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bbmm
#73 世界に再び接続される
翌朝、私はおそるおそる会社へ向かった。
駅までの道がいつもより長く感じる。
昨日休んだことが、
背中に貼りついた小さな罪のように重い。
でも、ほどなくして、
その重さは拍子抜けするほど軽くなった。
誰も、私が休んだことなんて気にしていない。
お局様も、いつものように資料をめくっている。
Sさんも、パソコンに向かって静かに作業している。
世界は、私がいなくてもちゃんと回っていた。
「おはようございます」
小さく声を出すと、
隣の席から「おはようございます」と返ってきた。
それだけで、
世界に再び接続された気がした。
私は席に座り、
与えられた作業を丁寧に始めた。
伝票を一枚ずつ確認して、
数字を入力していく。
昨日の空白を埋めるように、
キーボードを叩く音が静かに響く。
昼休み、
私は窓際の席で白湯を飲んだ。
昨日のドラマの余韻がまだ残っている。
男装した女性主人公を守る若武者の姿。
あの真っすぐさが、
少しだけ自分を励ましてくれる。
誰だって体調不良くらいなる。
誰だって休む日がある。
そう思うと、
昨日の自分を責める気持ちが少しだけ薄れた。
午後の光が差し込む中、
私はまた伝票をめくる。
数字を確認して、
報告書を整える。
何事もなく過ぎていく時間が、
こんなにもありがたいものだと初めて思った。
昨日の空白は、
もう誰の記憶にも残っていない。
でも、私の中では確かに残っている。
あの休みが、
私を少しだけ柔らかくした気がする。
そして今日も、
私は静かに働いている。
