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空港での難関

海外旅行にはこれまで何度か行っているが、ツアーで行ったことは一度もない。

すべてフリーで動いている。



そのせいなのか、私は空港とどうにも相性が悪い。毎回、何かしら引っかかる。

すんなり通過できたことがないのだ。




何より最初に国際空港へ行ったときは、入口で取り押さえられた。

入口で身分証のチェックがあることを知らず、通路の真ん中を「空いてるじゃん」と、走り抜けようとしてしまったのだ。


「止まれ!止まれー!なぜ走った!? なぜ走ったーー!?」


そう怒鳴られ、壁に押し付けられ、警棒でグリグリやられた人間など、そう多くはないだろう。




シアトルの空港では、入国審査で「渡航目的」ではなく「日本での職業」と聞かれ、とっさに

「OL! Office lady!」

と和製英語で堂々と答えてしまい、なかなか解放してもらえなかった。




ロサンゼルスではさらにひどい。

ターンテーブル付近で働いていた麻薬探知犬を感心して見ていたところ、突然振り向き、飛びつかれて押し倒された。

Policeが走ってきたのをみた時、本気で撃たれるかと思って「I'm clean」と絶叫した。

慌てふためく私を見てPoliceは大笑いし、犬の首輪をつかみながら

「………fallen  for you. (この子は君に恋をしてしまったみたいだ)」

と助けてくれたが、その“恋”はだいぶ激しいもので、会話中にも何度も飛びつかれて再び押し倒された。

ヨダレを垂らしたシェパードは、普通に怖い。




ハワイからの帰国時には、外れてしまったペンダントトップをなくさないようティッシュで何重にも包みポーチに入れていたら、なぜか「薬莢」と疑われ、詰問されて没収されそうになった。

「My treasure」

「Back my treasure」

と連呼して、なんとか返してもらった。



そして不思議なことに、金属探知機はなぜか毎回反応する。
怪しいものをすべて外しても鳴る。

なのに、ハンドスキャナーでは反応しない。



スーツケースもほぼ毎回開けられ、そのたびに中身の説明をする羽目になる。

ランダム検査のカードも、なぜか高確率で引き当てる。



いかにも何かやっていそうな顔なのか、荷物の詰め方が悪いのかは分からないが、とにかく“選ばれがち”なのだ。



コロナ以降は飛行機に乗っていないが、今でもチェックはこんなに厳しいのだろうか。



――ただひとつだけ、特技がある。

国際線の着陸前、CAがサービスで余ったペットボトルを手に

「Who wants this?」

と回ってくる、あの瞬間。



「Me!」と挙手の一斉攻撃の中で、なぜか必ず勝ち取るのは私だ。


空港との相性は最悪だが、最後にちゃんと回収だけはして帰るタイプである。




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