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コンセプトライフ

割引あり

「なあ、転職するとしたらなにがしたい?」

もう6、7年前の話。
上司が車の運転中に唐突に言ってきたのは、そんな言葉だった。
「えーっと…?」
「…あ!もしの話ね!」
"辞めろ"と言われているのかと思って身構えた僕を見て、上司は笑いながら言った。
「何でもできるとしたらだよ」

「何でもできるとしたら…ですか。小さな頃はバスプロ(*バス釣りで収入を得るプロ釣り師)になりたかったんですが、今はなりたいと思えないんですよね…」
「なんで?」
「仕事にしてしまうと、純粋に楽しめないなと思って…」
「そうか…」

少し考えた後、上司が言う。
「自分は宇宙飛行士になりたかった。」

心の底から驚いた。意外だっだ。

何でも卒無くこなし、丁寧な仕事で信頼も厚い人だった。上の人間には上手く根回して、下には面倒見もよく、この人が居るからなんとか会社は回っているよな。と思う。そんな人だったから。

「今は、海の近くに住みたいと思ってる」

その後、上司は会社を去った。
海沿いの家を買って住んでいる。一度お邪魔したことがあるが、とても柔らかくなっていた笑顔を見て、素敵だな。と僕は心の底から思った。

"コンセプトライフ"
初めて有料noteを書くと決めて、これ以上ピッタリの言葉が何度探しても浮かばなかった。

"ミニマルライフ"としなかったのは、目的がミニマルに暮らす事ではないからだ。

小さく暮らす事。それ自体は、実は誰にでも簡単に実現可能だと思う。
物を買わない。たくさんの事をしない。たくさんの物を所有しない。これだけで暮らしは小さくなる。

そして、これまでも書いてきたけれど、ミニマルに暮らすのは、人生をより幸せに生きる為の手段だと思う。

"コンセプトライフ"

人生に何を求めるのか。

今回はそんなお話。


"人生に意味なんかない"

僕はこの言葉が嫌いだった。
…だって心細いから。生まれたことに意味が欲しかったし、目的もなく生きていく事に恐怖を覚えたのだと思う。
不登校だった子供の頃、母が僕を励まそうと言ってくれた「人生に意味なんかないし、無くていいんだよ」と言う言葉。
優しさから言ってくれたこの言葉が、実はとても苦しかった事を覚えている。

…でもきっと、続きがあった。

「意味は、あなたが、決めればいいのだから」

冒頭の上司からの質問を少しだけ変えて、あなたに向けたい。

「お金や時間の心配はなくなりました。これから、やりたい事をやって下さい。」
と言われたら、あなたは何をしますか?

僕は上司から冒頭の質問をされた当時、言い淀んだ。
あなたはどうだろう?仕事でなくても構わない。
「これをやりたい!」と、明確に答えられるだろうか?

海外旅行に行って見聞を広げたい。
映画を観たり、本をひたすら読みたい?
それも良いと思うんです。

でも、そこに明確な価値を感じていないと、きっと、いつか不安になってしまう。
僕がそうだったから。
子供の頃不登校だった僕は、毎日、大きな市立図書館から借りてきて本を読んでいた。

僕は読書が好きだった。紙の匂い、ページを捲る時の音。ミステリ、詩集、純文学、ファンタジー、マンガ、自伝、ノンフィクション。来る日も来る日も、ずっとずっと読んでいた。僕の不登校期間は約3年半。大人になると3年は相対的に短く感じるかもしれないけれど、子供の頃の3年は、大人になった今の体感で、10年に匹敵するほど長い時間に思えた。
ずっと本を読んでいて、僕はある時、急に不安になってしまった。
楽しい事に変わりないけど、本を読むだけでは満たされない。と気付いてしまったのだ。

恐らく、あなたが好きな事をただ繰り返しても、同じことになると思う。
どんなに好きな事でも、毎日それだけ続けていたら、いつか人は「自分は何をしているのだろう」と不安になってしまう。

FIREしたにも関わらず、毎日が楽しくない。と言う方に話を聞いたことがある。
仕事を辞めた後、体を壊した事もあって、ずっと家から出ない毎日だったそうだ。特にやりたいことがあるでもなく、一日中家でテレビと新聞を見ていて、たまに喫茶店に出かけるが、何も楽しくない。だけど何かを始めたいとも思わない。と…。
単調な毎日を送ることを否定したい訳じゃない。そこに楽しみを見付けていたら、それはその人の幸せの形だ。

でも好きな事だけやっていた筈の僕も、FIREして経済的に自由だった彼も、何故か幸せじゃなかった。

…幸せってなんだろう?

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