとより学びが多いかもしれません。
おまけ: 最後に 専門バカになると人生の土台を見失う
専門性を高めることは、仕事において非常に重要である。エンジニア、医師、研究者、会計士、コンサルタント、職人など、どの分野でも深い専門性がなければ価値は出しにくい。
しかし、専門性には落とし穴もある。それは、自分の専門分野だけを人生の中心に置きすぎると、健康、睡眠、栄養、人間関係、遊び、美意識、身体感覚といった、人生そのものを支える領域が軽視されてしまうことである。
いわゆる「専門バカ」とは、専門知識がある人を馬鹿にする言葉ではない。むしろ、専門性は高いのに、専門外の世界に対する解像度が極端に低くなってしまった状態を指す。
たとえば、仕事の成果を出すことばかり考えて、慢性的に寝不足になる。忙しさを理由に食事がコンビニ飯や外食に偏る。運動しない。人と会わない。音楽、映画、旅行、読書、スポーツ、食文化、自然、街歩きといった人生のエンタメを楽しむ感性が鈍くなる。
こうなると、仕事では一定の成果を出していても、人生全体では貧しくなっていく。
特に睡眠は軽視しやすいが、CDC(米国疾病管理予防センター)は睡眠不足が不安、うつ、肥満、心疾患、けがなどのリスク増加と関連すると説明している。
また、WHOは健康的な食事について、加工度の高い食品、脂肪、糖、塩分の摂りすぎや、果物・野菜・食物繊維の不足が現代的な食生活の問題になっていると指摘している。
さらに、WHOは身体活動が心血管疾患、がん、糖尿病などの予防・管理に寄与し、抑うつや不安の軽減、脳の健康、幸福感の向上にも関係するとしている。
つまり、睡眠、栄養、運動は「意識高い人の趣味」ではなく、人生を長く楽しむための基礎インフラである。
専門性は、「人生を支える武器」である。
しかし、健康を失えば、「その武器を使い続けることはできない」。
感性を失えば、「稼いだお金を使って人生を楽しむ力も弱くなる」。
人間関係を失えば、「成果を分かち合う相手もいなくなる」。
だからこそ、教養には哲学、宗教、歴史、文学、芸術だけでなく、栄養学、睡眠、運動、メンタルヘルス、食文化、エンタメ、スポーツ、旅の知識まで含めてよい。
教養とは、専門性を否定するものではない。むしろ、「専門性が人生を壊さないように、視野を広げるための安全装置」である。
専門を深めること。
身体を整えること。
人生を楽しむこと。
他者と関わること。
世界を面白がること。
これらを切り離さずに持っている人が、本当の意味で「よく生きる」ための教養を持っている人なのだと思う。
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